

建設現場で想定すべき「心肺蘇生法 手順」は、まず一次救命処置(BLS)の全体像を、PDFの図と同じ順番で体に入れるのが基本です。一次救命処置の大まかな流れは「安全確認→反応の確認→119番通報とAED手配→普段どおりの呼吸の確認→胸骨圧迫→(可能なら人工呼吸)→AED使用→救急隊へ引き継ぎ」です。
この順番は、JRC準拠の「救急蘇生法の指針2020(市民用)」の一次救命処置(BLS)手順として図示され、成人も小児も“同じ手順”で進める考え方が示されています。
特に現場で止まりやすいのが「反応」「呼吸」の判断です。PDFでは、反応がない、または判断に迷う場合でも心停止の可能性を考えて行動し、通報とAED要請を優先するように改訂された点が明記されています。さらに呼吸は10秒以内に胸と腹の動きで観察し、呼吸がない、または普段どおりでない、あるいは判断に迷う場合も“心停止とみなして胸骨圧迫を開始”するよう強調されています。
建築・土木の現場だと、倒れ方が外傷・熱中症・感電・化学物質など多様で、周囲の音も大きく、判断が遅れがちです。だからこそ、最初の判断は「迷ったら胸骨圧迫」まで含めて標準化し、誰が見ても同じ順序で動けるようにしておくと、救命の確率が上がります。
一次救命処置の中心は胸骨圧迫で、PDFでは胸骨圧迫を「強く、速く、絶え間なく行うことが重要」と明確に書かれています。圧迫の目安は成人で“胸が約5cm沈むように”で、テンポは1分間に100~120回、可能なかぎり中断を減らすのが基本です。
圧迫部位は胸の左右の真ん中にある胸骨の下半分で、手のひらの付け根を当て、もう片方の手を重ね、肘を伸ばし肩が真上に来る姿勢で垂直に体重を乗せる方法が示されています。解除(リコイル)も重要で、圧迫と圧迫の間は胸が元の高さに戻るよう十分に解除しつつ、手が胸から離れて宙に浮かないよう注意する、と具体的です。
意外と盲点なのが「交代の設計」です。PDFでは、成人の胸が約5cm沈む圧迫は体力を要し、疲労で圧迫が弱くなりテンポも乱れやすいため、手伝いがいれば1~2分を目安に交代し、中断時間を短くするよう声を掛け合うと書かれています。建設現場は体力のある人が多い反面、作業姿勢の癖で腰が入らず、最初は強くできても数十秒でフォームが崩れることがあるので、最初から“交代前提”で段取りを組むのが実務的です。
AEDは「使い方が難しい」よりも「貼り方と安全確認」が分かれ道になります。PDFでは、電源を入れたら音声メッセージに従い、電極パッドを胸の右上(鎖骨の下で胸骨の右)と左下側(脇の下から5~8cm下、乳頭の斜め下)に貼ると示されています。
また、貼り付け時の実務注意として、衣服はためらわずに切る、下着の上には貼らない、必要なら下着を切るかずらして肌を出す、と具体的に書かれています。建設現場だと冬季は厚手の作業着・安全帯・インナーが多く、ここで手が止まりがちなので、はさみ(衣類カッター)を救急セットに入れておくと実行速度が上がります。
さらに「あまり知られていないが効く」ポイントが、貼り薬と濡れの扱いです。PDFでは、胸が濡れている場合は乾いた布やタオルで胸を拭いてから貼る(背中や床は濡れていても問題ない)こと、貼り薬がある場合は剥がして薬剤も拭き取ってから貼ることが明記されています。現場では夏場の発汗、雨天、散水、粉じん対策のミストなどで胸部が湿っていることがあり、ここを雑にするとパッド密着が落ちやすいので、タオル常備は“装備”として合理的です。
一次救命処置では、通報は「救急車を呼ぶ」だけではなく、現場を動かす司令塔になります。PDFでは、119番通報時に通信指令員が胸骨圧迫などの指導(口頭指導)をしてくれること、AEDが近くにある場合は場所を教えてもらえることがある、と書かれています。
現場の実務としては、通報役がスピーカー機能を使うと両手が空き、指導を受けながら胸骨圧迫を継続できる、という点がPDFに図付きで示されています。重機・騒音環境ではスピーカーの音が負けることもあるため、通報役は少し離れた静かな位置に移動しつつ、圧迫者に“短い指示だけを復唱して渡す”運用にすると、現場の混乱が減ります。
そして重要なのが「反応や呼吸の判断に迷う場合も通報する」という改訂ポイントです。PDFでは、反応の有無に迷う場合でも119番通報とAED要請を行うよう改訂した、と明記されています。建設現場では“様子を見る”文化が残りやすいので、ここは安全教育の文言として掲示物に落とし込み、迷ったら通報という行動基準に寄せるのが有効です。
検索上位の多くは「やり方の解説」中心ですが、建設現場で効くのは“手順の実行環境づくり”です。PDFの一次救命処置では「安全を確認する」が最初に来ており、火事や感電事故、暴力行為など危険がある場合は近づかず警察・消防の到着を待つほうがよいこともある、と書かれています。つまり建設現場は、救命以前に二次災害(感電・墜落・重機接触)を止める設計が必須です。
そこで、現場の安全衛生計画に“救命の連鎖”を埋め込むと回り始めます。例えば、次のように役割と物品を固定化します。
また、PDFには全国AEDマップ(日本救急医療財団)やAED設置場所の把握が有用である旨が書かれており、“普段から職場や通勤途上のAED位置を把握”することが推奨されています。建設現場は現場事務所が移動し、出入口も日々変わるため、AEDは「どこに置くか」だけでなく「今日の作業動線から最短で取りに行けるか」を朝礼で更新する、という運用が効きます。
以下は権威性のある参考リンクです(単独行で掲載)。
一次救命処置(BLS)とAEDの手順を、公的テキストPDFで確認:救急蘇生法の指針2020(市民用)PDF(日本救急医療財団)
JRC蘇生ガイドライン2020のPDF版公開(閲覧無料・仕様注意):JRC蘇生ガイドライン2020(PDF版)公開のお知らせ(日本蘇生協議会)
ここまでを現場掲示用に落とすなら、最後に“迷ったら”を短文化して貼ると強いです。
(※本記事は教育目的の一般情報で、実技は消防や赤十字などの講習での訓練が推奨されます。指針に準拠しつつも、現場の安全確保を最優先に運用してください。)