
天井付けタイプのロールスクリーン施工において、掘り込み寸法は製品性能と施工精度に直結する重要な要素です。TOSOの標準仕様では、製品幅300~2400mm、製品高さ100~3000mmの範囲で製作可能となっており、幅・高さ比1:3が限度とされています。
天井付け施工時の基本寸法規定は以下の通りです。
ニチベイ製品の場合、商品高さに応じたD寸法(掘り込み深度)の計算式が詳細に規定されています。商品高さ500~599mmでは商品高さ(H)+40mm、600~800mmでは商品高さ(H)+25mmといった具合に、高さ区分ごとに異なる計算式が適用されます。
施工時の注意点として、サイドホルダーのサイズがSとLの2種類あり、スクリーンの厚みや製品高さによって使い分けが必要です。これにより掘り込み寸法も微調整が必要となるため、事前の仕様確認が重要です。
正面付けタイプは窓枠外側への設置となるため、天井付けとは異なる寸法規定が適用されます。特に掘り込み深度の計算において、巻径寸法だけでなく操作機構の干渉も考慮する必要があります。
正面付け施工における寸法規定。
TOSOの構造図によると、正面付けの場合の掘り込み深度は68mm(一部機種では78mm、89mm)となっており、これは巻径寸法に加えてブラケットの奥行きが考慮された数値です。
サンゲツ製品では、製作可能寸法比率が巾:高さ=1:8と設定されており、正面付けの場合でも同様の比率が適用されます。この比率を超える場合は特殊仕様での対応となり、掘り込み寸法も変更が必要となる場合があります。
掃き出し窓への正面付け施工では、床への引きずりを防ぐため、高さ寸法は窓枠外側寸法と合わせることが推奨されています。これにより、掘り込み深度の計算も床面からの高さを考慮した設計が必要となります。
ロールスクリーンの掘り込み寸法設計において最も重要な要素が巻径寸法の正確な計算です。巻径は生地の種類、厚み、製品高さによって決まり、掘り込み深度の基準となる数値です。
TOSOの巻径計算では、生地をグループ分類し、各グループごとに製品高さに応じた巻径寸法が一覧化されています。
標準生地グループの巻径寸法例。
ニチベイ製品では、コントロールユニットⅠ、Ⅱ、Ⅲの3種類があり、各ユニットで寸法が異なります。特にコントロールユニットⅡ使用時は78mm、ユニットⅢ使用時は89mmの深度が必要となり、掘り込み設計時には使用するコントロールユニットの事前確認が不可欠です。
巻径計算の実用的な計算式として、A=2×巻径+αという公式が用いられ、αは機構部分のクリアランスを示しています。この計算により、正確な掘り込み深度の設計が可能となります。
建築設計段階での掘り込み計画には、各メーカーの製作可能寸法範囲の把握が必要です。寸法制限により掘り込み設計の見直しが必要となる場合があるためです。
主要メーカーの製作可能寸法比較。
TOSOマイテック。
ニチベイミニマル。
サンゲツ標準仕様。
特に注意すべき点として、幅2,000mm以上の製品では巻径寸法が大きくなる傾向があり、掘り込み深度の設計にも影響します。また、チェーン式の場合、製作可能寸法比が1:4.5を超えると寸法が2.5mmずつ増加する仕様もあります。
ブラケット使用個数も寸法に影響し、製品幅1500mm以下は2個、2000mm以下は3個、2700mm以下は4個の使用が標準となっています。これらのブラケット配置も掘り込み設計時に考慮が必要です。
実際の施工において、設計時の寸法と現場の実測値に差異が生じることがあります。特に掘り込み施工では、僅かな寸法誤差が製品の動作不良につながる可能性があります。
施工時の重要チェックポイント。
特に浴室やキッチンなどの湿気環境では、突っ張り式テンションバーの使用が一般的ですが、この場合の寸法計算は通常の天井付けとは異なります。テンションバー分の高さ(約50mm)を差し引いた製品高さでの発注が必要となります。
また、ダブルタイプのロールスクリーンでは、カバー仕様と無しでブラケット寸法が変わり、掘り込み深度の計算も変更が必要です。カバー仕様の場合は追加で15~20mmの深度確保が推奨されています。
メンテナンス性も考慮し、操作コードやチェーンの交換作業スペースとして、側面に30mm以上のアクセス空間を確保することで、長期的な使用における問題を回避できます。
施工完了後の動作確認では、全開時・全閉時・中間位置での動作をチェックし、掘り込み部分での干渉がないことを確認することが重要です。特に正面付けの場合は、操作時の前面への張り出しも考慮した掘り込み設計が求められます。