パレットの寸法一覧|規格サイズと業界別の種類

パレットの寸法一覧|規格サイズと業界別の種類

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パレットの寸法一覧

パレット寸法の基本知識
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JIS規格標準寸法

1,100mm×1,100mm×144mmが日本の標準サイズ

🏭
業界別特殊寸法

酒類、食品、化学業界で異なる専用サイズ

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海外規格寸法

アメリカ、ヨーロッパ、アジア各国の標準寸法

パレット標準サイズのJIS規格と寸法

日本のパレット業界では、JIS規格(日本産業規格)に基づいた標準的な寸法が定められています。最も一般的な標準サイズは「JIS Z 0601」で規定される1,100mm×1,100mm×144mmです。このサイズは「T11型パレット」や「イチイチパレット」とも呼ばれ、全国で最も多く使用されているパレット寸法となっています。

 

JIS規格で定められているその他の標準寸法には以下があります。

  • 1,100mm×800mm - コンパクトな荷物に適した寸法
  • 1,100mm×900mm - 酒類業界で多用される「ビールパレット」サイズ
  • 1,200mm×800mm - ヨーロッパ規格に近い寸法
  • 1,200mm×1,000mm - 冷凍食品業界で標準的な寸法
  • 1,300mm×1,100mm - 大型荷物用のT13型パレット
  • 1,400mm×1,100mm - 袋物や港湾荷役用のT14型パレット
  • 1,440mm×1,130mm - プラスチック製パレット特有の寸法

興味深いことに、標準サイズである1,100mm×1,100mmのパレットでも、全生産数量中約32%程度しか占めていません。これは日本においてパレットサイズの標準化がまだ十分に進んでいないことを示しており、物流効率化の課題となっています。

 

パレットの高さ(厚み)については、標準的には144mmが採用されていますが、使用される素材や強度要件によって140mm~150mm程度の範囲で変動することがあります。

 

パレット業界別の寸法と用途

各業界では取り扱う商品の特性に合わせて、独自のパレット寸法を採用しているケースが多く見られます。

 

酒類業界 🍺
酒類業界では「ビールパレット」と呼ばれる1,100mm×900mmの寸法が標準となっています。このサイズはビールケースを6箱乗せるのに最適化されており、洗浄可能なプラスチック製が主流です。一般社団法人Pパレ共同使用会によってパレットの共同使用システムが確立されているのも特徴的です。

 

食品業界 🍽️
食品業界では1,100mm×1,100mmの標準パレットが広く使用されています。衛生面を重視し、洗浄可能なプラスチック製パレットが多用されます。特に冷凍食品業界では1,200mm×1,000mmのプラスチックパレットが採用されており、低温環境での耐久性を考慮してポリエチレン製が選ばれています。

 

医薬品業界 💊
医薬品業界では1,100mm×1,100mmの標準パレットを使用していますが、GMP(医薬品の製造管理及び品質管理の基準)の要求により、従来のアルミパレットからプラスチックパレットへの移行が進んでいます。清潔性と追跡可能性が重視される業界特性を反映しています。

 

化学業界 ⚗️
化学業界では独特の1,220mm×1,220mmサイズが使用されています。これはドラム缶4本を安全に積載できるよう設計された専用寸法で、化学品の取り扱いに特化した堅牢な構造が求められます。

 

これらの業界別寸法の違いは、商品の形状、重量、安全性要求、物流システムの違いを反映しており、効率的な物流を実現するための重要な要素となっています。

 

パレット海外規格の寸法比較

国際的な物流を考える際、各国のパレット規格寸法を理解することは極めて重要です。主要国・地域のパレット寸法を比較すると、地域ごとの物流システムの違いが明確に見えてきます。

 

アメリカ規格 🇺🇸
アメリカでは1,219mm×1,016mm(48インチ×40インチ)が標準サイズとなっています。これはGMA(食品製造業協会)が制定した規格で、北米全体で広く普及しています。インチ単位での設計は、アメリカの建築や輸送システムとの整合性を重視した結果です。

 

ヨーロッパ規格 🇪🇺
ヨーロッパでは主に2つのサイズが標準的に使用されています。

  • 1,200mm×800mm(EURパレット)
  • 1,200mm×1,000mm(ISO規格パレット)

これらは国際鉄道連合(UIC)の後援を受けた欧州の鉄道会社が制定した規格で、鉄道輸送との親和性が高く設計されています。

 

アジア太平洋地域 🌏

  • 韓国: 1,100mm×1,100mm - 日本と同じ規格を採用
  • オーストラリア: 1,165mm×1,165mm - CHEP社などのレンタル会社が普及
  • 中国: 1,200mm×1,000mm、1,200mm×800mm、1,100mm×1,100mmの複数規格が併存

注目すべきは、韓国が日本と同じ1,100mm×1,100mm規格を採用している点です。これは両国間の貿易や物流における互換性を高める効果をもたらしています。

 

これらの寸法の違いは、単なる数値の違いではなく、各国の輸送インフラ、倉庫設計、フォークリフトの仕様などと密接に関連しています。国際物流を計画する際は、これらの規格差を十分に考慮した設計が必要不可欠です。

 

パレット材質別の寸法特徴

パレットの材質によって、同じ規格寸法でも実際の特性や使用上の注意点が大きく異なります。材質ごとの寸法特徴を理解することで、用途に最適なパレット選択が可能になります。

 

木製パレット 🌳
木製パレットはJIS Z 0604規格に準拠しており、最も伝統的で汎用性の高い材質です。標準的な1,100mm×1,100mm×144mmサイズでも、木材の種類や加工方法によって実際の寸法に若干のばらつきが生じる場合があります。木材の乾燥度合いや湿度による寸法変化も考慮すべき要素です。

 

木製パレットの特徴。

  • 重量:約20-25kg(標準サイズ)
  • 耐荷重:動荷重1,000kg、静荷重4,000kg程度
  • 寸法公差:±3mm程度
  • 修理・再利用が比較的容易

プラスチックパレット 🔧
プラスチックパレットは精密な射出成形により製造されるため、寸法精度が高く安定しています。特に衛生面が重視される食品・医薬品業界で多用されており、洗浄後も寸法変化が少ないのが特徴です。

 

プラスチックパレットの特徴。

  • 重量:約6-12kg(標準サイズ)
  • 耐荷重:材質により大きく異なる(500-2,000kg)
  • 寸法公差:±2mm以内
  • 温度による寸法変化あり(特に低温時)

冷凍食品業界で使用される1,200mm×1,000mmサイズでは、ポリプロピレン製は低温で脆くなるため、ポリエチレン製が推奨されています。

 

金属製パレット 🔩
金属製パレットもJIS Z 0604規格に準拠しており、最も高い寸法精度と耐久性を誇ります。主にアルミニウムやスチール製があり、重量物や特殊環境での使用に適しています。

 

金属製パレットの特徴。

  • 重量:約30-50kg(標準サイズ)
  • 耐荷重:最大10,000kg以上
  • 寸法公差:±1mm以内
  • 温度による寸法変化が最小

紙製パレット 📄
環境配慮型の選択肢として注目される紙製パレットは、軽量でありながら一定の強度を持ちます。ただし湿度による寸法変化が大きく、使用環境を選ぶ材質です。

 

これらの材質特性を理解し、使用環境や荷物の特性に応じた適切な材質選択が、効率的な物流システム構築の鍵となります。

 

パレット寸法選定のポイント

パレット寸法の適切な選定は、物流効率とコスト最適化に直結する重要な意思決定です。単に標準サイズを選ぶだけでなく、総合的な視点からの検討が必要です。

 

荷物との適合性評価 📦
まず重要なのは、積載する荷物との寸法適合性です。荷物がパレットからはみ出すと安全性が低下し、逆に小さすぎるとスペース効率が悪化します。理想的な積載率は85-95%とされており、この範囲に収まる寸法選択が推奨されます。

 

特に不動産業界では、建材や設備機器の輸送において、製品寸法とパレット寸法の組み合わせ最適化が重要になります。例えば、システムキッチンユニットや浴室ユニットなどの大型製品では、製品寸法に合わせたカスタムパレットの検討も必要です。

 

輸送・保管インフラとの整合性 🚛
選定するパレット寸法は、既存の物流インフラと整合している必要があります。

  • トラック荷台寸法: 2t車(荷台約3m)、4t車(荷台約6m)への効率的な積載
  • 倉庫ラック間隔: 既存ラックシステムとの適合性
  • フォークリフト仕様: 使用予定のフォークリフトで安全に取り扱い可能な寸法・重量
  • 建物開口部: 搬入経路の幅・高さ制限

コスト効率性の分析 💰
寸法選択はコスト構造に大きな影響を与えます。

  • 購入・レンタルコスト: 標準サイズほど単価が安く、特殊サイズは高額
  • 輸送効率: パレット当たりの積載量最大化による輸送コスト削減
  • 保管効率: 倉庫スペースの有効活用率向上
  • 取り扱い効率: 作業時間短縮による人件費削減

将来的な拡張性考慮 🔮
事業拡大や取り扱い商品の変化を見据えた寸法選択も重要です。特に不動産開発プロジェクトでは、建設段階から竣工後の管理段階まで、異なる種類の資材・設備の輸送が発生するため、汎用性の高い寸法選択が推奨されます。

 

環境・持続可能性への配慮 🌱
近年では、環境負荷軽減の観点からパレット寸法選択を検討する企業が増加しています。輸送効率の向上による CO2 削減、リサイクル可能材質の選択、パレットプール参加による資源有効活用などが重要な選定要因となっています。

 

これらの要素を総合的に評価し、短期的なコストだけでなく長期的な事業価値向上を見据えたパレット寸法選定が、競争力のある物流システム構築につながります。

 

参考となる詳細な規格情報と選定ガイドライン
一般社団法人日本冷蔵倉庫協会 - パレット規格用語集