

フォークリフトの爪の幅を語るとき、まず外せないのが「クラス」です。クラスは“爪そのものの幅”というより、フォークがフィンガバーに掛かる取付寸法の系列で、定格荷重に応じてクラス1〜5に分けられます。
JIS D 6024:2019では、フォークは定格荷重に応じて5クラスに分け、さらにアンダフック高さでA(short drop)/B(long drop)に分ける、と整理されています。
参考)https://de.bolzonigroup.com/docs/BOLZONI_AURAMO-Fork_Guide_EN_Web.pdf
つまり、同じ「爪の幅(ブレード幅)」っぽく見えても、クラスが違えば“掛かり方”が違い、交換購入で詰みます。
現場でよくある落とし穴は次の2つです。
さらにJIS D 6024には、フォークの脱落を防ぐ外れ防止ストッパや、脱着溝(removal slot)に関する注意・警告の考え方も書かれており、「付いたからOK」ではなく“意図しない脱落を防ぐ構造・運用”が前提です。
取付互換の確認は、最低限つぎの順で行うのが安全です。
参考:JIS D 6024は有償の全文閲覧が基本ですが、規格の骨子(クラス区分、表1の取付寸法、外れ防止ストッパ等の考え方)がまとまっています。
取付寸法(クラス・A/B)と脱落防止の要点。
JIS D 6024:2019 フック式フォーク及びフィンガバーの取付寸法及び構造
同じ爪の幅でも、荷重中心が変わると許容荷重は下がります。厚生労働省の教材では「基準荷重中心」と「許容荷重表(荷重曲線)」の考え方が示され、荷重中心が前に出るほど許容荷重が減少する例が説明されています。
また、フォークリフトの安定はモーメントの釣り合いで決まり、積荷の重心が前に出るほど転倒モーメントが増えるため不安定になる、という基本も同教材で解説されています。
ここで「爪の幅」の話に戻すと、幅が広い=安全ではなく、幅を広げた結果として荷の“重心の取り方”や“載せ方”が変わり、荷重中心がズレる運用になると本末転倒になり得ます。
実務で押さえるポイントは次の通りです。
許容荷重表は運転者の見やすい場所に貼ることが構造規格で定められている、と教材内で触れられています。
参考:荷重中心、許容荷重表(荷重曲線)、安定モーメントの考え方が体系的にまとまっています。
荷重中心と許容荷重表(荷重曲線)の説明。
厚生労働省 フォークリフト(教材PDF)
爪の幅そのものと同じくらい重要なのが、左右のフォーク間隔(調整間隔)です。厚生労働省教材では「フォーク調整間隔」を“左右のフォーク間隔調整量の最小と最大の外側寸法”として用語定義しています。
同教材では、荷の安定と偏荷重回避のため、フォーク取付け間隔を車体中心から左右均等にし、パレット幅の1/2〜3/4になるよう調整する、という具体的な指針が書かれています。
これ、現場では意外と守られていません。特に建築現場だと、資材形状が一定ではなく「刺さったからヨシ」で進みがちで、爪の幅以前に“間隔が狭すぎる/片寄っている”問題が起きやすいからです。
フォーク間隔調整を含めた、実務でのチェック項目は次の通りです。
ここでの「幅」は2種類あります。混同すると事故に直結するため、用語として分けて扱うのが安全です。
現場では「爪の幅」だけが話題になりがちですが、教材レベルでもフォークには「長さ」「厚さ」「幅(図中ではフォーク幅)」が主要諸元として並びます。
特に厚さは、最大荷重の種類により標準的に決められている、と説明されており、荷重レンジと無関係に薄い/厚いを選ぶ発想は危険です。
さらに同教材の表では、定格荷重(t)に応じて標準フォークの厚さ(最大値)が整理されています。
この表が示しているのは「厚さが増える=強い」だけではなく、そもそも車両の能力と用途に対して“想定されるフォーク仕様”がある、ということです。
実務でのポイントを、幅・厚さ・長さをセットでまとめるとこうなります。
建築現場で“意外に起きる”のが、幅や長さを変えたことで荷の重心位置が変わり、結果として転倒しやすくなるケースです。教材でも、積荷をフォーク先端側に置くと荷側のモーメントが大きくなり不安定になる、と説明されています。
爪の幅を広げて「載るからOK」にしてしまうと、荷の置き位置が前に出やすくなり、結果的に危険側に寄ることがあります。
検索上位の解説は寸法や規格に寄りがちですが、現場の事故・トラブルは「調達」「点検」「教育」のすき間で起きます。厚生労働省教材でも、始業点検や定期自主検査の枠組みが示され、異常を認めたら直ちに補修等の措置を講じることが求められています。
爪の幅を変更(交換・追加購入・アタッチメント運用)するなら、独自に次の“運用セット”を作るのが効果的です。
また、現場での「幅」絡みのヒヤリハットは、たいてい“差込口に入らない→こじる→姿勢が崩れる”の連鎖で発生します。教材でも、パレットの差込み口にフォークをまっすぐ差し込むこと、根元まで差し込んで行うことが原則として書かれています。
つまり、寸法選定の正解は「入る・刺さる」ではなく、「まっすぐ入って、根元まで入り、適正間隔で、許容荷重の範囲で扱える」です。
最後に、社内の上司チェックで刺さりやすい“1行要点”を残しておきます。