
サドルバンドは配管支持金具として建築設備工事において重要な役割を果たしています13。主要な材質と基本規格について詳しく解説します。
主要材質の分類 🔩
電気亜鉛めっき仕上げのサドルバンドは、一般的なSGP管(配管用炭素鋼鋼管)に最も多く使用されており、固定にはAピンやビスを使用します。ステンレス製サドルバンドをSGP管に使用する場合は、電食防止処理として防食テープなどの処理が必要となる点に注意が必要です。
銅管用のサドルバンドには、管表面を支持金具の接触による細かな傷から保護するため、軟質塩ビコーティングが施されています。この軟質塩ビの物性上、使用温度は常温80℃までという制限があります。
SGP管用サドルバンドの詳細寸法を呼び径別に整理しました。実際の施工では、この寸法表を参考に適切なサイズを選定することが重要です。
標準サドルバンド(A10430)寸法表 📋
呼び径 | 適合管外径(mm) | 厚み(mm) | 穴径(mm) | 入数(個) |
---|---|---|---|---|
15A(1/2) | 21.7 | 0.5 | φ4 | 600 |
20A(3/4) | 27.2 | 0.5 | φ4 | 500 |
25A(1) | 34.0 | 0.5 | φ4 | 400 |
32A(1 1/4) | 42.7 | 0.5 | φ4 | 300 |
40A(1 1/2) | 48.6 | 0.8 | φ4 | 250 |
50A(2) | 60.5 | 0.8 | φ4 | 200 |
厚サドル(A10431)寸法表
厚サドルは標準品より厚みがあり、重量のある配管や振動が予想される箇所に使用されます。
呼び径 | 適合管外径(mm) | 厚み(mm) | 穴径(mm) | 特徴 |
---|---|---|---|---|
15A(1/2) | 21.7 | 2.3 | φ5 | 重荷重対応 |
25A(1) | 34.0 | 2.3 | φ5 | 振動対策 |
50A(2) | 60.5 | 2.3 | φ5 | 高強度仕様 |
125A(5) | 139.8 | 3.2 | φ11 | 大口径対応 |
125A以上の大口径では、穴径がφ11に変更され、厚みも3.2mmに増加することで、より大きな荷重に対応できる設計となっています。
ステンレス製サドルバンドは、腐食環境や食品関連設備で重要な役割を果たします。材質によって特性が異なるため、用途に応じた選定が必要です。
SUS304製ステンサドル(A10452)仕様 ⚙️
SUS304製は最も一般的なステンレス材質で、優れた耐食性を持ちます。
呼び径 | 適合管外径(mm) | 厚み(mm) | 用途 |
---|---|---|---|
15A | 21.7 | 2.0 | 一般配管 |
40A | 48.6 | 2.0 | 中圧配管 |
100A | 114.3 | 2.0 | 大口径配管 |
200A | 216.3 | 3.0 | 重荷重配管 |
SUS430製ステン厚サドル特徴
SUS430製は磁性を持つステンレス鋼で、SUS304と比較してコストパフォーマンスに優れています。耐食性はSUS304に劣りますが、一般的な建築環境では十分な性能を発揮します。
固定方法にも注意点があり、ステンレス製サドルバンドの固定にはビスを使用し、Aピンは使用しません。これは材質の特性と固定強度を考慮した仕様です。
耐火二層管(FDP)用のステンTNサドル(A10456)も用意されており、パイプメーカーにより管外径が異なる場合があることから、事前の寸法確認が重要です。
銅管とVP管(塩ビ管)用サドルバンドは、それぞれの管材特性に合わせた専用設計となっています。
銅管用デップサドル(A10434)規格 🔶
銅管用サドルバンドは、管表面の保護と電気絶縁性を重視した設計です。
呼び径 | 適合管外径(mm) | 厚み(mm) | 用途範囲 |
---|---|---|---|
10A(3/8) | 12.7 | 1.0 | 給湯配管 |
15A(1/2) | 15.88 | 1.0 | 給水配管 |
20A(3/4) | 22.22 | 1.0 | 冷温水配管 |
25A(1) | 28.58 | 1.0 | 主管配管 |
クリップサドル(SDタイプ)詳細仕様
3mmゴム(EPDM)付きのクリップサドルは、銅管の振動吸収と絶縁性向上を目的とした高機能製品です。
VP管用サドルバンド特殊仕様
VP20、VP25、VP30専用のサドルバンドは、他寸法のVP管には使用できません。適合しない場合は、A10430サドルバンドやA10431厚サドルを使用する必要があります。
ダイドーハントのサドルバンド製品では、50Aが58.2x60.4x124x24x2.3mm、65Aが73x76x141x24x2.3mmの寸法で、穴径はφ5となっています。
現場での実務において、サドルバンド選定時に見落としがちな重要ポイントを解説します。これらの知識は、施工トラブルの回避と工事品質の向上に直結します。
管種別適合性の落とし穴 ⚠️
多くの施工者が見落とすのが、管種と材質の相性問題です。ステンレス製サドルバンドをSGP管に直接使用すると、異種金属接触による電食が発生する可能性があります。この場合、必ず防食テープによる絶縁処理が必要です。
被覆管用サドルバンドの選定では、被覆厚みを考慮した寸法選定が重要になります。プリゾールチューブなどの被覆銅管では、被覆厚み分を加算した外径でサドルバンドを選定しなければなりません。
荷重計算と支持間隔の実務知識 📐
サドルバンドの選定では、配管重量だけでなく内容物重量、保温材重量、さらに地震時の動的荷重も考慮する必要があります。特に断熱配管では、保温材の重量が配管重量を上回ることがあるため、厚サドルの使用を検討すべきです。
支持間隔については、鋼管の吊配管・立配管及び振れ止め支持間隔の基準値がありますが、実際の現場では建築構造との兼ね合いで調整が必要になることが多くあります。
施工時のトラブル回避テクニック
現場でよく発生するトラブルとして、サドルバンドの取付方向間違いがあります。特に片サドル(A10438)は取付方向に注意が必要で、間違った向きで取り付けると十分な支持力が得られません。
耐火二層管用のTNサドルでは、パイプメーカーによる管外径の違いが問題となることがあります。同じ呼び径でもメーカーにより実際の外径が異なるため、事前の実測確認が重要です。
角材・丸材・パイプ材の接合には角バンドやパイプバンドも併用されますが、これらとサドルバンドの使い分けを適切に行うことで、より確実な配管支持システムを構築できます。
株式会社アカギの製品情報では、各種管外径一覧表や配管重量表も提供されており、正確な選定の参考になります。
配管支持金具の詳細仕様と選定基準
ダイドーハントの角バンド・パイプバンド・サドルバンド製品情報では、実際の寸法表と商品コードが確認できます。