

エキスパンドメタルの「規格」を読むとき、最初に押さえるべきなのは“見た目の菱形”ではなく、規格表で定義されている寸法記号です。たとえば、鉄(SS)のJISタイプ規格表では、SWを「メッシュの短目方向中心間距離」、LWを「メッシュの長目方向中心間距離」、Tを「板厚」、Wを「刻み幅(送り幅)」として整理しています。これらはカタログや在庫表の共通言語になりやすく、図面と発注をつなぐキー情報です。
とくに現場で混乱が起きやすいのが、「開口(穴)の大きさ=SW・LW」と思い込むケースです。規格表が示しているのは“中心間距離”であり、見た目の空き寸法(クリア寸法)そのものとは一致しない場合があります。発注側が「穴がこのくらいに見えるはず」と感覚で話してしまうと、製作側と数mm~数十mm単位で認識がズレる原因になります。
参考)鉄(SS)JISタイプ 製品規格表
また、規格表にはD(全厚)、ボンド長さ、単位重量(kg/㎡)、開口率(%)などの項目も並びます。たとえば同じ鉄(SS)でも、規格の違いで単位重量や開口率が変わるため、支持間隔・下地ピッチ・持ち上げ作業性に影響します。材料選定では「板厚Tだけ」で判断せず、単位重量と開口率までセットで見ると、後工程での“想定外に重い/透ける/滑る”を減らせます。
参考)エキスパンドメタル目方向の畳(たたみ)とタタミ目 (エキスパ…
実務での確認ポイントを、短くチェックリスト化します。
「タタミ目」は、エキスパンドメタルの菱目方向を表す呼称の一つで、畳の目方向に例えて説明されます。専門サイトの説明では、菱目方向の呼称として「タタミ目」と「ソロバン目」を区別して示しており、目方向を言語化するための現場用語として使われています。
ここで重要なのは、タタミ目=“製品を90度回転させたもの”という単純な話に見えて、実務では「どの辺を基準に90度なのか」が案件ごとに違う点です。規格表の寸法はSW(短目)とLW(長目)で示されますが、施工側は「長手方向にどちらが流れるか(見え方)」を重視します。つまり、同じSW・LWでも、張る向き(目方向)が変わるだけで、踏面の滑り感や視線の抜け方、光の当たり方が変わって“別物”のように見えます。
鉄(SS)のJISタイプ規格表では、T品目(そろばん目)とY品目(タタミ目)という区分も記載されており、規格の呼び方自体に目方向が紐づく整理になっています。発注時に「規格記号(例:XG/XS)」だけを書いて、目方向の指定を省くと、納入後に「向きが違う」と感じるトラブルにつながります。見え方の要求がある部位(階段、目隠し、外装、ルーバー的使い方)ほど、目方向の指定は必須です。
現場で使える言い換え例も挙げます(言葉だけでなく“基準辺”を添えるのがコツです)。
規格表を“読める”ようになる近道は、実際の行を1つ選んで、図面指示に落とす練習をすることです。たとえば鉄(SS)JISタイプのGタイプ(タタミ目側の標準品として整理されている区分)では、XG11~XG14の行にSW=34、LW=135.4、板厚Tの候補、刻み幅Wの候補、全厚D、単位重量、開口率などが並びます。こうした並びを見ると「同じSW・LWでも板厚TやWで重量・開口率が変わる」ことが読み取れ、構造・意匠・施工性のバランスを取りやすくなります。
Sタイプ(XS31~など)も同様で、SW=12、LW=30.5のように“細かい目”の規格が並び、板厚や刻み幅によって全厚D、単位重量、開口率が変わります。外観の細かさを優先して選んだつもりが、実は開口率が高くて目隠し性能が足りない、逆に重量が増えて枠材が先に負ける、といったズレが起きやすいので、規格表の数値は必ず併読します。
読み取りを発注文に変換するときは、次の形式が事故を減らします(社内テンプレ化推奨)。
なお、規格表には定尺の面積や「一枚の重量(kg)」まで載っている場合があり、搬入計画や荷揚げの見積もりにも直結します。見積段階で重量を押さえておくと、後から“人力でいけると思ったが無理だった”を避けられます。
タタミ目指定で起きるミスは、だいたいパターン化しています。よくあるのは「タタミ目と書いたのに、受け手が別の基準で回転させてしまった」「タタミ目=Y品目のつもりが、規格記号の記載が曖昧で別規格になった」「そもそもタタミ目の言葉が通じず、ソロバン目で製作された」といったケースです。目方向が絡むだけで、現物は“規格通り”でも“意図通りでない”状態が発生します。
対策はシンプルで、言葉だけに頼らず、仕様を“二重化”して伝えることです。
意外と盲点なのが、エキスパンドメタルは「表面に隆起がある」タイプが一般的だと説明される点です。向きを変えるだけでなく、表裏(隆起側)をどう見せるかで、滑り感・反射・汚れの乗り方が変わることがあります。階段や歩廊のように安全性・清掃性が絡む部位では、目方向と表裏をセットで決めると手戻りが減ります。
参考)エキスパンドメタル・アートメタル
もう一つ、設計・見積段階で効く“地味だが強い”チェックは「開口率」です。目隠し・落下防止・通風の要求を満たすかは、感覚より開口率(%)を見たほうが早く、規格の比較が一気にできます。タタミ目かどうか以前に、開口率の方向性がズレていれば、どの向きで張っても狙い性能になりません。
検索上位では「タタミ目=目方向の呼称」という説明が中心になりがちですが、現場で効くのは“見え方”と“安全”の両立を、タタミ目指定でどこまでコントロールできるかです。たとえば同じ規格でも、タタミ目で張ると菱形の流れが揃うため、長手方向にラインが走って見え、通路の誘導性(人が自然に進行方向を認識する感じ)が出ることがあります。逆に、視線を遮りたいときは、目方向よりも開口率と背景とのコントラストのほうが支配的で、タタミ目指定だけでは期待した目隠しにならないこともあります。
安全面では、滑りやすさ・つま先の引っかかり・ヒールの噛み込みなどの評価が論点になります。ここでタタミ目が直接“安全規格”になるわけではありませんが、隆起のある標準品が多いという説明を踏まえると、表裏・進行方向・排水方向(雨水が溜まらない向き)まで含めて現場条件に合わせることが、実質的な安全性に効きます。とくに屋外では、目方向より「水の切れ」「泥の溜まり」「落ち葉の詰まり」が事故要因になりやすいため、開口率と清掃性をセットで検討すると説得力のある仕様になります。
現場で使える“小技”をまとめます(意外に効くが言語化されにくいポイントです)。
権威性のある参考(規格表・寸法定義の根拠として有用)
規格表の寸法記号(SW・LW・T・W)や単位重量・開口率がまとまっており、図面指示や発注仕様の根拠に使える。
鉄(SS)JISタイプ 製品規格表
目方向(タタミ目/ソロバン目)の呼称整理の参考になり、社内で用語統一する際の叩き台にできる。
エキスパンドメタル目方向の畳(たたみ)とタタミ目 (エキスパ…