

アスファルト系補修ペースト材は、局所補修で「こてで充填できる扱いやすさ」を狙った材料群として捉えると整理しやすく、ひび割れ・欠損・段差などの軽微〜中程度の損傷に対して短時間で復旧したい場面で検討されます。
ただし現場では「アスファルト系」と一口に言っても、クラック向けのシール材(注入・充填)と、穴埋め向けの合材(パッチング)で、要求性能(追従性・流動抵抗・初期強度)も施工条件(乾燥必須/雨天可)も変わります。
ひび割れ対策の代表例として、クラックへ材料を充填して雨水浸入を抑え、舗装の耐久性低下を遅らせる目的で施工する考え方が、自治体の仕様書でも明確に書かれています。
下地処理は「接着(付着)」「水分」「粉じん」の3点セットで考えると失敗が減り、特に清掃不足は施工直後は見た目が成立しても、早期剥離や端部からの欠けの原因になります。
加熱式クラックシール材注入工の特記仕様書でも、施工手順として、ひび割れ部をエアブローで泥・ほこり・ゴミを除去し、内部が湿っているときはバーナーで完全に乾燥させる、という流れが明記されています。
一方で、雨天施工や水たまり箇所での補修を想定した「水と反応して硬化する常温合材」タイプもあり、そうした材料では“乾燥させてから施工”が必須条件ではないため、材料の前提条件を取り違えないことが重要です。
プライマーは「接着剤の代わり」というより、下地と補修材の界面を安定させて耐久性を底上げする役割として理解すると判断が速くなります。
実務上の重要点は、プライマーが“推奨”に留まらず“必須”として扱われる仕様が存在することで、名古屋市の加熱式クラックシール材注入工の特記仕様書では「耐久性を高めるために、プライマーの塗布は必ず実施する」と明記されています。
また同仕様書では、プライマーを噴霧器や刷毛で「ひび割れ内部まで均一に塗布」し、余剰分がひび割れに溜まらないよう注意する、と施工品質の勘所まで踏み込んでいます。
「交通開放までの速さ」を評価軸に入れる場合、材料タイプの違いがそのまま工程管理に影響します。
例えば水反応で硬化する常温合材の例では、降雨時でも施工可能、水が溜まった凹部でも水を取り除かず埋め戻せる、施工後直ちに交通開放可能といった特徴が明示されています。
さらに、施工上の留意点として「水の使用は不可欠」「締め固め前にまんべんなく散水」「1袋(20kg)あたり水1リットルが目安」「プレート等で締め固めるとより強固」など、仕上がりに直結する条件が具体的に提示されています。
検索上位では「施工手順」ばかりが注目されがちですが、実は“施工前の材料状態”が品質事故の引き金になることがあります(特に緊急補修で在庫を持つ現場ほど要注意です)。
水反応型の常温合材の例では、未開封で6か月程度の保存が可能とされる一方、袋が破れると湿気でも硬化する、積み重ねは3段まで(圧密で硬化するおそれ)、開封後は速やかに全量使用、硬化した材料はほぐしても使用できない、など「保管〜段取り」由来の失敗ポイントが具体的に列挙されています。
この系統の落とし穴は、見た目は袋の中で“少し固い塊”程度でも、施工後は締固め不足や界面のなじみ不良として現れ、短期で端部欠けや段差再発になりやすい点で、下地処理と同じくらい実害が大きいです。
施工手順(クラックシール)とプライマー必須の根拠:名古屋市の加熱式クラックシール材注入工・特記仕様書
https://www.city.nagoya.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/026/313/29_20230401.pdf
雨天施工・水反応硬化・保存注意(圧密硬化、湿気硬化など)の具体例:大林道路「楽ファルト」製品情報
https://www.obayashi-road.co.jp/products/rakuphalt.html