割りピン規格と材質サイズ呼び径

割りピン規格と材質サイズ呼び径

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割りピン規格と材質サイズ

割りピン規格の基本要素
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JIS B 1351規格

割りピンのサイズ・材質・品質を定める日本の標準規格

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呼び径システム

ピン穴径を基準とした独特なサイズ表記システム

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材質バリエーション

スチール・ステンレス・黄銅の3つの主要材質

割りピン規格における呼び径の仕組み

割りピンの規格で最も重要なのが「呼び径」の概念です。多くの方が混乱するのは、呼び径が割りピン本体の実際の径ではないという点です。
呼び径は、割りピンを挿入するピン穴の径を表しており、実際の割りピンの線径(d寸法)はそれよりも小さくなります。例えば、呼び径2mmの割りピンの場合、実際の線径は1.8mmとなります。
規格における主要な寸法表示。

  • 呼び径:挿入するピン穴の径
  • 線径(d):割りピン本体の実際の径
  • 長さ(L):直線部分の短い方の寸法
  • 頭部径(D):曲げた部分の外径

割りピン規格の材質分類と選定基準

JIS B 1351では、割りピンの材質を3つに分類しています:
🔹 鋼製割りピン(鋼ピン)

  • 材料:JIS G 3505(軟鋼線材)のSWRM6~17
  • 表面処理:生地またはユニクロめっき
  • 用途:一般的な機械部品、コストを重視する場合

🔹 ステンレス鋼製割りピン

  • 材料:JIS G 4315(冷間圧造用ステンレス鋼線)
  • 特徴:耐食性に優れる
  • 用途:食品機械、医療機器、屋外設備

🔹 黄銅製割りピン

  • 材料:JIS H 3260(銅及び銅合金線)のC2600WまたはC2700W
  • 特徴:導電性と加工性が良好
  • 用途:電気機器、装飾用途

材質選定の基本原則は、相手部品と同じ材質を使用することです。異種金属を組み合わせると、ガルバニック腐食が発生するリスクがあります。

割りピン規格サイズ表と実寸法対応表

割りピンのサイズは、呼び径0.6mmから20mmまで幅広く規格化されています。実際の購入や使用時に参考となる主要サイズの対応表:

呼び径 実際の線径(d) 頭部径(D) 標準長さ(L)
0.8 0.7mm 1.4mm 10, 12mm
1.0 0.9mm 1.8mm 10, 12, 15mm
1.6 1.4mm 2.8mm 10, 12, 15mm
2.0 1.8mm 3.6mm 12, 15mm
2.5 2.3mm 4.6mm 15, 20mm
3.2 2.9mm 5.8mm 20mm

この寸法の違いを理解せずに注文すると、「そんなサイズの割りピンはありません」と言われてしまうケースがあります。

割りピン規格における品質基準と曲げ試験

割りピンの品質を保証するため、JIS B 1351では厳格な試験基準が設けられています。
曲げ試験の詳細

  • 試験方法:外側に約90度往復3回繰り返し折り曲げ
  • 曲げ半径:ほぼピン径(d)と同等
  • 合格基準:割れが生じてはならない

硬度基準

  • 鋼ピン:HV100~200(ビッカース硬度)
  • ステンレスピン:材料特性に応じた硬度範囲
  • 黄銅ピン:加工硬化により調整

これらの基準により、割りピンは繰り返しの曲げ応力に対して十分な耐久性を保持します。ただし、一度使用した割りピンの再使用は、金属疲労により破断するリスクがあるため原則禁止とされています。

割りピン規格の国際標準との整合性

日本の割りピン規格は国際標準との整合性も考慮されています。JIS B 1351は**ISO 1234-1976(Split pins - Metric series)**に準拠しており、国際的な互換性を確保しています。
国際規格との対応関係

  • JIS B 1351 ⇔ ISO 1234
  • DIN 94(ドイツ規格)との寸法互換性
  • ANSI規格との部分的対応

この国際整合性により、海外製の機械設備のメンテナンスや、輸出機器への使用時にも安心して日本製割りピンを使用できます。
特に建築機械や産業設備では、部品の調達性と互換性が重要な要素となるため、これらの国際規格対応は実用上大きなメリットとなります。