断面図と立面図の違いは?外観と内部構造を示す図面の使い分け

断面図と立面図の違いは?外観と内部構造を示す図面の使い分け

記事内に広告を含む場合があります。

断面図と立面図の違い

この記事で分かるポイント
📐
断面図の特徴

建物を垂直に切断し、内部構造や各階の高さ関係を表現する図面

🏠
立面図の特徴

建物の外観を四方向から描き、デザインや開口部の配置を示す図面

🔍
使い分けの基本

平面図と組み合わせて建物の全体像を立体的に理解する

断面図の基本と役割

 

断面図とは、建物を垂直方向に切断し、その断面を横から見た状態を表現した建築図面です。一般的に縮尺100分の1で作成され、建物の各階のつながりや高さの関連を確認するために使用されます。
参考)https://rakuoh.jp/contents/knowledge/what-section-view.html/

断面図からは以下のような重要な情報を読み取ることができます。​

  • 建物の地盤面(GL)の位置
  • 各階の床高とフロアライン(FL)
  • 天井高と天井裏の寸法
  • 屋根の勾配と軒や庇の高さ
  • 階段や吹き抜け、スキップフロアの構成
  • 斜線制限(北側斜線・道路斜線)との関係

特に階段や吹き抜け、ロフトなど、高さ方向に複雑な構成を持つ建物では、断面図が欠かせない存在となります。さらに建築基準法に係る斜線制限の確認も断面図をもとに行われるため、法規制との整合性確認においても重要な役割を果たします。
参考)https://www.kokudo-kc.co.jp/column/uncategorized/442/

立面図の特徴と見方

立面図は、建物の外観を東西南北の四方向から見た姿を二次元で表現した図面です。断面図が建物の内部構造を示すのに対し、立面図はあくまでも完成時の外観デザインを表現することが目的です。
参考)https://www.kagupon.com/media/interior_color_scheme_tips/

立面図から把握できる情報には次のようなものがあります。
参考)https://rakuoh.jp/contents/knowledge/what-is-elevation.html

  • 外観デザインと建物の全体的な形状
  • 窓やドアなどの開口部の位置・大きさ
  • 屋根の形状と勾配
  • 外装材の種類と配置
  • 建物の高さと幅の寸法

立面図は「姿図」とも呼ばれ、建物の外観を施主や施工者と共有するために重要な図面です。外壁のデザインや開口部の配置を視覚的に理解できるため、建築確認申請時の提出書類としても求められます。​

断面図と立面図の決定的な違い

断面図と立面図はどちらも建物を横から見た図面という共通点がありますが、表現する内容が根本的に異なります。​
最も大きな違いは、断面図が建物を切断して内部構造を表すのに対し、立面図は建物の外観のみを示す点です。人間に例えると、断面図は骨や臓器などの内部構造を表すレントゲン写真であり、立面図は外見を撮影した写真といえます。
参考)https://seko-kanri.com/danmenzu/

また、両者では確認できる情報も異なります。​

図面の種類 視点 表現する情報 主な用途
断面図 建物を垂直に切った内部構造 垂直方向の寸法、構造、階段の位置など 建物の構造や設備配置の確認
立面図 建物の外側から見た外観 外観デザイン、開口部の配置、外装材など 外観デザインの確認や施工指針

断面図の切断面の位置は平面図に記載されるため、平面図とあわせての確認が必要です。一方、立面図は平面図や断面図と組み合わせることで、建物の全体像を正確に把握できます。​

断面図作成における切断位置の選び方

断面図を作成する際、どこで建物を切断するかという判断が非常に重要になります。施工に際して高さに関する理解が特に必要な部分を切断面として選ばなければなりません。​
効果的な切断位置の選び方には以下のポイントがあります。​
重要な空間や居室を通る位置
リビングやダイニング、主寝室などの主要な居室を通る位置で切断すると、建物の空間構成が明確に表現できます。​
高さが変化する部分
スキップフロアや勾配天井、吹き抜けなど、高さ方向に複雑な構成を持つ部分では、その特徴が明確に分かる位置を選びます。​
区切りのいい高さ
階高や床高、天井高などの寸法を正確に表現するため、基準となる床面や天井面を基準に切断位置を決めます。​
切断線は必ずしも一直線である必要はなく、複数の重要な空間を一つの断面図で表現したい場合には、切断線を途中でずらすことも可能です。ただし図面が複雑になりすぎないよう注意が必要です。​

平面図・矩計図との関係性と使い分け

建築図面は複数の図面を組み合わせることで、建物の全体像を立体的に理解できるようになっています。断面図と立面図以外にも、平面図や矩計図といった重要な図面があります。
参考)https://www.fdc-inc.co.jp/plantable/design_documents_basic_knowledge/

平面図との関係
平面図は建物を水平方向に切断して上から見た図面で、間取りや部屋の配置、動線などを表現します。断面図が垂直方向の情報を示すのに対し、平面図は水平方向の情報を提供するため、両者は相互に補完し合う関係にあります。​
矩計図(かなばかりず)との違い
矩計図は断面図と同様に建物を垂直に切断した図面ですが、より詳細な情報を含みます。断面図が基本的な高さの関連を示すのに対し、矩計図には高さに加えて寸法、仕上げ方法、部材の種類まで記載されます。​
矩計図と断面図の主な違いは以下の通りです。
参考)https://rakuoh.jp/contents/knowledge/sectional-detail-cross-section-difference.html

項目 断面図 矩計図
縮尺 100分の1 20分の1~50分の1
情報量 基本的な高さ関係 詳細な寸法・部材・仕上げ
別名 - 詳細断面図

実際の設計・施工現場では、矩計図が詳細情報を提供するため、断面図の作成が省略されることもあります。不動産従事者として、これらの図面の違いを理解しておくことで、より的確な物件説明が可能になります。​
断面図の詳細な解説と作成ポイント|楽王
断面図の概要と他の図面との違い、書き方のポイントについて詳しく解説されています。

 

構造物の断面図とは?書き方や立面図との違い
建築物から土木構造物まで、断面図の基本的な知識から書き方のポイントまで分かりやすく紹介されています。