着磁 原理と着磁コイル着磁ヨーク磁界

着磁 原理と着磁コイル着磁ヨーク磁界

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着磁 原理

この記事で押さえる着磁の要点
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磁区がそろうと磁石になる

着磁は「磁性材料の内部の向き(磁区)をそろえる操作」。材料と印加磁界の関係を理解すると、なぜ強い電流・治具が必要かが見えてきます。

着磁電源とコイル/ヨークが核

コンデンサに蓄えた電荷を瞬間放電して大電流を流し、強力な磁界を作るのが一般的。コイルは2極、ヨークは多極など狙いの磁化パターンを作れます。

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建築現場でも“磁気”は潜む

工具の残留磁気、鋼材の局所的な着磁、センサ類の誤動作など「磁気由来の違和感」は起きます。原理が分かると、対策が手順化できます。

着磁 原理と磁区と永久磁石


着磁とは、磁石素材(磁性材料)に外部から強い磁場を与え、内部の多数の“ミニ磁石”の向きがそろった状態を作る操作です。
磁性材料は成形しただけでは磁気を帯びていないことが多く、外部から磁場を与えて磁化させることで、外部からの供給がなくても性質を保つ「永久磁石」として振る舞います。
この「向きがそろう」現象は、現場感覚で言えば“材料の内部構造が、磁場方向に並び直される”イメージで、材料ごとにそろいやすさ(必要な磁界の強さ)や安定性が違います。
建築従事者の文脈で重要なのは、磁化は“表面だけの現象”ではなく、内部の磁化状態(残留磁気)として残り得る点です。


参考)https://www.tdk.com/ja/tech-mag/hatena/052

例えば、鋼材や工具が磁気を帯びると、切粉が異常に付着したり、磁気センサの値が不安定になったりします(原因が「油」や「静電気」に見えて、実は磁気というケースが混ざります)。

着磁 原理とB-H曲線とヒステリシス

着磁を“原理として”理解するうえでは、磁束密度Bと磁界Hの関係で表すB-H曲線(ヒステリシス曲線)が定番の道具になります。
磁界Hを強めていくと磁束密度Bが増える一方、ある領域から先は増えにくくなり「飽和」に近づくため、永久磁石を狙い通りに仕上げるには飽和着磁を意識した条件設計が必要になります。
また、磁界をゼロに戻してもBがゼロに戻らず残る成分が残留磁束密度で、逆向きの磁界を与えてBをゼロにするのに必要な大きさが保磁力、という見方がされます。
現場の言葉に置き換えると、B-H曲線は「どれくらい強い磁界をどれくらいかければ、どれくらい“残り磁気”が残るか」の地図です。


参考)『ヒステリシス曲線(B-H曲線)』とは?分かりやすく説明しま…

だから同じ形状でも、材料(フェライト、ネオジム等)や加工状態で必要な着磁条件が変わり、「同じ治具・同じ電源設定でいけるはず」が外れることがあります。


参考)物質の着磁(磁化)の原理

参考:B-H曲線(磁気ヒステリシス曲線)の図解(B-H曲線の形・残留磁化・保磁力の位置関係)
JST:図2 B-H曲線(磁気ヒステリシス曲線)
参考)https://www.jst.go.jp/pr/report/report27/grf2.html

着磁 原理と着磁コイルと着磁電源

工業的に一般的な着磁は、コンデンサに充電した電荷を瞬間的に放電する「コンデンサ式着磁電源(パルス式)」で、着磁コイルや着磁ヨークに大電流を流して強い磁界を作ります。
永久磁石を飽和着磁させるために、コイル/ヨークへ数千A〜2〜3万A程度の電流を通電する場合がある、と具体的なレンジで説明されています。
この方式が“瞬間”に寄せるのは、必要磁界を作るのに定常大電流は現実的に難しい一方、コンデンサ放電なら短時間だけ巨大電流を出せるためです。
着磁コイルはシンプルで、コイルに発生する磁界が一方向のため、基本はN極とS極の1対(2極)着磁に向きます。


参考)https://ims-jp.com/column/01/

一方でコイル内部に挿入できるサイズであれば形状の自由度は比較的高く、材料も条件が合えばアルニコ、フェライト、希土類(ネオジム、サマリウムコバルト等)まで幅広く対応できる、とされています。

注意点として、異方性磁石では「印加磁界の方向と配向方向が一致している必要がある」ため、治具の向きやセット方向を“作業者の勘”に任せると品質が揺れます。

建築従事者が設備を直接扱わない場合でも、協力会社の製作部品(磁石、センサ、ラッチ等)で「磁極方向違い」「磁力不足」が起きると復旧が面倒です。

納品図・仕様に「2極か、多極か」「着磁方向(軸方向/径方向など)」の確認項目を入れるだけで、手戻りが減ります。


参考)磁石ナビ

着磁 原理と着磁ヨークと多極

着磁ヨークは、複数のコイルとコア部(鉄芯部)で磁気回路を形成し、外周4極・内周4極・平面6極など様々な着磁パターンを可能にする治具です。
着磁ヨークのコア材には透磁率の高い材質(純鉄等)が必要で、渦電流損失を抑えるために積層鋼板を使う場合もある、と説明されています。
ただしヨークは“万能治具”ではなく、磁石形状や極数に最適化した形状が必要で、別形状・別極数への流用が難しい点も押さえるべきポイントです。
建築設備や建材の周辺でも、モータ、センサ、ラッチ、マグネットキャッチなどで「多極」や「方向性のある磁場」を前提にした部品があります。

例えば近接センサや磁気センサの設計では、期待する磁場分布が崩れると誤検出しやすく、現場では「距離が出ない」「向きを変えると入る」といった症状になって表れます。

参考:多極着磁は着磁ヨークが必要、片面多極は性能をフルに引き出しにくい等の注意点(多極の考え方・治具依存性)
下西技研工業:磁力の向きをコントロールする(多極着磁)
参考)磁力の向きをコントロールする

着磁 原理と現場の残留磁気(独自視点)

検索上位は「磁石を作る着磁」が中心ですが、建築現場で厄介なのは“意図せず着磁される(残留磁気が残る)”側です。
例えば、鋼製の治具・工具が磁化すると切粉や鉄粉が異常付着し、清掃してもすぐ再付着して「作業環境の汚れ」や「摺動部への噛み込み」に連鎖します。
また、磁気センサを使う設備では、周辺の鋼材や部材の残留磁気がオフセットになり、調整で追い込んでも季節や配置変更で再発することがあります。
意外に見落とされがちなのが「消磁=熱」のイメージだけが先行する点で、実務では交流消磁(交番磁場を徐々に弱める)という、より扱いやすい考え方もあります。


参考)永久磁石の消磁方法 - ニューランド

交流磁場で磁区を“前後に揺さぶり”、振幅をゆっくりゼロに落とすとランダムな方向に落ち着き全体の磁場がキャンセルされる、という説明は、工具・小物部品のケアの理解に直結します。

設備の制約で「専用の消磁機がない」場合でも、交流コイルを使い、距離を取りながら徐々に弱めるという原理自体は変わらないので、手順書に落とし込みやすいのが利点です。


参考)https://www.toray-sf.or.jp/awards/education/pdf/s52_02.pdf

参考:交流消磁(交番磁場を徐々にゼロへ)の考え方(なぜ消磁できるかの原理説明)
TDK:No.52 マグネットの着磁と消磁




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