省エネ法特定事業者一覧と対象事業者の要件

省エネ法特定事業者一覧と対象事業者の要件

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省エネ法特定事業者の基本情報と一覧の確認方法

省エネ法特定事業者の概要
特定事業者の条件

年間エネルギー使用量が原油換算1,500kl以上の事業者が指定対象

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対象事業者一覧

経済産業省の公式サイトで確認可能な指定状況リスト

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建築業界への影響

大規模建設会社や工場設置企業が主な対象となる重要な制度

省エネ法特定事業者の定義と基本要件

省エネ法における特定事業者とは、事業者が設置している本社、工場・店舗などで使用しているエネルギー使用量を合計して1,500㎘/年度以上である事業者のことです。この特定事業者に指定される場合、省エネ法の義務を受けることになります。建築業界においても、大規模な工事現場や事務所、資材置き場などを複数運営している事業者は対象となる可能性があります。
参考)【最新版】省エネ法における「特定事業者ごとの義務」をわかりや…

 

法人格を原則とした事業者のうち「事業全体のエネルギー使用量(原油換算値)が合計して1,500kl/年度以上」であり「事業全体のエネルギー使用量を国に届け出て、特定事業者の指定を受けた」者が該当します。前年度のエネルギー使用量を原油換算した場合に1,500kl以上になった事業者は、翌年度の5月末日までに「エネルギー使用状況届出書」を経済産業局に提出しなければなりません。
参考)特定事業者

 

省エネ法特定事業者一覧の公開情報と確認方法

経済産業省では、特定事業者、特定連鎖化事業者及び認定管理統括事業者の指定状況を公開しています。「特定事業者、特定連鎖化事業者及び認定管理統括事業者指定状況(xlsx形式:466KB)」として、令和4年7月末時点の最新情報が提供されています。これらの一覧では、特定事業者番号、事業者名称、エネルギー管理指定工場番号などの詳細な情報が記載されています。
参考)https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/004/

 

また、第一種及び第二種エネルギー管理指定工場等の指定状況も別途公開されており、「第一種及び第二種エネルギー管理指定工場等指定状況(xlsx形式:766KB)」として確認できます。建築業従事者がこれらの一覧を確認することで、同業他社の指定状況や自社の位置づけを把握することが可能です。

省エネ法特定事業者の区分と分類システム

省エネ法の特定事業者には複数の区分が存在します。まず、基本となる「特定事業者」は、事業者全体で年間エネルギー使用量が原油換算1,500kl以上の事業者が該当し、大型製造業者などが主な例となっています。特に建築業界では、大規模な建設会社やプレハブ製造工場を持つ事業者が該当する可能性があります。
参考)物流関連記事|省エネ法の特定事業者とは?義務や取り組み内容に…

 

「特定連鎖化事業者」は、フランチャイズチェーン本部でフランチャイズチェーン事業の加盟店全体で1,500kl以上のエネルギーを使用する事業者です。建築関連では、住宅展示場やリフォーム店舗のフランチャイズ展開している企業が対象となります。「認定管理統括事業者」は、グループ企業の親会社が一括してグループ企業の省エネ取り組みを統括・報告する場合の制度で、建設業界の大手企業グループに関連します。

省エネ法特定事業者の義務内容と管理体制

特定事業者に指定されると、エネルギー管理統括者とエネルギー管理企画推進者の選任が義務付けられます。全ての特定事業者(特定連鎖化事業者を含む)は、「エネルギー管理統括者」「エネルギー管理企画推進者」をそれぞれ1名ずつ選任のうえ、届出をしなければなりません。
参考)https://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/sho_energy/senkainin.html

 

定期報告書と中長期計画書の提出も重要な義務です。特定事業者には、毎年度のエネルギー使用状況について定期報告書の提出が義務付けられており、提出期限は毎年度7月末日となっています。中長期計画書では、今後3〜5年程度の期間における省エネ対策の具体的な実施計画を記載する必要があります。建築業界では、工事現場での省エネ機材導入計画や事務所の設備更新計画などが含まれます。
参考)https://open-insight.net/blog/energy/specific-business-operator-energy-conservation-law/

 

省エネ法改正による建築業界への独自の影響と対策

2018年の省エネ法改正では、連携省エネルギー計画の認定制度と認定管理統括事業者の認定制度が新設されました。建築業界では、複数の建設会社が共同で大規模プロジェクトを進行する際、連携省エネルギー計画を活用することで、各社の貢献度に応じた省エネ効果の分配報告が可能になりました。
参考)https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/summary/pdf/20181227_001_gaiyo.pdf

 

建築業独自の課題として、工事現場の一時的なエネルギー使用や季節変動が大きい点があります。現場事務所、作業員宿舎、大型建設機械の燃料消費など、建築業特有のエネルギー使用パターンを適切に管理することが求められます。また、プレハブ住宅製造業者やコンクリート製品製造業者など、建築関連の製造業は第一種エネルギー管理指定工場等(年間3,000kl以上)に該当する可能性が高く、より厳格な管理体制が必要です。
参考)省エネ法のエネルギー管理指定工場等とは?対象事業者や報告義務…

 

特に注目すべきは、建築業界でのSクラス評価システムです。優れた省エネ取り組みを行う事業者はSクラス(☆マーク有り)として公表され、業界内での信頼性向上や受注機会の拡大につながる可能性があります。建築業従事者は、省エネ法の遵守だけでなく、積極的な省エネ取り組みによる競争優位性の獲得も視野に入れるべきでしょう。
参考)特定事業者等のクラス分け実施結果(Sクラス公表)