
スタッコ仕上げとは、石灰、セメント、砂、水を混合して作る厚塗り材を使用した外壁仕上げ方法です。この技法は古代ローマ時代から存在し、日本には大正時代に移入されました。昭和40年頃からマンション・大型ビルで頻繁に施工されるようになり、現在でも高級感を求める住宅で採用されています。
本来「スタッコ」は米国における外部塗り壁の総称でしたが、日本では塗り付けたセメントモルタルなどを鏝や木片で叩いて引き起こす仕上げを指すようになりました。その後、既調合セメントリシン材や合成樹脂エマルション系の吹き付けスタッコ材も登場し、工法自体も多様化しています。
興味深いことに、スタッコ仕上げは地域によって定義に幅があり、材料や施工方法が異なる場合があります。しかし、共通しているのは「変化に富んだ石造建築風の質感と重厚な風合い」を実現できることです。
スタッコ仕上げに使用される材料は、セメント系および合成樹脂などの結合材、砂などの骨材、顔料などで構成されています。市場には塗料に近いものから左官材料まで多種多様な製品が出回っており、用途に応じて選択できます。
主な材料種類は以下の通りです。
これらの材料は、それぞれ異なる質感と性能を持っており、プロジェクトの要求に応じて適切に選択する必要があります。
スタッコ仕上げには主に2つの施工方法があります:吹き付け塗装とコテ塗りです。それぞれの特徴を詳しく見てみましょう。
吹き付け塗装工法
専用のコンプレッサーを使用して塗材を外壁に吹き付ける方法です。この工法では以下の特徴があります。
コテ塗り工法
熟練職人が手作業で模様を付けていく方法です。この工法の特徴は。
意外な事実として、最近では特殊な型押しローラーで押さえて変化に富んだ紋様を付ける新しい方法も普及しています。これにより、手作業の個性とある程度の均一性を両立できるようになりました。
スタッコ仕上げの最大のメリットは、その重厚感と高級感にあります。凹凸のある厚い塗膜を形成するため、石造建築のような質感を演出できます。
主要なメリット
塗膜の厚さと強度
スタッコ仕上げの塗膜厚は一般的に5〜8mm程度で、厚い場合は10mm以上になることもあります。この厚さにより、通常の塗装では得られない強固な保護層を形成します。塗料が乾くと硬く強固になるため、他の外壁材と比べて優れた耐久性を発揮します。
興味深いことに、スタッコ仕上げは表面の地化学的プロセスにより、20時間程度でエピジェネティックフィルムと呼ばれる特殊な表面層を形成することが研究で明らかになっています。このフィルムが追加の保護効果をもたらしています。
塗装業者がスタッコ仕上げを施工する際に注意すべき点は多岐にわたります。最も重要なのはひび割れ(クラック)対策です。
主要なリスクと対策
施工工程の管理
樹脂モルタルスタッコ仕上げの場合、以下の工程を厳密に管理する必要があります。
塗り厚が5〜8mm程度までは一度で塗り付けても良いですが、それ以上の場合は2回に分けて塗り付けることが推奨されています。
専門的な施工技術に関する詳細情報は、日本左官業組合連合会の公式サイトで確認できます。
https://www.nissaren.or.jp/458