ガルバリウム鋼板デメリット施工費用耐久性メンテナンス

ガルバリウム鋼板デメリット

ガルバリウム鋼板の施工難易度と塗装業者への影響

塗装業者として最も重要な点は、ガルバリウム鋼板の施工難易度の高さです。材質自体に塗料が付着しづらい特性があり、専門的な板金技術を備えた業者でなければ施工が非常に困難になります。

 

• 塗料の密着性が悪く、数年で剥がれるリスクがある
• 薄い建材のため、施工中の傷に弱い
• 鉄粉の後始末が不十分だと腐食の原因となる
• 板金工を専門とする業者への依頼が推奨される

特に経験値の浅い塗装業者がガルバリウム鋼板の塗装を行う場合、塗料の定着が甘くなることがあり、わずか数年で剥がれ落ちる事例も報告されています。これは顧客満足度の低下と、再施工による収益悪化を招く重大な問題です。

 

ガルバリウム鋼板への塗装では、下地処理の徹底と専用プライマーの使用が不可欠です。通常の外壁塗装と比較して、工期も長くなる傾向があります。

 

ガルバリウム鋼板の費用負担とコストパフォーマンス

ガルバリウム鋼板は、スレートや窯業系サイディングよりも施工価格が高くなる点がデメリットとして挙げられます。価格の安さが重視される分譲住宅ではあまり採用されず、主に注文住宅で使用される理由もここにあります。

 

初期費用の比較。

• ガルバリウム鋼板：高額
• 窯業系サイディング：中程度
• スレート：比較的安価

しかし、耐用年数が長くメンテナンス頻度が低いため、ランニングコストを含めたトータルコストで見ると、優れたコストパフォーマンスを発揮するという見方もあります。

 

費用を抑える方法として、リフォーム時の重ね張りによるカバー工法が有効です。古い屋根材や外壁材を剥がしたり、廃材を処分したりする必要がないため、工期もコストも抑えられます。

 

ガルバリウム鋼板の凹みやすさと耐衝撃性の問題

ガルバリウム鋼板の大きなデメリットの一つが、薄い金属板であるがゆえの凹みやすさです。外からの衝撃に弱く、以下のような状況で凹みが発生しやすくなります。

 

凹みが発生しやすい状況。

• 子どものボール遊び
• 野球ボールの壁当て
• 搬入時の家具のぶつかり
• 車の出入りが激しい車庫周り

凹んだ部分の修理は非常に困難で、機能性に問題がなくても見た目の美観が損なわれます。対策として、凹みにくいデザインや厚みのあるタイプ（0.35mm以上）の選択、または波型タイプの採用が推奨されます。

 

断熱材一体型のガルバリウム鋼板を選ぶことで、断熱材がクッションの役割を果たし、凹みを軽減できる効果も期待できます。

 

ガルバリウム鋼板の錆発生リスクと環境要因

「錆びにくい」とされるガルバリウム鋼板ですが、完全に錆びないわけではありません。金属素材である以上、特定の条件下では錆の発生リスクがあります。

 

錆発生の主な原因。

• 台風や竜巻による小さな傷
• 加工時の切断面からの錆
• 排気ガスや鉄粉の付着
• 錆びたネジからの影響
• もらい錆（他の金属製品からの錆の移行）

錆が発生しやすい環境。

• 沿岸地域（塩害）
• 工場地帯（化学的腐食）
• 鉄道沿線（鉄粉の影響）
• 森林付近（木酢液の影響）

特に普段雨がかかりにくい場所では、雨で流されない分汚れが付着し続けやすく、ガルバリウム鋼板を錆びさせる成分が蓄積して白錆びの原因となることがあります。

 

予防対策として、年に数回の水洗いや定期的なメンテナンス、傷の早期補修が重要です。

 

ガルバリウム鋼板のメンテナンス周期と塗装業者の対応戦略

「メンテナンスフリー」と謳われることもあるガルバリウム鋼板ですが、これは完全に間違った認識です。どんな外壁材でも定期的なメンテナンスは必要であり、ガルバリウム鋼板も例外ではありません。

 

メンテナンス周期の実態。

• 一般的な推奨周期：10年〜20年
• メーカーや素材により異なる
• 環境条件によって前後する可能性

メンテナンス費用が高めになる理由。

• 汚れが付着しづらい特性により塗装の密着性が悪い
• 専門的な技術と経験が必要
• 特殊な下地処理が必要
• 専用塗料の使用が推奨される

塗装業者として重要なのは、ガルバリウム鋼板の特性を理解し、適切な施工方法を身につけることです。経験の浅い業者が施工すると、塗料の定着が甘くなり、数年で剥がれ落ちるトラブルが発生する可能性があります。

 

また、定期的な点検とメンテナンスの重要性を顧客に伝え、長期的な関係構築を図ることが事業継続の鍵となります。

 

断熱性や遮音性の低さも課題の一つです。薄い金属建材であるため、これらの性能が劣ります。現在では断熱材一体型の製品も多く扱われていますが、その分価格が高くなる点に注意が必要です。

 

さらに、デザインのバリエーションが窯業系サイディングに比べて少ないことも、顧客の選択肢を狭める要因となります。シンプルなデザインを好む顧客には適していますが、多様な外観を求める顧客には不向きな場合があります。

 

アルカリ性環境への弱さも見逃せません。枯れ葉や木くず、木材に含まれる木酢液の影響で変色や劣化が発生する可能性があります。高木のある環境では定期的な手入れが必要です。

 

勾配のないデザインには不向きという制約もあります。水溜まりができると浸水のリスクがあるため、陸屋根や平屋根には適用できません。

 

塗装業者として、これらのデメリットを十分に理解し、顧客への提案時に正確な情報提供を行うことが、信頼関係の構築と長期的な事業成功につながります。