
注文住宅の気密性能とは、住宅の隙間をできる限り減らし、室内の空気を屋外と分断する性能のことです。現在の住宅業界では「高断熱・高気密住宅」が主流になりつつあり、これは断熱性能と気密性能が大きく影響し合うためです。
気密性能が低いと、せっかく断熱材で家を包み込んでも、隙間から空気が漏れてしまい、暖冷房で調整した室温を保つことができません。逆に気密性能が高い住宅では、室内の温度や湿度をコントロールしやすくなり、快適性に優れた住環境を実現できます。
C値とは「相当隙間面積」のことで、住宅の気密性能を具体的に表す数値です。計算式は「C値(c㎡/㎡)=建物全体の隙間面積(c㎡)÷延べ床面積(㎡)」となり、数値が小さいほど気密性能が高いことを意味します。
現在では国のC値基準はありませんが、以前は「寒冷地で2.0cm²/m²以下、その他の地域では5.0cm²/m²以下」と定められていました。現在の高気密住宅の基準として、多くの専門家がC値1.0c㎡/㎡以下を目安としています。
測定は専用機器を用いた「気密測定」によって行われ、室内の空気を抜いて内外の気圧差から隙間量を算出します。この測定は完成後ではなく、断熱施工・気密施工後のタイミングで実施されるのが一般的です。
高気密住宅は、外気からの汚染物質の侵入を防ぎ、健康的な室内環境を維持する重要な役割を果たします。花粉やPM2.5などの有害物質が屋内に入りにくくなり、アレルギー症状の軽減にもつながります。
また、高気密住宅では室内の温度差が小さくなるため、ヒートショックのリスクを大幅に減らすことができます。特に冬場の暖房で暖められた部屋と、廊下やトイレ、脱衣所などの温度差が問題となりがちですが、高気密住宅ではこうした温度差が少なくなります。
意外な健康効果として、高気密住宅では足元の冷えが軽減されることが挙げられます。基礎から気密性能にこだわった住宅は、隙間が少なく外気の影響を受けにくいため、床や足元の空気が冷えにくくなり、暖房を効率よく効かせることができます。
高気密住宅の施工には、高い技術力が要求されます。基本的な工法として「合板気密工法」があり、外側の構造用面材を専用テープでつなぎ、外側で気密を取る方法です。この工法は比較的簡単に気密が取りやすいとされています。
内断熱材の施工では、一般的なグラスウールは施工時に偏りが生じやすいため、古新聞を原材料とした「セルローズファイバー」がおすすめです。職人が高い技術で壁の内側に隙間なく吹き込みするため、気密性も向上します。
さらに高度な技術として、「内気密・外開放」の原則があります。内側(室内側)は気密化をして隙間風を塞ぎ、外側(外壁側)は外壁通気層工法や小屋裏換気で湿気を排出するという考え方です。
高気密住宅では、計画的な換気システムが不可欠です。建築基準法により、住宅には1時間あたり家の体積の半分である0.5回の換気が義務づけられています。
高気密住宅の大きなメリットとして、建物全体の換気をコントロールできることが挙げられます。生活によって室内にこもった匂いや二酸化炭素、その他の有害物質を換気によって効率よく建物外へ排出し、室内の空気を良好な状態に保てます。
室内の二酸化炭素濃度は1,000ppmを基準とし、これ以下であれば適切な換気がなされていると判断されます。気密性能が低いと隙間から空気が漏れてしまい、効率的な換気ができないため、高気密住宅では第一種換気システムが推奨されています。
実際の測定例として、延べ床面積99㎡の住宅で気密性能C値0.4㎠/㎡を達成した事例では、換気回数0.42回/hと適切な換気が実現されています。
C値基準に関する詳細な解説
https://www.re-trust.com/column/668315
気密測定の実施方法と結果の見方
https://ikoken.jp/columns/20240131/
高気密住宅のメリット・デメリット詳細
https://asahigloval.co.jp/idea/blog-about-the-importance-of-confidentiality/