
視覚障害者誘導用ブロックの寸法は、JIS T 9251:2014「高齢者・障害者配慮設計指針−視覚障害者誘導用ブロック等の突起の形状・寸法及びその配列」により厳格に定められています。建築現場で適用される基本寸法は以下の通りです。
基本ブロック寸法
この規格は2001年9月20日に制定され、2014年に国際規格ISO 23599:2012との整合性を図って改定されました。建築現場では、この寸法基準を厳守することで、視覚障害者の安全な移動を確保できます。
許容差の重要性
寸法の許容差は施工品質に直結する要素です。突起の高さが規定値を下回ると、足裏や白杖での識別が困難となり、安全性が著しく低下します。逆に高すぎると歩行の妨げとなるため、±1.0mmの範囲内での施工が求められます。
点状ブロックは警告ブロックとも呼ばれ、交差点や危険箇所の警告に使用されます。寸法の詳細は以下の通りです。
点状突起の寸法仕様
配置基準と規則
点状突起は想定する主な歩行方向に対して平行に配列され、最小25点(5×5配列)以上の配置が必要です。ブロックサイズに応じて点数を増やすことが可能ですが、中心間距離は55〜60mmの範囲内で統一する必要があります。
継ぎ目部分の配慮
複数のブロックを連続使用する場合、継ぎ目部分における点状突起の中心間距離は特別な配慮が必要です。最外縁の点の中心とブロック端部との距離は、s/2寸法より5.0mmを超えない範囲で調整可能です。
線状ブロックは誘導ブロックとして、視覚障害者の進行方向を示す重要な役割を担います。寸法要件は点状ブロックよりも複雑な構造となっています。
線状突起の詳細寸法
設置における技術的要求
線状突起の配列はブロックサイズに応じて本数を増やすことができますが、継ぎ目部分では特別な注意が必要です。突起の長手方向における継ぎ目部分での突起と突起の上辺部間隔は30mm以下に制限されています。
施工時の品質管理ポイント
線状ブロックの施工では、突起の方向性が最も重要です。視覚障害者は突起の方向に沿って歩行するため、わずかな角度のずれも方向の誤認識につながります。設置時は専用の測定器具を使用し、正確な方向性を確保することが不可欠です。
点字ブロックは使用環境に応じて複数の材質が提供されており、材質による寸法の微細な差異が存在します。建築現場での適切な選定には、これらの特性を理解する必要があります。
主要材質タイプと寸法特性
温度による寸法変化への対応
特にセラミックタイプや樹脂系材料では、季節による温度変化で微細な寸法変化が生じます。夏季の膨張と冬季の収縮を考慮し、継ぎ目部分には適切な余裕を設ける必要があります。建築現場では年間の最高・最低気温を基に、線膨張係数を計算して施工計画を立てることが重要です。
耐久性と寸法安定性
コンクリートタイプは寸法安定性に優れる一方、セラミックタイプは表面の滑り抵抗が高く、長期使用における突起の摩耗が少ないという特徴があります。使用環境の歩行者数や車両通行の有無を考慮し、適切な材質選定を行う必要があります。
建築現場における点字ブロックの寸法検査は、竣工後の性能に直結する重要な工程です21。適切な検査方法と基準値の把握は、施工品質の確保に不可欠です。
検査項目と測定方法
寸法検査では以下の項目を重点的に確認します。
不適合時の対応手順
寸法が許容差を超えた場合の対応は迅速かつ的確に行う必要があります。軽微な偏差の場合は研磨による調整、大幅な偏差の場合は交換が必要です。特に突起高さの不足は安全性に直結するため、基準値を下回った製品は必ず交換しなければなりません。
継続的な品質管理システム
施工後も定期的な寸法検査を実施し、摩耗や損傷による寸法変化を監視することが重要です。年2回程度の定期検査により、突起高さの減少や変形を早期発見し、適切なメンテナンス時期を判断できます。
デジタル測定技術の活用
最新の建築現場では、3Dスキャナーやレーザー測定器を活用した高精度な寸法検査が普及しています。これらの技術により、従来の手作業では困難だった広範囲での一括測定が可能となり、検査効率と精度の両立が実現されています。