
皿穴加工において最も重要なのは、JIS規格に準拠した正確な寸法設定です。皿頭ねじ用皿穴の形状は、JIS B1017:2008によって詳細に規定されています。
📊 主要な皿穴規格寸法表
ねじの呼び径 | 皿穴径(φa) | 通し穴径(φb) | 最小板厚(t) | 皿の厚み(c) |
---|---|---|---|---|
M2 | 4.4mm | 2.4mm | 1.2mm以上 | 1.2mm |
M3 | 6.3mm | 3.5mm | 1.75mm以上 | 1.75mm |
M4 | 8.6mm | 4.5mm | 2.3mm以上 | 2.3mm |
M5 | 10.6mm | 5.5mm | 2.8mm以上 | 2.8mm |
M6 | 12.8mm | 6.6mm | 3.4mm以上 | 3.4mm |
この規格寸法は建築業界で広く使用されており、適切な皿穴加工を行うための基準となっています。皿穴径は使用するねじの頭部径よりもわずかに大きく設定されており、確実な取り付けが可能です。
⚠️ 注意点: 皿ビスの皿厚み(c)が板厚(t)を超える場合は、ビスが正常に取り付けできないため、取り付ける相手側に面取り加工などの追加工が必要になります。
皿穴の形状は円錐形状で、底面が平らになっているのが標準的な仕様です。皿穴の角度はJIS B1176で規定されており、一般的には90度が採用されています。
🔄 皿穴の基本形状要素
皿穴加工では、正しい角度の維持が重要です。90度以外の角度を使用する場合は、特別な理由と設計要求がある場合に限定されます。角度の精度が悪いと、皿頭ねじが正常に収まらず、表面から突出する可能性があります。
加工時の形状確認ポイント
皿穴の寸法計算は、使用するねじのサイズに基づいて行います。適切な皿穴径と深さの設定により、ねじ頭部が表面に露出することなく、確実な固定が実現できます。
📐 皿穴径の計算式
具体的な計算例。
⚡ 板厚による制約
皿穴の深さは使用する板材の厚さと密接な関係があります。最小板厚の規定を下回る材料では、適切な皿穴加工ができません。
深さ設定の実践的なコツ
皿穴加工を正確に行うためには、適切な工具選択と加工順序が重要です。皿穴カッターまたは皿穴ドリルを使用した標準的な加工手順を説明します。
🔧 加工に必要な工具
Step-by-step加工手順
⚠️ 加工時の重要な注意点
品質管理のポイント
皿穴規格の適用は、使用する材質や特殊な用途によって異なる考慮が必要です。特に高温環境や腐食環境では、標準規格から外れた設計が必要になる場合があります。
🏗️ 材質別の皿穴設計指針
鋼材(SS400等)
ステンレス鋼(SUS304等)
アルミニウム合金
📋 特殊用途における皿穴設計
meviyによる板金加工での制約
意外な応用事例
建築業界では、皿穴加工が美観性と機能性を両立させる重要な技術として活用されています。特に以下のような場面で威力を発揮します。
設計者が知っておくべき豆知識
皿穴の深さを板厚の50%以下に設定することで、母材の強度低下を最小限に抑えながら、確実な固定が可能になります。この比率は、実際の建築現場での長年の経験から導き出された実用的な指針です。
皿穴規格の正確な理解と適用により、建築物の品質向上と施工効率の改善が実現できます。JIS規格に準拠した正確な加工技術の習得は、建築業従事者にとって必須のスキルと言えるでしょう。
JIS B1017:2008 皿頭ねじ用皿穴の形状 - 詳細な規格内容と寸法表
八光産業 皿穴加工寸法資料 - 実用的な寸法表と加工のポイント