

lmガイド構造の核は、レール上をブロック(キャリッジ)が直線移動し、その内部でボールが循環することで「軽く」「まっすぐ」を両立させる点にあります。THKの説明でも、リニアガイドは「キャリッジ」「レール」「ボール」の3要素で構成され、ボールを循環させる機構で直線運動を行うと整理されています。現場でlmガイドを“ただのスライド”と捉えると、取付や潤滑の重要度を見誤りますが、実際はブロック内部の循環経路(転動→戻り)まで含めたシステム部品です。
また、転動体が点ではなく溝形状との当たり方を工夫することで、許容荷重や剛性に寄与する設計思想が入っています。THKは転動面をR溝形状にすることで「点接触」から「面接触」に近づけ、従来のリニアモーション・ベアリングより許容荷重が増えるという趣旨を示しています。設計者としては、ここを理解すると「同じサイズ感でも案内剛性が違う」理由が説明できます。
さらに、ミスミの技術解説では、循環ボールタイプの基本構造として「直線案内レール」「ブロック」「転がり軸受用ボール」を挙げ、用途に応じてシールやボールリテーナ等の要素を付加できるとしています。つまりlmガイド構造は、標準構造+周辺要素(防塵・静音・長寿命)で完成度を上げる“拡張可能な構造”と理解するのが実務的です。
取付設計で押さえたい要点を、構造ベースで短くまとめます。
有用(構造の定義・名称の整理、歴史と用途まで俯瞰)。
用途・名称・構造(キャリッジ/レール/ボール)と、リニアガイドがどう発展したかがまとまっている参考リンク
https://www.thk.com/opm/jp/ja/linear/thklinearguide/
lmガイド構造の理解で意外に重要なのが、「ボールが何列(条列)で受けているか」「どのように接触しているか」を言葉にできることです。ミスミは、転がり軸受部の構造を「条列」や「点接触数」で表現でき、複数条列でボールを受ける構造がモーメント荷重や連続運転でも精度を維持できる理由だと説明しています。建築設備や産業装置の据付では、加減速・偏荷重・長尺テーブルの姿勢変化が頻発するため、ここは“カタログ用語”ではなく“現場の荷重の受け方”として捉えるべきです。
また、循環ボールタイプは摩擦が小さく滑らかに作動しやすい一方、循環に伴う音や振動が課題になりやすいことが知られています。ミスミは、循環ボール同士の接触による摩擦音を抑えるために、ボールリテーナを内蔵したブロックもあると述べています。静音要求がある搬送ラインや検査工程では、構造(リテーナ有無)がそのまま騒音・寿命・保守周期に波及します。
さらに、構造の本質は「無限直線運動」にあります。THKは、リニアガイドはボールが無限循環するため、レール長を長くすればストロークを伸ばせると説明しています。つまり、長ストローク装置で“案内は簡単に伸ばせる”一方、長いほど取付面のうねり・平行度・熱変形・潤滑の分布など、別の難しさが増える構造でもあります。
現場で起きやすい“構造起因の不具合”も、条列と循環で整理すると原因追跡が速くなります。
有用(基本構造、条列・点接触の考え方、リテーナの位置づけ)。
基本構造と転がり軸受部の表現方法(条列/点接触数)を把握できる参考リンク
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md01/c1087.html
lmガイド構造で「剛性が足りない」「ガタがある」と言われたとき、最短で確認すべき論点が予圧(プリロード)です。THKは、予圧とはLMブロックの剛性を高めるために、あらかじめ転動体(ボール、ローラー)に与える内部荷重だと定義しています。つまり予圧は、単なる調整ではなく、構造内部に“最初から負荷を与えてたわみを出にくくする”設計変数です。
剛性の見方も、用語を揃えると議論がスムーズになります。THKは、荷重を作用させるとボールやLMブロックが弾性変形し、その変位量と負荷荷重の比を剛性と呼ぶと説明しています。現場の感覚でいう「押すと沈む」「工具が逃げる」は、この変位が装置精度に乗っている状態です。
一方で、予圧は“入れれば正義”ではありません。THKは、予圧をかけて使用する場合、予圧荷重を考慮して寿命計算を行う必要があると述べています。つまり、剛性を上げる代償として内部負荷が増え、寿命・発熱・駆動力・摩耗に影響が出るため、用途(高精度位置決めか、軽快な搬送か)で最適点が変わります。
実務での判断材料として、予圧設計の“見落としやすい影響”を整理します。
有用(予圧の定義、剛性の考え方、寿命計算の注意点)。
予圧と剛性の関係、予圧時の寿命計算注意が読める参考リンク
https://www.thk.com/jp/ja/products/lm_guide/selection/0008/
lmガイド構造が他の案内方式と差別化される最大の特徴は、「無限直線運動」と「許容荷重の大きさ」を同時に狙える点です。THKは、クロスローラーガイドやボールガイドが有限ストロークであるのに対し、リニアガイドはボールが無限循環するため無限直線運動が可能だと説明しています。建築設備寄りの装置(自動ドア、昇降、搬送)でも、ストロークを長くしたい要求があるため、構造の利点がそのまま採用理由になります。
許容荷重の観点では、THKは転動面をR溝形状としてボールと転動面の接触を「点接触」から「面接触」に近づけ、許容荷重が増加するという趣旨を示しています。これにより、同じ外形制約の中で“案内として耐える”余裕を取りやすく、設計の自由度が増えます。
さらに、lmガイドは「上下・左右からの荷重を負荷できる」ことや、溝形状がサーキュラーアーク溝で必要に応じて予圧をかけ剛性を上げられる、という製品説明もあります。荷重方向が一定でない装置(ワーク偏荷重、姿勢変化)では、構造の荷重受けが設計の保険になります。
用途の整理は、単なる列挙より“何が必要で採用されるか”で見ると判断が速いです。
検索上位の解説は“構造の正解”を教えてくれますが、建築寄りの現場では「正しい構造を、正しく働かせる段取り」が失敗の分かれ目になります。THKは、LMガイドの取付は「LMレールの取付け」「LMブロックの取付け」のステップで行うこと、さらに2軸目(従動側)の設置にはストレートエッヂ等の方法があると説明しています。つまり、lmガイド構造の性能は、加工精度だけでなく“据付プロセス”で半分決まる、と言っても過言ではありません。
ここで意外に効くのが、熱と取付面の関係です。予圧で剛性を稼ぐと摩擦発熱が増えやすく、長尺ベースでは温度勾配が平行度に影響することがあります(結果として、動きが重い位置が出る、片側だけ音が出る等)。これはカタログには出にくいものの、構造(予圧・循環・接触)を理解していると予兆として読めます。
もう一点、建築現場で多いのが「ベースが溶接構造」「相手材が薄板」「取付面が塗装やメッキでうねる」といった条件です。lmガイド構造はレールが直線の基準になるため、取付面の局所当たりがあるとレールが追従して歪み、ブロック内部でボールが不均一に負荷されます。結果として、剛性不足ではなく“歪み起因の渋さ”が剛性不足に見える、という誤診が起きます。
独自視点として、現場段取りのチェック項目を「構造に戻して」置いておきます。
(このセクションは“検索上位で語られやすい構造説明”に対し、建築現場の据付・熱・段取りという観点で構造の効き方を深掘りした独自視点です。)