

線形計画法(高校の範囲で扱うもの)は、一次不等式で表される「制約条件」を同時に満たす範囲(領域)をつくり、その中で一次関数の値を最大値または最小値にする点を探す問題です。
制約条件は、たとえば「x≥0」「y≥0」のような基本条件に加え、「x+2y≤6」「2x+y≤6」といった“直線の下側/上側”で表される条件が組み合わさります。
ここで重要なのは、領域をただ塗るのではなく、境界(等号の直線)・交点(頂点)・どちら側が許されるか(不等号の向き)を、毎回手順として固定することです。
建築の現場でも「制約条件→許される領域」という見方はそのまま使えます。例えば、材料の上限、作業時間の上限、必要性能の下限(強度・断熱など)は、すべて“守るべき不等式”として整理できます。
高校数学では2変数なので図示できますが、実務は変数が増え、頭の中で“領域”を描けなくなるのが難点です。ただし、2変数の例題で「制約条件が増えるほど、動ける範囲が狭まる」という感覚を身体化しておくと、会議で条件が追加された瞬間に判断が速くなります。
・制約条件チェックのコツ(高校例題の段階で癖にする)
参考)https://koyukai.kyushu-u.ac.jp/files/AssociationJournal_2_file.pdf
線形計画法で最大化/最小化したい式を「目的関数」と呼び、典型は「x+y」「2x+3y」「7x+5y」などの一次式です。
高校の解法の核心は、目的関数を「x+y=k」のように置き、kを変えると直線が平行移動する、と捉える点にあります。
この直線が領域の中を“通る間”でkが最大になる位置、または最小になる位置を探せば、最大値・最小値が決まります。
目的関数の直線を動かすとき、実務に似た感覚が出ます。例えば「利益(目的関数)を増やしたい」が「電力・ガス(制約条件)」で縛られる、という文章題は、生産だけでなく建築の資材配分・外注比率・工程配分にも近い構図です。
高校例題では2変数なので「直線が領域に最後に接する点」を目で追えますが、そこで得るべき学びは“最大値・最小値は、だいたい境界に押し付けられて決まる”という直観です。
参考)領域における最大・最小問題(線形計画法)
現場の言い換えをすると、「余裕がある間は改善(目的関数の増加)が進むが、最後はどこかの制約がボトルネックになり、境界で止まる」ということです。
この見方を持つと、打合せで「結局どの条件が首を絞めているのか?」を早く特定しやすくなり、値引き交渉・工程短縮・仕様見直しの議論が整理されます。
典型手順は「(1)不等式の領域を図示→(2)目的関数をx+y=kなどとおく→(3)直線を平行移動して最大・最小を与える点を決める」です。
その際、目的関数の直線の「傾き」が、どの頂点で最大値・最小値になるかを左右するため、境界線同士の傾きの大小関係に注意する必要があります。
実際、目的関数が変わるだけで、最大値が出る頂点が別の点へ切り替わることがある、と明示されています。
ここは高校生がつまずきやすいポイントなので、建築従事者向けに“手戻り防止の作法”として言い換えます。
目的関数の傾きは「評価の軸の比率」です。例えば「コスト重視」から「工期重視」に評価軸が変われば、最適解(採るべき手段)が別の頂点にジャンプしても不思議ではありません。
高校例題の段階で「傾きが変わる=評価が変わる=最適点が変わる」をセットで理解しておくと、発注者の方針転換が起きた瞬間に、再検討すべきポイントが見えやすくなります。
・手計算での安全策(解き方の事故を減らす)
高校の線形計画法は、単なる「領域における最大・最小」だけでなく、電力・ガスなどの上限のもとで利益を最大化する、といった文章題に直結します。
文章題のコツは、先に変数を置いてから条件を機械的に不等式へ落とし、目的関数(利益など)を最後に置くことです。
また、情報を表に整理してから不等式を立てると理解しやすい、という学習上の指針も示されています。
建築に引き寄せると、文章題は「現場の要件定義」と同じです。
例えば「A工程を1回回すと人工2、B工程を1回回すと人工3、人工上限19」など、資源の上限(制約条件)と、成果(目的関数)を数式化できれば、勘や経験の議論を“再現可能な判断”へ寄せられます。
高校例題の段階では最適化の精度より、条件の読み落としを減らす設計(表にする、単位を揃える、上限/下限を取り違えない)が価値になります。
・文章題を強くするチェックリスト
高校の線形計画法では「(例外を除き)最大値・最小値は領域の端っこ(頂点)で起きる」という性質が強調されています。
さらに、二変数では図示で直観的に追える一方、一般のn変数では図示できず、それでも「端っこを利用する」単体法などで高速に解く話題に触れられています。
この“端点で決まる”感覚は、建築の工程設計にもそのまま移植できます。
独自視点としては、工程や見積の現場では「中途半端な案(領域の内部)」は採用されにくく、結局は「どこかの制約を使い切る案(境界)」に寄りやすい、という実感があるはずです。
たとえば、工期が厳しいときは「人工」や「外注枠」を上限まで使う方向に寄り、予算が厳しいときは「仕様」や「回数」を下限まで落とす方向に寄るなど、判断が端に寄る現象が起きます。
高校の例題で“頂点を全探索して決める”手順は、そのまま「候補案を有限個に絞り、評価式で比較して意思決定する」という会議運営の型にもなります。
・現場での応用アイデア(図は描かなくても使える)
領域の端点(頂点)で決まる理由、最大化の図解の参考。
領域における最大・最小問題(線形計画法)
文章題(利益)での不等式の立て方、目的関数の置き方の参考。
線形計画法とは?例題(文章題)の解き方