

色見本帳で選んだ色をそのまま外壁に使うと、仕上がりが1〜2トーン明るくなって損をします。
ナノコンポジットWは、水谷ペイント株式会社が2004年に発売した水性高機能外壁塗料です。その色見本帳には全30色のカラーが「NC-01」「NC-11」「NC-17」など、NCに続く番号で管理されています。建築業に携わるプロが現場で使いこなすうえで、このNC番号の体系をしっかり理解しておくことが欠かせません。
色見本帳は大きく「ホワイト系・ベージュ系・グレー系・ブラウン系・ブルー系」という5系統に分けられています。それぞれのグループでNC番号が割り振られており、数字が小さいほど白・明度の高い色、数字が大きくなるにつれてやや濃いトーンに移行する傾向があります。つまり「大体の番号帯」を覚えるだけで、現場で色見本帳を開いたときにすぐ目的のカラーに近づけるわけです。
色見本帳そのものは水谷ペイントの公式サイトから請求できるほか、パートナー施工店に認定された業者は在庫として常備しているケースがほとんどです。また、日本塗料工業会(日塗工)が発行する色見本帳の番号を指定して調色することも可能ですが、ナノコンポジットWの塗料特性上、出せない色域が存在する点には注意が必要です。それが条件です。
| 系統 | 主なNC番号 | イメージ |
|---|---|---|
| ホワイト系 | NC-01〜NC-05 | 清潔感・明るさ |
| ベージュ系 | NC-06〜NC-15 | 温かみ・自然調和 |
| グレー系 | NC-16〜NC-22 | モダン・スタイリッシュ |
| ブラウン系 | NC-23〜NC-28 | 重厚感・落ち着き |
| ブルー系 | NC-29〜NC-30 | 爽やかさ・清涼感 |
実際の施工現場では、NC番号を見積書に明記することが業者との「約束ごと」になります。「ベージュ系」という曖昧な表記だけでは、施工後にトラブルになりかねません。NC番号まで正確に記載された見積書かどうかを確認することが、建築業従事者としての基本です。
参考:水谷ペイント株式会社 公式サイト(ナノコンポジットWの塗料特性・カラー情報が掲載)
https://www.toso-nano.com/w/
色見本帳を見て選んだ色が、実際に外壁全面に塗ってみたら「思っていたより薄い」「明るすぎた」と感じた経験はないでしょうか。これは面積効果と呼ばれる視覚の錯覚が原因です。意外ですね。
面積効果とは、同じ色でも面積が大きくなるほど明るく・鮮やかに見えるという人間の目の特性のことです。たとえばA4サイズ(約210×297mm)の色見本で選んだ色は、外壁のような数十平方メートルの大きな面に塗ると、1〜2トーン明るく・淡く見えます。感覚的には、名刺ほどの小さなカードで気に入った色も、6畳の部屋の壁(約17㎡)に塗ると別の色に見えるイメージです。
この面積効果を踏まえてナノコンポジットWの色見本を選ぶ際は、希望する仕上がりよりも1トーン濃い番号を意図的に選ぶのが現場での定石です。たとえばNC-17(淡いグレー)を希望しているなら、試し塗りや確認はNC-19〜21あたりも並べて検討するとよいでしょう。
面積効果への対策として有効なのは、実際に使う塗料を塗ったサンプルボード(試し塗り板)を現場で外壁面に当てて確認することです。A4サイズ以上、できれば30cm×30cm以上のサンプルボードを使い、日向・日陰それぞれで確認するのが原則です。
また、カラーシミュレーションも面積効果の確認に役立ちます。実際の建物写真に希望の色を合成するため、小さな色見本だけで判断するよりも大幅に仕上がりイメージに近づけることが可能です。ただしモニターの色再現性には限界があるため、最終確認は必ずサンプルボードで行うことが条件です。
参考:外壁塗装の色選びで知っておきたい面積効果についての解説記事(街の外壁塗装やさん)
https://www.tosouyasan13.net/column/47981.html
実際の施工現場でよく選ばれるNC番号には、いくつかの定番色があります。人気色を把握しておくことで、顧客への提案精度が上がり、受注後のクレームも減らせます。これは使えそうです。
NC-01(ホワイト)は最も明度の高い白で、清潔感と明るさを最大限に演出できます。白系は汚れが目立ちやすいイメージがありますが、ナノコンポジットW特有の超低汚染性・セルフクリーニング機能により、一般塗料の白より長期間美しさを保てます。白い外壁を希望するお客様には、ナノコンポジットWはとくに相性がよい選択肢です。
NC-11(ライトベージュ系)は施工事例が特に多い人気色のひとつです。温かみのある淡いベージュで、和風・洋風を問わずどちらの建物にも馴染みやすく、竣工後の満足度が高い傾向にあります。千葉市内のALC外壁案件でも多数採用実績があり、付帯部のこげ茶色とのコントラストが好評です。
NC-17(淡グレー)・NC-21(濃グレー)はグレー系の定番2色です。NC-17は白に近いグレーでホワイト系の汚れリスクを抑えたいお客様に、NC-21はスタイリッシュな重厚感を求めるお客様に向いています。1階と2階で塗り分けるツートン塗装で、NC-17とNC-21の組み合わせは特に完成度が高いと施工業者から評価されています。
NC-33はブルーグレー寄りの独特な色味で、個性的な仕上がりを求める顧客に人気があります。同系統でやや薄いNC-16と濃いめのNC-21と並べてカラーシミュレーションを行うと、顧客の迷いを解消しやすく、打ち合わせの効率化につながります。
| NC番号 | 系統 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| NC-01 | ホワイト | 最高明度の白・清潔感 | 新築感を出したい・明るい外観 |
| NC-11 | ライトベージュ | 温かみ・和洋問わず馴染む | 既存の外観イメージを保ちたい |
| NC-17 | 淡グレー | 汚れ目立ちにくい・上品 | 白っぽい色だが汚れが心配な場合 |
| NC-21 | 濃グレー | 重厚感・スタイリッシュ | 大きなイメチェン・ツートン上色 |
| NC-33 | ブルーグレー | 独特な色味・個性的 | 差別化したい・モダンな外観 |
どのNC番号が最適かは建物の形状・立地・周辺環境によっても変わります。施工現場での色選び提案精度を高めるためには、複数のNC番号のサンプルボードを常時携帯し、その場で比較できる環境を整えておくことが重要です。
ナノコンポジットWを施工する際、顧客から「もっと鮮やかな赤系にしたい」「深みのある濃いネイビーにしたい」といったリクエストを受けることがあります。しかし現実には、ナノコンポジットWには調色できる色域に明確な制限があります。厳しいところですね。
これはナノコンポジットWの塗料そのものの構造に起因します。塗料の主成分に含まれる超微粒子シリカや無機系ナノ粒子が密に配合されているため、大量の着色顔料を加えると塗膜性能が低下してしまうのです。そのため、色見本帳(NC番号)全30色はいずれも「淡彩色〜中彩色」が中心で、極端な濃色・鮮やかな色(彩度の高い赤・青・緑・黄など)は作れません。
とくに注意が必要なのが「ナノコンポジットW防藻+」です。防藻性能を高めた上位グレードであるこの製品は、通常版よりもさらに制約が厳しく、淡彩色のみが使用可能で濃い色は一切選べません。顧客から濃い色の要望があった場合、防藻+への切り替えを提案すると同時に色の制限を事前に説明しておかないと、後で大きなトラブルになります。
日本塗料工業会(日塗工)の色見本帳から番号を指定して調色することも可能ですが、この場合も出せない色域は同様に存在します。日塗工番号で指定する場合は、事前に水谷ペイントのパートナー施工店を通じて調色の可否を確認してから顧客に提案することが原則です。
調色の制限を超えた色を希望する顧客には、アステックペイントの「超低汚染リファイン艶消1000MS-IR」など、より幅広い色域を持つ艶消し低汚染系塗料を代替提案するのが現実的な対処です。ナノコンポジットWの性能に引けを取らない選択肢もあるため、顧客の色の希望と塗料性能のどちらを優先するかを丁寧にヒアリングしたうえで最適な提案に落とし込む、というプロセスが必要です。
参考:ナノコンポジットWのデメリット(調色の幅・価格など)を解説した専門業者によるブログ記事
https://shimada-toso.jp/blog/水谷ペイント-ナノコンポジットwの特徴
多くの施工業者がカラーシミュレーションをただの「完成イメージ確認ツール」として扱っています。しかし実は、カラーシミュレーションは「顧客の後悔を事前に潰す商談ツール」として使うことで、受注率と満足度を同時に高められます。これは大きなメリットです。
具体的な活用法として、まずNC番号を1色だけ見せるのではなく、「同系統で薄め・希望色・濃め」の3色を同じ建物写真に当てはめて比較提示する方法が効果的です。たとえばグレー系を希望する顧客には、NC-16・NC-17・NC-21の3パターンを並べて見せます。3色の比較を見た顧客は「この真ん中がいい」「やっぱり少し濃い方がいい」と自分の意思で判断できるため、「思っていたのと違う」という施工後クレームが大幅に減ります。
また、ツートン塗装の提案では色の組み合わせパターンを事前にシミュレーションして見せることで、単色よりも提案単価が上がりやすい傾向があります。たとえば1階NC-01・2階NC-21という組み合わせと、1階NC-11・2階NC-21の組み合わせを並べて提示すると、顧客が「2パターン悩んでいる」段階から「どちらがいいか決める」段階に移行しやすくなります。
ナノコンポジットWは艶消し(1〜2分艶)仕上げであることも、シミュレーション時に注意が必要です。カラーシミュレーション上の画像は塗料の艶感まで正確には再現できません。そのため「シミュレーションで見たよりマットな感じになる」ことを事前に説明しておくことで、顧客の期待値を正確に設定できます。
さらに見落とされがちなのが、カラーシミュレーションの印刷色とモニター表示色の差です。同じNC-17でも、モニターの種類・設定、印刷機のインク特性によって見え方が変わります。施工後の色は「実際の塗料を塗ったサンプルボードの色が正」であることを、商談時に文書で確認しておくことが重要です。そのための一言を商談チェックリストに入れておくだけで、色に関するクレームリスクを大幅に減らせます。
参考:カラーシミュレーションを使った外壁塗装の色選びの比較事例(NC-33・NC-16・NC-21)
https://xn--rms9i4ix79n.jp.net/blog/47560.html