
釘打ちタイプは、ガルバリウム外壁の中で最も施工が簡単で価格も抑えられる種類です。外壁材の正面から釘やビスを打って下地に固定するため、外壁材の一枚の幅が80cm程度と広く、4種類の中で最も施工がしやすい特徴があります。
釘打ちタイプの主な種類:
波板は、釘打ちタイプの中でも特に人気が高く、波の頂点部分から釘留めを行う仕様です。角波も同様に、角の部分から釘留めを行い、波板よりもややスタイリッシュな印象を与えます。
リブ鋼板は、凹凸が最も少ないデザインで、ガルバ外壁の中で最も安価な商品となっています。ただし、厚みが薄く防水性が低いため、下地の防水処理をしっかりと行う必要があります。
スパンドレルタイプは、釘やビスを止める部分が隠れて見えないため、より高級感のある仕上がりが得られる種類です。建物の外観を重視する場合に選ばれることが多く、メンテナンス性も釘打ちタイプより優れています。
スパンドレルタイプの主な種類:
K型は、スパンドレルタイプの中でも特に人気が高く、ガルバリウム外壁をイメージした時に真っ先に思い浮かぶデザインです2。凹凸がかなり奥行きがあるため、影の効果で立体感のある外観を演出できます。
フラット型は平面部分が広いため、他のデザインに比べて強度が低くなる傾向があります2。そのため、通常0.35mmや0.4mmの板厚を使用するところを、0.5mmの厚みで施工することが推奨されています。
金属サイディングは、各メーカーが製品化しているガルバリウム外壁の種類で、断熱材が一体化された高機能な外壁材です。従来の釘打ちタイプやスパンドレルタイプと比べて、断熱性能や施工性が大幅に向上しています。
金属サイディングの主な特徴:
金属サイディングは、各メーカーが独自の技術で開発した製品で、アイジー工業のスパンサイディングSなどが代表的な商品です。幅370mm、厚さ15mmの仕様で、角波成型を施したガルバリウム鋼板製となっています。
次世代ガルバリウム鋼板(SGL)を使用した製品も登場しており、従来品よりもさらに高い耐食性を実現しています。めっき層を強化することで、サビに対する抵抗力が大幅に向上し、約25年~35年の長期耐用年数を期待できます。
ガルバリウム外壁屋根タイプは、本来屋根材として使用されるガルバリウム鋼板の仕様を外壁に応用した種類です。この種類は他の3つのタイプとは異なる独自の施工特徴を持っており、特に和風建築や伝統的な外観を重視する建物に適用されています。
屋根タイプの主な種類:
立ちハゼ葺きは、屋根材の接合部分を立ち上げる工法で、外壁に使用すると非常に特徴的な外観を作り出します2。この工法により、雨水の侵入を効果的に防ぎながら、和風建築に調和する外観を実現できます。
鎧張りは、板材を重ね合わせて張る工法で、まるで武士の鎧のような重厚感のある外観を演出します2。この種類は、他の外壁材では表現できない独特な質感と立体感を持っており、高級住宅や店舗建築で注目されています。
意外にも、屋根タイプは外壁用途での施工事例が増加傾向にあり、特に関西地方では伝統的な建築様式との融合を図る建物で採用されることが多くなっています。
各種類のガルバリウム外壁は、価格帯とメンテナンス性において明確な違いがあります。塗装業者として顧客に提案する際には、これらの特徴を理解して適切な種類を選択することが重要です。
種類別価格帯(㎡あたり):
釘打ちタイプは最も経済的ですが、釘の錆びや抜けによるメンテナンス頻度が高くなる傾向があります。建物の揺れや気候条件により、5年~7年程度でメンテナンスが必要になることがあります。
スパンドレルタイプは、釘が見えないため美観を長期間維持できる一方で、初期費用がやや高くなります。しかし、10年~15年程度のメンテナンス周期で済むため、長期的なコストパフォーマンスは良好です。
金属サイディングは初期費用が最も高いものの、断熱性能や防水性能が優れており、メンテナンス頻度を大幅に削減できます。特に、次世代ガルバリウム鋼板を使用した製品では、15年~20年程度のメンテナンス周期を実現できる場合があります。
ガルバリウム外壁の各種類は、それぞれ異なる特徴と適用範囲を持っています。釘打ちタイプは経済性を重視する場合に、スパンドレルタイプは美観と機能性のバランスを求める場合に、金属サイディングは高性能を求める場合に、屋根タイプは独自性を重視する場合に選択されます。
塗装業者として顧客に提案する際は、建物の用途、予算、メンテナンス計画、デザイン要求などを総合的に考慮し、最適な種類を選択することが重要です。また、各種類の施工技術や専用工具の習得も、高品質な仕上がりを実現するために不可欠な要素となります。