大谷石タイルで名古屋モザイクの和石彩を選ぶ理由

大谷石タイルで名古屋モザイクの和石彩を選ぶ理由

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大谷石タイルと名古屋モザイクで空間を仕上げる選び方

大谷石の天然石を外壁に張っても、5年で表面がボロボロになり補修費が数十万円かかることがあります。


この記事の3つのポイント
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大谷石の特徴と弱点

吸水率5.64%の天然石は屋外で数十年以内に表層が崩れ始める。磁器質タイルは吸水率3%以下でほぼ劣化なし。

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名古屋モザイク「和石彩」「クレイシェイド」の違い

和石彩は床・壁兼用の大判20mm厚タイル。クレイシェイドは外壁専用のスクラッチ面状。用途と施工場所で使い分けが必要。

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コストと施工性の比較

天然大谷石の張り石工事は45,000円/㎡~。磁器質タイルは12,000〜22,000円/㎡が相場で、長期トータルコストも有利。


大谷石タイルを選ぶ前に知っておきたい天然石の特性


大谷石は栃木県宇都宮市の大谷町で採掘される軽石凝灰岩で、江戸時代から建築資材として使われてきた日本を代表する石材です。大正時代に建造された旧帝国ホテルにも使われ、関東大震災でも倒壊しなかったことで一躍全国に広まりました。あのフランク・ロイド・ライトが設計した建物に採用された事実は、建築に携わる人なら一度は耳にしたことがあるでしょう。


その風合いと歴史は本物です。


しかし、建築現場で実際に使うとなると「特性をしっかり把握しているか」が問われます。まず押さえておきたいのが吸水率の問題です。大谷石の吸水率は約5.64%(関ヶ原石材カタログ値)で、磁器質タイルのJIS I類規定値(3%以下)と比較すると高い数字です。たとえばスポンジが水を吸うようなイメージで、雨が降るたびに石の内部に水分が浸透します。


これが何を意味するかというと、乾湿の繰り返しによる表層劣化です。屋外環境では、数十年という年数で表層が崩れ始め、特に雨のはね返りが当たりやすい下段部分は劣化が早まります。寒冷地では凍結と融解が繰り返されることで体積膨張が起き、割れや剥落のリスクも高まります。これが条件です。


大谷石の特徴である「ミソ」と呼ばれる黒褐色の斑点模様は、1200万年前の凝灰岩に混入した木片などの不純物が由来とされています。この部分は特に柔らかく、屋外使用ではボロボロと剥がれ空洞になることもあります。採掘量も年間約1万トン程度に縮小しており、最盛期の昭和40年代に120か所あった採石場が現在は5か所にまで激減しています。希少性が高まる一方で、単価も上昇傾向にある点は知っておくべきです。


また、天然石としての大谷石には確かなメリットもあります。ゼオライトを含有する多孔質構造による調湿・消臭・吸音効果は実証されており、特に内装での使用時にはシックハウス対策や音響空間の演出に効果的です。珪藻土と比べて2倍以上のホルムアルデヒド除去能力があるとする試験結果もあります。屋内使用に限れば、その素材感と機能性は他に替えがたい魅力を持っています。


大谷石の吸水率・調湿効果・風化デメリットの詳細(ダントータイル公式)


名古屋モザイクが大谷石タイルで実現した「和石彩」の技術的特長

名古屋モザイク工業は1938年(昭和13年)創業、85年以上にわたり国内外のタイル・石材を扱ってきた総合タイルブランドメーカーです。全国10ヶ所にショールームを展開し、建築業界での実績は業界内でも特に厚い信頼があります。


その名古屋モザイクが手がけた大谷石タイルシリーズの代表格が「和石彩(わせきさい)」です。コンセプトは明確で、「大谷石と十和田石が持つ天然石の課題を磁器質タイルの高性能で解決する」というものです。


具体的には何が違うのでしょうか?


最大の違いは吸水率です。天然大谷石の吸水率が約5.64%であるのに対して、磁器質I類タイルの規定値は3%以下、製品によっては0.1%以下のものもあります。これはコップ1杯の水がほとんど浸透しないレベルで、凍害リスクを大幅に低減できます。


サイズラインナップについては、和石彩の20mm厚ラインが1200×600角(粗面)で20,000円/㎡、600角(粗面)で8,000円/㎡という価格帯で展開されています。20mm厚という設計は屋外の重歩行対応を見据えた仕様で、一般的な外壁タイル(9〜11mm厚)より厚く、圧迫感や質感も天然石に近い仕上がりになります。大判であることで目地の本数が減り、施工コストの削減にも寄与します。これは使えそうです。


磁器質I類の材料を高温焼成しているため、表面の色変化が天然石に比べて起こりにくく、竣工時のデザインを長期間維持できます。天然大谷石が採掘直後の青緑色から、鉄分の反応で茶色に変化していくのとは対照的な特徴です。経年変化を「味」として楽しみたいデザインならば天然石が向いていますが、仕上がりイメージを長期間保持したい場合はタイルが適しています。


名古屋モザイク「和石彩」20mm厚製品ラインナップの公式ページ


大谷石タイルの施工で見落としがちなクレイシェイドの目地幅と注意点

名古屋モザイクの大谷石系タイルには、「和石彩」のほかに「クレイシェイド(Clayshade)」という外壁専用シリーズも存在します。クレイシェイドは縦方向と斜め方向の深くてラフなスクラッチ(引っかき)面状をミックスした意匠で、大谷石独特のランダムなテクスチャを外壁で再現することに特化した製品です。


この2シリーズは似ているようで施工方法が大きく異なります。ここが重要な分岐点です。


和石彩(600角・1200×600角)の場合、施工仕様書では「3mm以上の目地幅」を指定しています。一方でクレイシェイドは「8〜10mm程度の目地幅」が必要とされています。これはクレイシェイドの表面凹凸が深いため、狭い目地では施工時に目地詰めが困難になり、仕上がり不良につながるからです。


クレイシェイドの施工仕様書には「塗り目地はできません」という記載があります。一般的な外壁タイルでは塗り目地が標準的な施工手順のひとつですが、クレイシェイドでは凹凸に目地材が残留するリスクがあるため適用不可となっています。施工前のテストを怠ると、目地残りによる黒ずみが生じてクレームに発展することがあります。


さらに、クレイシェイドの三丁掛サイズを使用する場合は「シュタールネット工法」での施工が指定されています。これはタイルをあらかじめネットに張り付けた状態で施工するユニット工法で、重量のあるタイルを確実に固定するために求められる仕様です。この工法を知らずに通常の圧着張りで施工した場合、タイルの落下リスクが生じる恐れがあります。


カーボンや酸化鉄を含む黒系目地材も要注意です。目地残りしやすい傾向があるため、施工前に「目地詰めテスト」を行うことが仕様書で推奨されています。このひと手間を省くと竣工後の外観クレームに直結します。目地施工は基本です。


名古屋モザイク「クレイシェイド」製品仕様・施工注意事項の公式ページ


大谷石タイルと天然大谷石のコスト比較:施工費と長期維持費の実態

建築業従事者として現場でよく議論になるのが、「天然石とタイルのどちらが経済的か」という点です。素材コストだけで判断するとミスリードになりやすいため、施工費と維持費を含めたトータルコストで整理します。


まず天然大谷石の施工費用から確認します。大谷石の張り石工事は材料費込みで45,000円/㎡〜が相場(石材職人会社アイエスアイ参考)、塀工事になると58,000円/㎡〜とさらに高くなります。1LDKのマンション廊下(約20㎡)に天然石を張るだけで、最低でも90万円の出費になる計算です。これは痛いですね。


対して外壁タイル工事の相場は12,000〜22,000円/㎡程度で、材料費を含めても天然石の半分以下になるケースが多いです。名古屋モザイクの和石彩600角は材料費が8,000円/㎡(税抜)であり、施工費を加算しても天然大谷石と比べて明確にコストを抑えられます。


次に維持費の観点です。天然大谷石は屋外で使用すると数十年以内に表層劣化が始まります。その補修費は大谷石のカケ・キズ補修(小〜Φ30mm)で1箇所あたり4,500円〜が目安で、広範囲の表層崩れとなれば数十万円規模の補修工事が必要です。一方、磁器質タイルは自然風化がほぼなく、半永久的な耐久性があると言われています。目地のシーリング劣化は定期的な点検が必要ですが、タイル本体の破損は通常の外壁環境では起きにくいです。


タイルとサイディングの比較では「30年を境にタイルのほうが総コストが低くなる」という試算も広く知られています(淡陶社)。天然石とタイルの比較でも同様の構図が成立しやすく、特に住宅以外の商業施設や集合住宅では長期維持費の重要性がより高くなります。つまり、初期費用だけが条件ではありません。


大谷石の施工単価一覧(石材専門会社アイエスアイ)


大谷石タイルが住宅以外の建築プロジェクトでも選ばれる独自の理由

大谷石系タイルを採用する現場は、一般住宅の外壁や玄関だけにとどまりません。建築業従事者として知っておくべき意外な視点があります。


商業施設・ホテルのファサードでの採用が増えています。その背景には、「日本らしさ」「和の質感」を求める設計ニーズが高まっていることがあります。名古屋モザイク工業は海外向けの施工事例も公式サイトで紹介しており、和石彩シリーズの1200×600角タイルを床・壁両方に採用した海外施設の事例があります(品番NXS-X5010G等)。外国人旅行者を意識したインバウンド向け施設では、大谷石の質感を持つタイルは訴求力の高いデザイン要素になっています。


また、内装用途では吸音効果を期待したシアタールームや音楽スタジオへの採用実例があります。天然大谷石の多孔質構造はコンクリートやガラスより高い吸音率を持つことが確認されています。ただし磁器質タイルは高密度焼成のため多孔質ではなく、この吸音効果はタイルでは得られない点は正確に区別しておく必要があります。吸音効果が目的ならば天然石が条件です。


建物の用途別で整理するとわかりやすいです。


| 用途 | 推奨素材 | 理由 |
|------|----------|------|
| 屋外外壁・アプローチ | 磁器質タイル(和石彩・クレイシェイド) | 吸水率低・耐凍害・メンテナンス負担軽減 |
| 内装壁(リビング・エントランス) | 天然大谷石またはタイル | 両方可。調湿・吸音目的なら天然石を優先 |
| 屋外床(歩行頻度が高い場所) | 20mm厚磁器質タイル(和石彩20厚) | 重歩行対応・耐摩耗性重視 |
| 音響空間(スタジオ・シアタールーム) | 天然大谷石 | 多孔質構造による吸音効果が目的 |


名古屋モザイク工業のショールームは全国10か所に展開されており、実物サンプルを確認しながら設計者・施主と仕様の打ち合わせができます。自由見学は予約不要で、スタッフによる案内が必要な場合は事前電話予約が必要です。サンプルを手に取って確認できる点は、タイル選定で見た目以上に重要です。色幅・テクスチャのバラつきは実物確認が必須です。


名古屋モザイク工業 公式サイト(ショールーム情報・施工事例検索)


大谷石タイルの施工で失敗しないための馬踏み目地と色幅への対応策

タイルの施工精度はデザインの完成度に直結します。特に大谷石系のような「ランダムな自然石テクスチャ」を再現したタイルは、施工上の細部が仕上がりを大きく左右します。建築業従事者として現場を管理する立場で、よく見落とされるポイントを3つ整理します。


馬踏み目地のずらし幅管理


名古屋モザイクの和石彩(1200×600角)を馬踏み目地で施工する場合、仕様書には「ずらし幅は長辺の1/4以下」という指定があります。600角を馬踏み目地にする場合は「長辺の1/4程度を推奨」です。この規定を守らないと、タイルのたわみや応力集中が起き、長期的なひび割れの原因になります。長辺600mmのタイルなら最大ずらし量は150mm(はがきの横幅程度)が上限と覚えておけばOKです。


② 色幅への事前対応


大谷石系タイルは「意匠上、大きな色むらと色幅がある」と仕様書に明記されています。ロットが変わると色調が変化するケースがあるため、十分な数量を同一ロットで確保することが原則です。追加発注時にロットが変わると、竣工後に色のムラが目立ち、施主クレームの原因になります。発注数量は必要量の5〜10%増しを目安にして、余剰を保管することを推奨します。


③ モップ清掃は厳禁


防滑性の高い大谷石系タイル(粗面仕上げ)はモップ清掃が禁止されています。表面の凹凸にモップの繊維が引っかかり、白残りや表面の汚損原因になるためです。清掃は硬いブラシによる水洗いが基本で、この点を竣工時に施主へ引き渡し書面で明記しておくことが、竣工後トラブルの防止につながります。これが原則です。


施工前の注意事項として、輸入品については「在庫と納期の事前確認が必須」という点も見逃せません。名古屋モザイクの一部製品は輸入品であり、予告なしに仕様変更や生産中止となる場合があることが公式に示されています。設計段階で早めに代理店に確認し、代替品の選定も並行して進めておくことが現場管理上の安全策になります。


名古屋モザイク「和石彩」製品詳細・施工注意事項の公式ページ




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