
電線管は電線を外部から保護し、安全な電気配線を実現するための重要な設備資材です 。建築現場では材質と形状により大きく分類され、それぞれ異なる特徴と用途を持ちます 。
参考)電線管の種類と特長 【通販モノタロウ】
材質による分類では、金属製電線管と合成樹脂製電線管の2つに大別されます 。金属製は強度と耐久性に優れる一方、合成樹脂製は軽量で施工性が良く、絶縁性や耐水性に優れています 。形状では直管電線管と可とう電線管があり、配管の自由度や施工性に大きな違いがあります 。
参考)電線管の規格
金属製電線管には主に3つの種類があります 。薄鋼電線管(C管)は肉厚が薄く軽量で、屋内の露出配線に多用される最も一般的な電線管です 。厚鋼電線管(G管)は肉厚があり強度に優れるため、屋外や機械的衝撃を受けやすい場所で使用されます 。
参考)電線管とは?種類や特徴、使用用途についてわかりやすく解説
ねじなし電線管(E管)は薄鋼電線管よりも肉厚が薄く、ねじ溝がない分、より多くの電線を入線できる利点があります 。また軽量のため施工しやすく、薄鋼電線管と同様に広く使われています。各管種は日本産業規格(JIS)で規格化されており、サイズごとに外径、内径、肉厚が定められています 。
合成樹脂製電線管には4つの主要な種類があります 。VE管は塩化ビニル製の直管電線管で、熱や直射日光に弱いため屋内や地中埋設での使用が原則です 。PF管は合成樹脂製可とう電線管で自消性があり、自由に曲げることができ露出場所や隠蔽場所でも使用できます 。
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CD管も合成樹脂製可とう電線管ですが自消性がないため、コンクリート埋設時の使用が主な用途となります 。FEP管は耐熱性に優れた特殊な合成樹脂製電線管で、高温環境での使用に適しています。これら合成樹脂製は金属製と比較して絶縁性、耐水性、耐油性に優れており、幅広い環境での使用が可能です。
参考)https://denzaibuhin.com/blogs/articles/cd%E7%AE%A1%E3%81%A8%E3%81%AF-%E7%A8%AE%E9%A1%9E%E3%82%84%E6%AF%94%E8%BC%83%E3%83%9D%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%88%E3%82%92%E7%B4%B9%E4%BB%8B
直管電線管は棒状の電線管で、主に直線的な配管に使用されます 。金属製では薄鋼電線管、厚鋼電線管、ねじなし電線管があり、合成樹脂製ではVE管が代表的です 。直管タイプは2mの長さで販売されることが多く、その堅牢さが特徴です 。
参考)電線保護にはVE管とPF管、どちらがベスト?特性と用途を徹底…
施工時は専用の器具を使って曲げ加工を行う必要があり、複雑な配管ルートには不向きですが、直線配管では美観と強度を両立できます 。特にVE管は高い耐候性と耐衝撃性を備えており、屋外での使用にも適していることから、電柱から建物への引込配線などで多用されています 。
参考)【電気工事士2種-筆記問題解説】合成樹脂管(PF管・CD管、…
可とう電線管は柔軟性があり自由に曲げることができる電線管です 。金属製では第二種金属製可とう電線管(プリカチューブ)があり、合成樹脂製ではPF管とCD管が主要な種類です 。可とうタイプは50m巻きで提供されることが多く、長距離配管や複雑な配管ルートに対応できます 。
参考)https://denzaibuhin.com/blogs/articles/%E9%9B%BB%E7%B7%9A%E7%AE%A1%E3%81%A8%E3%81%AF-%E7%A8%AE%E9%A1%9E%E3%82%84%E7%94%A8%E9%80%94%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E8%A7%A3%E8%AA%AC
施工性の面では、曲がりが多い場所や狭い場所では可とうタイプが圧倒的に有利です 。特にPF管は屋内外での使用が可能で、その柔軟性により様々な形状に曲げて配管できるため、現場での作業効率を大幅に向上させます 。ただし、金属製可とうタイプは重量があり価格も高価になる傾向があります 。
参考)電線管の種類と選び方:PF管、CD管、VE管の使い分けを徹底…
電線管の選定において、コストパフォーマンスは重要な判断要素となります 。VE管とPF管の価格比較では、VE管が2m単位で約175円/m、PF管が50m巻きで約149円/mとなり、単位長さあたりの価格ではPF管の方が経済的です 。
金属製電線管は初期費用は高めですが、耐久性に優れているため長期的な経済性では優位となる場合があります。特に屋外や厳しい環境での使用では、頻繁な交換が不要となるため、ライフサイクルコストでの評価が重要となります。また、施工性の違いも人件費に影響するため、可とうタイプの使用により工期短縮が可能な場合は、材料費の差以上のメリットが得られることがあります。