
ステンレスメッシュの規格は、建築業界において材料選定の基準となる重要な指標です。規格は国際的に標準化されており、主要な規格としてJIS規格(日本工業規格)、ASTM規格(米国材料試験協会規格)、BS規格(英国規格)、**DIN規格(ドイツ工業規格)**があります。
これらの規格は、メッシュ番手、線径、目開き寸法、開口率、質量などの項目を統一的に定めています。メッシュ番手は1インチ(25.4mm)四方に含まれる網目の数で表現され、例えば10メッシュは1インチ四方に10個の網目があることを示しています。
国内で最も一般的なJIS規格では、メッシュ(M)として表記され、国際的に広く使用されるASTM規格では**メッシュ(#)**として表記されます。建築現場では特に、耐候性や強度の観点から適切な規格選定が品質管理において極めて重要です。
ステンレスメッシュの線径規格は、用途に応じて0.2mm から 2.0mm まで幅広く設定されています。例えば、2メッシュでは線径1.5~2.0mm、10メッシュでは線径0.54~1.2mm、48メッシュでは線径0.20~0.23mmというように、メッシュ番手に応じて適切な線径が規格化されています。
材質規格については、SUS304が最も一般的で、耐食性と加工性のバランスが優れています。SUS316は海洋環境や化学プラントなど、より厳しい腐食環境に適用され、SUS316Lは炭素含有量を下げることで溶接性を向上させた材質です。
線径の選定においては、機械的強度と開口率のバランスが重要です。線径が太いほど強度は向上しますが、同じメッシュ番手でも開口率は低下します。例えば、4メッシュ・線径0.8mmでは開口率76.4%ですが、線径2.0mmでは開口率46.9%まで低下します。
メッシュサイズの規格において、平織りが最も基本的な織り方で、網目が正方形で均一な形状を持ちます。**斜め織り(綾織り)**は強度を重視する用途に適し、オランダ織りは非常に細かい濾過用途に使用されます。
開口率の計算は、メッシュサイズと線径の関係で決定されます。公式は以下の通りです。
開口率(%)= (目開き寸法 ÷ ピッチ)² × 100
実際の規格例では。
メッシュサイズの選定では、通過させたい粒子サイズと必要な流量を考慮する必要があります。建築現場では、排水用途なら10~20メッシュ、防虫用途なら20~40メッシュ、精密濾過なら100メッシュ以上が一般的です。
通常の平織り以外にも、特殊織り方の規格が存在します。産業界では、特に食品加工業においてサニタリー仕様のメッシュ規格が重要となります。この規格では、接合部の隙間を最小限に抑え、清掃性を向上させた構造が求められます。
溶接金網(ワイヤーメッシュ)規格では、交点を溶接することで高い剛性を実現しています。線径φ3.2・網目30×30の規格品では開口率79.80%を達成し、構造物の補強用途に適用されます。溶接金網は通常の織金網と比較して、面外方向の剛性が約3倍向上するという特徴があります。
さらに注目すべきは、環境対応規格の新たな動向です。近年では、リサイクル性を考慮した材質選定や、表面処理の環境負荷を削減した規格の検討が進められています。特に大規模建築プロジェクトでは、LEED認証などの環境認証において、使用材料の環境負荷評価が重要な選定基準となっています。
実際の規格選定では、用途別の推奨規格を理解することが重要です。
構造用途。
設備用途。
品質管理において重要なのは、製品検査規格の遵守です。線径の公差は通常±0.02mm、メッシュ寸法の公差は±5%以内が標準的な基準となります。また、溶接部の品質については、目視検査に加えて引張試験による強度確認が必要です。
調達時の注意点として、規格品と特注品のコスト差を理解することが重要です。一般的な規格品は量産効果により20~30%のコスト削減が可能ですが、特注仕様では納期が2~3倍延長される場合があります。
設計段階での規格選定ミスを防ぐため、用途適合性チェックリストの活用が推奨されます。
✅ 必要強度と線径の適合性
✅ 環境条件と材質の適合性
✅ 開口率と機能要求の適合性
✅ 施工性と規格寸法の適合性
これらのポイントを押さえることで、適切なステンレスメッシュ規格の選定と品質確保が実現できます。