
3DCAD種類は機能レベルと価格帯によって、ハイエンド、ミッドレンジ、ローエンドの3つのクラスに明確に分類されています。それぞれのクラスは異なる用途と対象ユーザーを持ち、導入目的に応じた最適な選択が重要になります。現在の市場では、1980年代から発展してきたハイエンドCADから、1990年代後半に登場したPC向けミッドレンジCAD、そして無料版も含むローエンドCADまで、多様な選択肢が存在しています。
ハイエンド3DCADは、1980年代に登場した最も高機能なCADソフトウェアのカテゴリで、航空宇宙や自動車業界などの大規模プロジェクトで使用されています。これらのソフトウェアは高度な機能、強力なシミュレーション能力、大規模データ処理能力を特徴としており、非常に精密な設計が要求される分野に特化しています。
代表的な製品として、CATIA(ダッソー・システムズ)は航空宇宙と自動車業界で広く採用されており、PTC Creoは包括的な設計ソフトウェアとして複雑な製品設計に対応しています。また、Siemens NXはシーメンスによる統合ソリューションで、設計からシミュレーション、製造プロセスまでを一貫して扱えるのが特徴です。
ハイエンドCADの導入コストは数百万円から数千万円に及ぶため、主に大企業や研究開発部門での利用が中心となっています。しかし、その高いコストに見合うだけの価値を提供し、複雑な製品開発において不可欠なツールとなっています。
ミッドレンジ3DCADは、1990年代後半にWindows OSをベースとして登場したPC向けの実用的なCADソフトウェアです。ハイエンドCADの高度な機能を抑えながらも、実務に必要な機能を維持し、普及価格帯に抑えたことで、業界や企業規模にかかわらず広く使われているクラスです。
このクラスの特徴として、中小規模の製造業や設計事務所での幅広い利用があり、実用的な機能とコストのバランスが優秀な点が挙げられます。ある程度の複雑な設計にも対応しつつ、導入や運用のしやすさも兼ね備えているため、多くの企業にとって最適な選択肢となっています。
機械業界や家電業界など幅広い業界で使用されており、基本的なBIM機能を備えている場合も多く、価格はハイエンドCADよりも大幅に安価に設定されています。このため、実用性を重視する企業にとって非常に魅力的な選択肢となっています。
ローエンド3DCADは、無料から数十万円程度の価格帯で提供される、基本機能に特化したCADソフトウェアです。個人的なプロジェクトや趣味の3Dモデリング、教育機関での学習、簡単なプロトタイプ作成などに適用される傾向があります。
操作が直感的で初心者でも扱いやすく、2D製図と基本的な3Dモデリング機能を搭載しています。ただし、BIM機能は限定的か搭載されていない場合が多く、実務レベルでの利用には機能面で制約があります。
代表的な製品として、ZW3DはZWSOFT社による独自カーネルを採用し、CADからCAMまで一貫したアーキテクチャを提供しています。ThinkDesignはDPT社によるハイブリッドモデリングに特化したパラメトリックCADで、Solid EdgeはSiemensが提供する多機能で使いやすいソフトウェアとして知られています。
建築分野における3DCAD種類は、建築設計に特化した専用CADとして発展しており、壁や柱、窓などの建築要素を簡単に配置し、自動的に立面図や断面図を生成する機能を持っています。建築用3DCADも同様にローエンド、ミッドレンジ、ハイエンドの3つのクラスに分類されます。
ローエンド建築CADは基本的な機能に特化し、比較的シンプルな構造を持ちながらも、インターフェースが直感的で個人ユーザーや初心者でも扱いやすい設計となっています。ミッドレンジ建築CADは中小規模のプロジェクトや一般的な建築設計に適しており、基本的なBIM機能を備えています。
ハイエンド建築CADは最上位の性能を持ち、BIM(Building Information Modeling)機能が充実しており、高度なレンダリング機能やシミュレーション機能を搭載しています。代表的な製品として、ArchiCAD、SketchUp、Revitなどがあり、それぞれ異なる特徴と適用範囲を持っています。
3DCADソフトウェアには主に2種類のモデリング方式が存在し、それぞれ異なるアプローチで3Dモデルを作成します。パラメトリック方式は数値や数式によってモデルの形状や寸法を定義する方法で、設計変更時の効率性に優れています。
この方式の利点として、寸法や形状を後から容易に変更できる点があり、設計の試行錯誤や改良作業において非常に有効です。パラメトリック技術により、設計者は設計意図を数値で明確に表現でき、品質の一貫性と再現性を確保できます。
もう一つの方式として、自由曲面モデリングやスカルプチュラルモデリングがあり、これらは芸術的なデザインや複雑な有機的形状の作成に適しています。現代の高度なCADシステムでは、これらの異なるモデリング方式を組み合わせたハイブリッドアプローチが採用されることも増えています。
設計プロセスの効率化と正確性を重視する場合はパラメトリック方式が優れており、創造的なデザインワークには自由度の高いモデリング方式が適しています。用途に応じてこれらの方式を使い分けることで、最適な設計結果を得ることができます。