
モールステーパーはJIS B4003-1991で定められた工具接続規格で、工作機械と工具を確実に結合するために使用されます。この規格は機械加工業界で最も広く採用されているテーパー規格の一つです。
主要寸法規格
MT番号 | テーパー比 | 大径D(mm) | 全長L(mm) | 適用工具サイズ |
---|---|---|---|---|
MT0 | 1/19.212 | 9.2 | 59.5 | 1.0-6.0mm |
MT1 | 1/20.047 | 12.2 | 65.5 | 3.0-14.0mm |
MT2 | 1/20.020 | 18.0 | 80.0 | 7.0-23.0mm |
MT3 | 1/19.922 | 24.1 | 99.0 | 14.5-32.0mm |
MT4 | 1/19.254 | 31.6 | 124.0 | 33.0-50.0mm |
MT5 | 1/19.002 | 44.7 | 156.0 | 51.0-76.0mm |
テーパー角度は各サイズでわずかに異なりますが、基本的には約1度26分に統一されています。この微細な角度により自己ロック機能が発揮され、工具が確実に固定されます。
モールステーパーには主に3つの基本構造があり、それぞれ異なる用途に特化しています。
タング式シャンク構造
ねじ付きシャンク構造
タング付ソケット構造
これらの構造により、様々な工作機械での工具交換が効率的に行えます。特にタング式は取り外しが容易で、生産性向上に貢献します。
モールステーパー工具の材料選定と表面処理は、使用環境と求められる精度により決定されます。
材料規格要件
表面処理の種類と特徴
材料選定では、被削材との組み合わせが重要です。一般鋼材用にはハイス系、アルミニウム加工には専用コーティングを施した工具を選択します。これにより工具寿命と加工品質の向上が図れます。
モールステーパー工具の精度管理には専用のテーパゲージが使用されます。JIS B3301:2008で規定されたモールステーパゲージにより、寸法精度を確実に検査できます。
検査項目と基準値
検査手順の標準化
これらの検査により、工具精度の維持と品質保証が実現されます。特に高精度加工では、定期的な精度測定が不可欠です。
従来の規格表では語られることが少ない、実際の現場で重要となる技術的ポイントがあります。
熱膨張係数の影響
振動特性と共振回避
摩耗パターンの予測
これらの要素を考慮することで、工具選定の精度が大幅に向上し、予期しないトラブルを回避できます。特に自動化された生産ラインでは、これらの要素が生産性に直接影響するため重要です。