モータートルク計算と回転数と出力と慣性

モータートルク計算と回転数と出力と慣性

記事内に広告を含む場合があります。

モータートルク計算と回転数

モータートルク計算の概要
🧮
基本は「出力×回転数」

まずは定格出力と回転数から定格トルクを出し、要求トルクとのギャップを見える化します。

⚙️
次に「慣性×加速」

加減速がある装置では、慣性モーメントから加速トルクを積み上げ、ピークを評価します。

最後は余裕と実測

安全率・効率・摩擦・温度を織り込み、必要なら電流やN-T特性で現場確認します。

モータートルク計算の出力と回転数


建築設備でも、巻上げ・搬送・攪拌・換気など「回転を使う機構」は多く、まず押さえるべきは“定格出力と回転数から定格トルクを引き出す”考え方です。一般に、出力PkW、回転数Nrpm、トルクTN・mの関係は、P=T×(2πN/60)÷1000 として整理でき、そこから T=9550×P/N の形に変形して使われます(係数は単位変換の結果)。
現場でのポイントは「式は合っているのに結果が変」になりやすい単位の混在です。例えば出力がW表記なら、kWへの変換(÷1000)を忘れるだけでトルクが1000倍ズレますし、回転数がrps(1秒あたり回転)で来ているケースをrpmのまま代入しても破綻します。小野測器のFAQでも、定格から求める式としてH=T×(2πN/60)÷1000 を提示しつつ、確実には回転-トルク(N-T)特性を確認するのがよい、という実務的な注意が添えられています。


参考)小野測器 - トルクメータFAQ モーター定格からトルクを求…

また「定格トルク=ずっと出せるトルク」ですが、実際の機械は立ち上がりや突発負荷で一時的に大きいトルクを要求します。そこで、定格トルクだけでなく、瞬時最大トルク(ピーク)やデューティを含む評価に進むのが設計の流れです(後段の慣性や負荷トルクの話につながります)。


参考)https://www.orientalmotor.co.jp/ja/tech/calculation/sizing-motor06

・覚える式(kW・rpm・N・mの組み合わせ):T=9550×P/N
参考)モーターのトルクとは?回転数との関係や計算式、制御方法を解説…

・裏側の定義:P=T×(2πN/60)÷1000​
・注意:N-T特性で「その回転数で出せるトルク」を確認するのが確実​
参考:定格出力と回転数からトルクを求める基本式(式変形の根拠)
小野測器 - トルクメータFAQ モーター定格からトルクを求…

モータートルク計算の慣性モーメント

建築の駆動系で見落とされがちなのが、停止状態から回転数まで立ち上げるときの「加速トルク」です。回転体を加速する基本は、必要トルクT=Iα(I:慣性モーメント、α:角加速度)で表せます。つまり、負荷が重い(Iが大きい)か、立ち上がりを速くしたい(αが大きい)ほど、要求トルクは上がります。
もう一段、実務に落とすには「αをどう置くか」です。角加速度αは、回転数の変化を時間で割って作れますが、現場で入力として多いのは「何秒で何rpmまで上げたいか」です。住友重機械の資料では、回転数Nr/min、慣性モーメントJ、加速時間tasを使い、(2π・N・J)/(60・ta) という形で加速トルクを扱う整理が示されています。これを使うと、仕様書の“立上り時間”から機械側の要求トルクを素直に積み上げられます。


参考)https://cyclo.shi.co.jp/product/contorol/cyclo/pdf/s_saikuro_08_03.pdf

ここでの落とし穴は、慣性モーメントの「足し算」を忘れることです。負荷側(ローラ、ファン、ドラム等)だけでなく、カップリング、減速機、ボールねじ等の回転体、さらにモータ自身のロータ慣性も合算して初めてI(またはJ)が成立します。負荷慣性比が大きすぎると、応答性や制御安定性、ピークトルク要求が急に厳しくなるため、単なるトルク式より先に「慣性の棚卸し」をするのが安全です。


参考)モータにおけるイナーシャ(慣性モーメント)の重要性 - ユニ…

・基本:T=Iα​
・仕様ベースの整理例:Ta=(2π・N・J)/(60・ta)​
・実務:負荷+伝達要素+モータの慣性を合算して評価​
参考:加速トルクを「回転数と加速時間」で扱う計算式(仕様→トルクへ落とす)
https://cyclo.shi.co.jp/product/contorol/cyclo/pdf/s_saikuro_08_03.pdf

モータートルク計算の負荷トルク

加速トルクだけでなく、定常的に必要な「負荷トルク」も別枠で見積もります。代表例が直線機構(ボールねじ・すべりねじ)で、回転トルクを推力に変換する系です。KEYENCEのFAQでは、発生推力Faと駆動トルクT、効率η、リードlの関係として Fa=(2π*η*T)/l を示しており、トルク→推力の換算が明確です。
すべりねじ側の解説でも、同様に Fa=(2π×η×T)/l の形で、効率ηが低いほど同じ推力を出すのに必要トルクが増える点が強調されています。建築の現場感で言えば「グリス切れ、粉じん、温度、据付のわずかな芯ずれ」が摩擦を増やし、ηを実質的に悪化させる方向に働きやすいので、机上のηをそのまま信じると危険です(結果としてモータが熱を持ち、停止や寿命低下につながります)。


参考)TNKメディア

さらに重要なのは、負荷トルクは“回転数と独立”で語れないことです。モータは回転数によって出せるトルクが変わり、定格出力ベースの計算は「その回転数での連続可能領域」をざっくり見るための入口にすぎません。だからこそ、負荷トルク(定常)+加速トルク(過渡)+損失(摩擦・効率)を足し上げ、最終的にN-T特性の範囲内に収まるかを見る、という順序が実務的です。

・直線機構の基本:Fa=(2πηT)/l
参考)制御機器FAQ(よくあるご質問)

・効率ηが下がると必要トルクは増える(摩擦が支配)​
・最終確認:N-T特性で「その回転数で出せるトルク」を見る​
参考:推力とトルクの換算式(ボールねじの基本公式)
制御機器FAQ(よくあるご質問)

モータートルク計算の計算式

ここまでの要素を、設計の計算手順として“同じ箱”に入れると判断が速くなります。まず定常側は、出力Pと回転数Nから定格トルクTを算出し(T=9550×P/N)、候補モータの連続側の余裕を確認します。次に過渡側として、慣性モーメントI(またはJ)と角加速度α(または回転数変化と加速時間)から加速トルクを出し、定常負荷トルクに加算してピークを押さえます。
オリエンタルモーターの選定ページでは、ボールねじ機構の手順の中で、負荷慣性モーメント、加速トルク、負荷トルクなどを順に算出していく“選定の型”が提示されています。この「型」を建築設備の装置(シャッター、昇降、搬送、バルブ駆動、ダンパ駆動など)にも持ち込むと、見積根拠が説明しやすく、上司チェックや客先説明でもブレにくいです。

計算の精度を上げる小技として、オンライン計算機で単位換算を二重チェックするのも有効です。CASIOのkeisanサイトにはトルク・回転数・出力の相互計算があり、現場で「rpm→トルク」の取り違えを潰す簡易チェックに使えます。ただし最終判断は、モータメーカーの特性図・定格表・許容トルク(ギヤヘッド含む)へ落とし込むことが前提です。


参考)301 Moved Permanently

・連続側:T=9550×P/N​
・過渡側:T=Iα、または(2π・N・J)/(60・ta)の整理​
・手順化:負荷トルク+加速トルク+伝達系制約(ギヤヘッド許容など)​
・単位チェック:トルク・回転数・出力の相互計算で検算​
参考:トルク・回転数・出力の相互計算(単位取り違えの検算に便利)
301 Moved Permanently

モータートルク計算の安全率

検索上位の多くは「公式を示して終わり」になりがちですが、建築従事者の実務で差が出るのは安全率の置き方です。オリエンタルモーターのボールねじ選定例では、安全率Sf=2を考慮する旨が明記されており、計算値に対して余裕を見込む前提が示されています。この“2”が絶対ではありませんが、少なくとも「机上の必要トルク=採用トルク」ではない、という姿勢が重要です。
独自視点として、建築現場のトルク不足は「止まる」だけでなく「止まり方が悪い」問題を起こします。例えばインバータ制御のファンやポンプでも、立上り時間を短縮しすぎると加速トルク要求が増え、電流が張り付き、結果として保護動作・発熱・寿命低下に直結します(T=Iαの構造上、時間短縮は角加速度増大=トルク増大)。また直線機構では、粉じん・水分・低温でグリース粘度が上がる、あるいは施工誤差で軸芯が出ていない、などが摩擦増大として現れ、効率η低下→必要トルク増に繋がります。

安全率を“数字”で終わらせず、「どの不確かさに対する余裕か」を言語化するとチェックが通りやすくなります。例えば次のように、現場要因をトルクの上振れ要因としてリスト化し、どれが支配的かを見ます。最後に、N-T特性で想定回転数域に余裕があるか、ピークトルクが短時間なら許容できるかを確認し、必要に応じて減速比変更や立上り時間の緩和で逃がします。

✅安全率に関係する上振れ要因(例)
・摩擦増:すべりねじ・ガイド・施工誤差でηが下がる​
・加速要求:立上り時間を短くするとT=Iαでトルクが増える​
・機械制約:ギヤヘッド許容トルクや瞬時最大トルクの扱い​
・最終確認:回転-トルク(N-T)特性で領域確認​
参考:選定手順の中で安全率を明示(Sf=2の考え方が見える)
https://www.orientalmotor.co.jp/ja/tech/calculation/sizing-motor06




xuuyuu DYN-200 30N.Mダイナミックトルクセンサーモータースピードメーターパワーメジャリングテスター パワー値を直接計算可能オーバーロード200%対応 便利なキャリブレーションクリアリングフィルタリング操作向け DC24V用 全てのアプリケーション 向け 円形2.60 × 10radの最大捩れ角を持つ黒色のセンサー 1個