
名古屋鉄道が進める名古屋駅前再開発は、投資額9000億円近くに上る大規模プロジェクトです。現在の名鉄百貨店本店を2026年2月28日に閉店し、周辺一帯の6つのビルを解体して高層ビル2棟を建設する計画が発表されました3。
新しいビルの詳細は以下の通りです。
この再開発により、名古屋駅周辺は南北400メートルにわたる巨大なビル群が形成されます4。スパイラルタワーズとほぼ同じ高さのビルが2棟並ぶことで、名古屋の新たなランドマークとなることが期待されています3。
施設構成については、高層階にはハイアットホテルズの最高級ブランド「ANdAZ(アンダーズ)」が約150室で中部圏初進出を果たします4。低層階には商業施設やバスターミナルが配置され、オフィス機能も充実させる予定です4。
栄地区では「ザ・ランドマーク名古屋栄」(旧称:錦三丁目25番街区計画)が注目を集めています。地上41階、地下4階、高さ211.700メートルの超高層複合ビルで、2026年3月の竣工予定です。
このビルの特徴的な構成。
栄地区では他にも複数の高層ビル計画が進行中です。「栄トリッドスクエア」(高さ97.37メートル、19階建て)や「錦二丁目18番地区市街地再開発」(高さ約130メートル、24階建て)など、2026年から2028年にかけて続々と完成予定です。
これらの開発により、栄地区は従来の商業中心地から、ホテル・オフィス・住宅機能を併せ持つ複合都市エリアへと変貌を遂げています。
2027年のリニア中央新幹線開業を見据えた名古屋の高層ビル計画は、東京一極集中の打破を目指した戦略的な都市開発です。名鉄の高崎裕樹社長は「東京一極を崩す」と明言し、リニア開業と合わせてビジネス客やオフィスを名古屋に誘致する方針を示しています。
リニア効果を見込んだ開発の特徴。
名古屋駅地区では、名鉄の再開発以外にも長期的な計画が進行中です。2033年度の1期完成後、2040年代には2期工事も予定されており、継続的な都市機能強化が図られます。
名古屋市内だけでなく、周辺エリアでも高層ビル計画が活発化しています。愛知県内では以下のような注目プロジェクトが進行中です。
豊田市エリア。
刈谷市エリア。
これらの開発は、名古屋都市圏全体の高層化を促進し、中京圏の都市機能分散と強化を図る重要な役割を果たしています。特に豊田市では自動車産業の集積を背景とした業務機能の高度化が進んでおり、名古屋との連携強化が期待されています。
名古屋の高層ビル計画は、不動産業界にとって大きな投資機会を提供しています。特に注目すべきは、従来の住宅中心の開発から、商業・オフィス・ホテル機能を統合した複合開発への転換です。
投資観点からの注目ポイント。
名鉄の再開発事業には、名鉄都市開発、近畿日本鉄道、明治安田生命保険など5社が共同参画しており、リスク分散と専門性の結集が図られています。総床面積は約40万平方メートルに達し、単一の再開発としては中部圏最大規模となる見込みです。
また、栄地区の開発では積水ハウスや野村不動産など大手デベロッパーが参入しており、競争激化による品質向上とサービス多様化が期待されています。これらの動向は、名古屋の不動産市場全体の底上げ効果をもたらし、周辺エリアの開発促進にも寄与しています。
名古屋の高層ビル計画は、単なる建物の高層化にとどまらず、都市機能の高度化と国際競争力強化を目指した総合的な都市戦略として位置づけられています。2027年のリニア開業を契機とした東海地方の発展において、これらの高層ビル群が果たす役割は極めて重要であり、今後の動向に注目が集まっています。