不動産評価額と固定資産評価額の調べ方と計算方法

不動産評価額と固定資産評価額の調べ方と計算方法

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不動産評価額と固定資産評価額の基礎知識

不動産評価額の基本概要
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固定資産税評価額の特徴

公示価格の7割程度で設定され、3年に1度評価替えが実施される

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評価方法の違い

土地は路線価方式、建物は再建築価格方式で算定される

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実務での活用場面

固定資産税、都市計画税、相続税計算の基準として使用される

不動産評価額の種類と特徴

不動産評価額には複数の種類があり、それぞれ異なる目的で用いられています。主要な評価額として以下の5つが挙げられます。

  • 地価公示価格:国土交通省が毎年3月に公表する標準地の価格
  • 路線価(相続税評価額):国税庁が相続税・贈与税の基準として算定
  • 固定資産税評価額:各市町村が固定資産税の課税基準として設定
  • 実勢価格:実際の売買取引で成立する市場価格
  • 不動産鑑定評価額:不動産鑑定士による専門的な評価

これらの評価額は相互に関連性を持ち、一般的に地価公示価格を100%とした場合、路線価は約80%、固定資産税評価額は約70%という関係性が成り立っています。

 

固定資産評価額の調べ方と確認方法

固定資産評価額を確認する方法は主に3つあります。
1. 課税明細書での確認
毎年春頃に市区町村から送付される固定資産税納税通知書に同封されている課税明細書を確認するのが最も手軽な方法です。「価格」または「評価額」の欄に土地と建物それぞれの評価額が記載されています。

 

2. 固定資産税課税台帳の閲覧
課税明細書が手元にない場合は、対象不動産がある市区町村の役所や都税事務所で固定資産税課税台帳を閲覧できます。ただし、個人情報保護の観点から、納税者本人や同一世帯の親族でないと閲覧できません。

 

3. 固定資産評価証明書の取得
固定資産課税台帳の内容を証明する書類として、固定資産評価証明書を取得する方法もあります。申請書と手数料が必要ですが、郵送でも取得可能です。

 

不動産評価額の計算方法と算定基準

土地の評価額算定
土地の固定資産税評価額は、主に以下の2つの方法で算定されます。

  • 路線価方式:固定資産税路線価 × 土地面積 × 評点
  • 標準宅地比準方式:標準宅地の評価額を基準とした比準計算

路線価方式では、道路に面した1平米あたりの土地評価額を基準として計算されます。固定資産税路線価は「全国地価マップ」で確認でき、これに土地面積と各市町村が設定した評点を乗じて算出されます。

 

建物の評価額算定
建物の評価額は再建築価格方式で算定されます。
評価額 = 再建築費評点数の合計 × 経年減点補正率 × 床面積 × 評点1点あたりの価額
この計算では、屋根・外壁・基礎などの部分別評点を合算し、築年数に応じた経年減点補正率を適用します。経年減点補正率は法務省のホームページで公開されており、評点1点あたりの価額は市区町村長が決定します。

 

不動産評価額と課税標準額の違い

多くの不動産業従事者が混同しがちなのが、固定資産評価額と課税標準額の違いです。

 

固定資産評価額は、固定資産税評価基準に基づいて市町村が決定する基準価格であり、3年に1度の評価替えで見直されます。
一方、課税標準額は、評価額に特例措置や負担調整措置を加減算した最終的な課税基準額です。住宅用地の場合、小規模住宅用地特例により固定資産税は6分の1、都市計画税は3分の1に減額されるため、課税標準額は評価額よりも大幅に低くなります。

 

例えば、住宅用地の場合。

  • 固定資産税課税標準額 = 評価額 × 1/6
  • 都市計画税課税標準額 = 評価額 × 1/3

この特例措置により、実際の税負担は評価額から想定される金額よりも軽減されています。

 

不動産評価額の実務活用と独自視点

不動産評価額の実務活用において、業界関係者があまり知らない重要なポイントがあります。

 

評価額の逆算活用法
固定資産税評価額を0.7で割り戻すことで、取引額の目安を算出できます。これは公示価格の7割程度で設定されているという原則を活用した方法です。

 

相続税評価との関係性
建物の相続税評価額は固定資産税評価額×1.0で計算されるため、両者は同額になります。しかし、貸家の場合は借地権割合と賃貸割合を考慮した減額が適用されるため、実際の評価額は下がります。

 

評価替えのタイミング戦略
固定資産税評価額は3年に1度評価替えが行われます。この評価替えのタイミングを考慮した不動産取引戦略や税務対策が重要となります。特に大規模な開発や周辺環境の変化がある地域では、評価替え前後での評価額変動を予測することが可能です。

 

地域格差と評価の実情
同じ評価基準でも、市町村によって評価の厳格さや解釈に差があることが実務では知られています。特に境界線付近の土地や特殊な形状の土地では、隣接する自治体間で評価に差が生じることがあります。

 

国税庁の固定資産税評価額に関する詳細情報。
https://www.keisan.nta.go.jp/oshirase/sozoku/yohihantei/koteishisanzei/hyokagaku.html
この理解により、不動産評価額と固定資産評価額の違いを正確に把握し、実務に活かすことができるでしょう。評価額は単なる数値ではなく、不動産取引や税務計画の重要な指標として機能しています。