電気抵抗率と体積抵抗率の違いを測定方法と単位から解説

電気抵抗率と体積抵抗率の違いを測定方法と単位から解説

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電気抵抗率と体積抵抗率の違い

記事の要点
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用語の違い

電気抵抗率と体積抵抗率は分野による呼び方の違いであり、基本的に同じ物性値を指します

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測定の重要性

建築材料の絶縁性能を評価する上で、体積抵抗率の測定は不可欠です

実務への応用

絶縁材料選定や電気設備の安全性確保において、抵抗率の理解が重要です

電気抵抗率と体積抵抗率の基本的な関係

 

 

 

電気抵抗率と体積抵抗率は、実は同一の物性値を表す用語です。分野によって呼び方が異なるだけで、物質の電気的特性を示す重要な指標となります。電気の分野では「電気抵抗率(Electrical Resistivity)」、物理の分野では「抵抗率(Resistivity)」、電子分野では「比抵抗(Specific Electrical Resistance)」、材料分野では「体積抵抗率(Volume Resistivity)」や「体積固有抵抗」と呼ばれています。
参考)https://detail-infomation.com/volume-resistivity/

これらの用語は、物質内部を電流が流れる際の抵抗の度合いを表します。不動産・建築分野では、材料の絶縁性能を評価する際に主に「体積抵抗率」という用語が使用されることが多く、絶縁材料や電気設備の選定において重要な判断基準となります。
参考)https://www.kda1969.com/words/words_pla_4t_04.htm

単位は「Ω・cm(オームセンチメートル)」または「Ω・m(オームメートル)」で表され、1Ω・m=100Ω・cmの換算関係があります。この数値が大きいほど電気を通しにくい材料であることを示し、絶縁材料として優れた性能を持つことを意味します。
参考)https://taica.co.jp/gel/support/technical_terms/term_038.html

体積抵抗率の詳細な定義と測定方法についての参考情報

電気抵抗率の測定方法と単位換算

電気抵抗率の測定には、主に二重リング電極法(二端子法)と四探針法が用いられます。二重リング電極法では、平板状の試料の上下に電極を配置し、直流電圧を印加して流れる電流を測定します。試料の上側には主電極(内側電極)と外側のリング電極を配置し、下側には対向電極を配置する構造となっています。
参考)https://www.gitc.pref.nagano.lg.jp/pdf/gijutujoho/gijutujoho421.pdf

測定された抵抗値から体積抵抗率を算出する際には、次の計算式を使用します。

  • 体積抵抗率(ρV)= 抵抗値(R)× 断面積(S)÷ 長さ(L)
  • ρV = (V/I) × (S/L)

ここで、Vは印加電圧、Iは測定電流、Sは主電極の断面積、Lは試料の厚さを表します。
参考)https://www.n-analytech.co.jp/instrument/resistivity-meters/ghlup1.html

単位換算においては、Ω・cmとΩ・mの関係を正確に理解することが重要です。測定環境の温度や湿度によって抵抗率は変化するため、通常は室温(20℃)での測定値を基準とします。測定範囲は10⁶Ωから10¹²Ωまでの広範囲に対応可能な装置が一般的です。
参考)https://a.yamagata-u.ac.jp/amenity/Electrochem/Unit/@Unit.asp?nUnitID=331

長野県工業技術総合センターによる抵抗率測定方法の技術資料

体積抵抗率と表面抵抗率の相違点

体積抵抗率と表面抵抗率は、電流の流れる経路によって区別される異なる物性値です。体積抵抗率は、材料の内部を電流が流れる場合の抵抗を示し、材料全体の絶縁性能を表します。一方、表面抵抗率は材料の表面を電流が流れる場合の抵抗を示し、表面の汚染や湿気の影響を受けやすい特性があります。
参考)https://detail-infomation.com/surface-resistance-volume-resistivity-difference/

測定方法においても大きな違いがあります。

  • 体積抵抗率:試料の上下面に電極を配置し、厚さ方向の抵抗を測定
  • 表面抵抗率:試料の同一面上に複数の電極を配置し、表面の抵抗を測定

建築材料の評価では、両方の測定が必要となる場合があります。絶縁材料の選定においては、体積抵抗率が主要な判断基準となりますが、表面の清浄度や防塵性能を評価する際には表面抵抗率も重要な指標となります。特に、電気設備が設置される環境の湿度や汚染度によって、材料の表面特性が安全性に大きく影響する可能性があります。
参考)https://www.djklab.com/service/bussei-518/

建築材料における電気抵抗率の実務応用

建築現場で使用される各種材料の体積抵抗率は、材料選定において重要な判断材料となります。セラミックス材料では、アルミナが10¹⁴Ω・cm以上、窒化ケイ素が10¹⁴Ω・cm以上の高い絶縁性能を示します。プラスチック材料では、ポリエチレンが6×10¹⁸Ω・cm、ポリイミドが10¹⁴Ω・cm以上の値を持ち、用途に応じた材料選択が可能です。
参考)https://www.top-seiko.co.jp/guide/insulation/

コンクリートや断面修復材の体積抵抗率は、通常1~1×10³Ω・mの範囲にあり、鉄筋の腐食評価や耐久性診断に活用されます。電気設備周辺の絶縁材料として、以下の基準が実務で参考にされます:
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsceje/64/3/64_3_427/_pdf

  • 絶縁体:10¹²Ω・cm以上
  • 半導体:10⁶~10¹²Ω・cm
  • 導体:10⁶Ω・cm以下

不動産開発において、電気室や配電盤周辺の床材や壁材を選定する際には、これらの体積抵抗率データが安全基準の根拠となります。また、建物の電気安全性能を評価する際の重要な指標として、施工後の品質管理にも活用されています。
参考)https://www.tokkin.co.jp/media/technicalcolumn/2407050

各種建築材料の絶縁耐力と体積抵抗率の一覧データ

温度・環境条件が電気抵抗率に与える影響

体積抵抗率は温度変化によって大きく変動する物性値であり、材料の種類によって変化の傾向が異なります。導体材料である金属の場合、温度上昇に伴って体積抵抗率が増加する特性を持ちます。これは、温度が高くなると金属内部の陽イオンの振動が激しくなり、自由電子の移動が妨げられるためです。
参考)https://hegtel.com/teiko-ritsu.html

一方、半導体や絶縁体では、温度が上昇すると体積抵抗率が減少する逆の傾向を示します。建築現場において、この温度依存性は重要な考慮事項となります:​

  • 夏季の高温環境下では絶縁材料の抵抗率が低下し、絶縁性能が低下する
  • 冬季の低温環境下では導体の抵抗率が低下し、導電性能が向上する
  • 温湿度変化の大きい環境では、長期的な性能変化を考慮した材料選定が必要

湿度の影響も見逃せません。紙やセメント系材料など吸湿性のある材料では、湿度上昇によって体積抵抗率が大幅に低下する場合があります。そのため、測定は通常、温湿度が管理された環境下で実施され、使用環境を想定した条件での追加測定が推奨されます。不動産プロジェクトにおいて、設置環境の温湿度条件を考慮した材料選定は、長期的な電気安全性確保のために不可欠です。
参考)https://www.chemitox.co.jp/business/shinraisei/surface_volume_resistivity

 

 

 

 


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