木材寸法規格一覧で建築設計効率化

木材寸法規格一覧で建築設計効率化

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木材寸法規格一覧

木材寸法規格の基礎知識
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JAS規格による標準化

日本農林規格により構造材・下地材・造作材の寸法が統一

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構造用製材の分類

甲種構造材(水平材)と乙種構造材(垂直材)で異なる規格

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ツーバイフォー規格

枠組壁工法用製材の標準寸法とSPF材の特徴

木材JAS規格による標準寸法規格

木材の寸法規格は、JAS(日本農林規格)によって厳格に定められています。この規格により、建築業界では統一された寸法での材料調達が可能となり、設計から施工まで効率化が図られています。

 

JAS規格では、製材を用途別に以下のように分類しています。

  • 構造用製材:建築物の構造耐力上主要な部分に使用
  • 下地用製材:壁・床・天井などの下地材として使用
  • 造作用製材:内装の仕上げ材として使用

これらの分類により、それぞれ異なる品質基準と寸法規格が適用されます。特に構造用製材では、目視等級区分と機械等級区分の2つの方法で強度性能が評価され、設計時の基準強度が明確に定められています。

 

目視等級区分では、節の大きさや年輪幅などを目視で確認し、1級から3級まで等級付けされます。一方、機械等級区分では、グレーディングマシンで測定されたヤング係数により、E50からE150まで6段階に分類されます。

 

JAS規格品を使用する最大のメリットは、構造計算における基準強度が国土交通省告示で明確に定められていることです。これにより、設計者は安心して構造計算を行うことができます。

 

木材構造用製材寸法と甲種乙種分類

構造用製材は、使用部位により甲種構造材と乙種構造材に分類され、それぞれ異なる寸法規格が設定されています。

 

甲種構造材(曲げ性能重視)
水平方向に使用される部材で、高い曲げ性能が要求されます。

  • 対象部材:土台、大引、根太、梁、桁、母屋、垂木
  • 甲種Ⅰ種:木口短辺36mm未満、または短辺36mm以上かつ長辺90mm未満
  • 甲種Ⅱ種:木口短辺36mm以上かつ長辺90mm以上

乙種構造材(圧縮性能重視)
垂直方向に使用される部材で、主として高い圧縮性能が必要とされます。

  • 対象部材:柱、床束、小屋束
  • 等級:1級、2級、3級

実際の建築現場でよく使用される構造材の標準寸法を以下に示します。

部材名 樹種 標準寸法(mm) 長さ
土台 桧・防腐栂・米ヒバ 120×120、105×105、100×100 4m・3m
杉・桧・集成材 120×120、105×105、100×100 6m・3m
米松・杉・桧 360×120~150×120 6m~3m
大引 杉・米松 90×90、75×75 4m・3m

これらの寸法は関東寸法と呼ばれる標準的な規格で、地域によって若干の違いがある場合があります。

 

木材ツーバイフォー寸法規格表

ツーバイフォー材は、枠組壁工法構造用製材としてJAS600規格で定められており、SPF材として広く流通しています。アメリカ由来の規格で、インチ表記による呼称と実際の仕上がり寸法には差があることが特徴です。

 

主要なツーバイフォー材寸法規格

寸法型式 呼称 読み方 厚さ(mm) 幅(mm)
104 1×4 ワンバイフォー 19 89
106 1×6 ワンバイシックス 19 140
204 2×4 ツーバイフォー 38 89
206 2×6 ツーバイシックス 38 140
208 2×8 ツーバイエイト 38 184
210 2×10 ツーバイテン 38 235
404 4×4 フォーバイフォー 89 89

これらの寸法は乾燥材(含水率19%以下)の規定寸法です。特に2×4、2×6、4×4材は市場流通量が多く、比較的入手しやすい規格となっています。

 

ツーバイフォー材の特徴として、以下の点が挙げられます。

  • 寸法精度の高さ:機械加工により高い寸法精度を実現
  • 乾燥処理:含水率管理により反りや割れを抑制
  • 規格化:世界共通規格により安定供給が可能

枠組壁工法では、これらの規格材を組み合わせて構造体を構成するため、寸法の統一性が非常に重要となります。

 

木材下地材造作材寸法一覧

下地材と造作材は、それぞれ異なる用途と品質要求に応じた寸法規格が設定されています。

 

主要な下地材(野物材)の寸法規格

部材名 標準寸法(mm) 用途
間柱 45×40、40×30 壁下地構造材
根太 45×40 床下地材
垂木 45×40、40×36 屋根下地材
胴縁 45×15、45×13 外壁下地材
90×15、90×13 軸組補強材

造作材の標準寸法規格

部材名 樹種 標準寸法(mm) 等級
敷居 桧・集成材 105×45 ムジ・上小
鴨居 桧・集成材・杉 105×40 ムジ・上小
長押 桧・集成材・杉 100×40×6、90×36×6 ムジ・上小
幅木 桧・集成材・杉 100×24、90×24~18 ムジ・上小

造作材の等級表示について、重要なポイントは以下の通りです。

  • 無節:節が全くないもので、見た目重視の部位に使用
  • 上小節:10mm以下程度の節が2mに1個程度以内
  • 小節:25mm以下程度の節が1mに1個程度以内
  • ムジ:節の多少に関係なく材に「のた」(丸面)がない材

これらの等級により、使用部位の重要度に応じた材料選定が可能となります。

 

木材寸法規格選定時の実務ポイント

実際の建築現場では、規格寸法以外にも考慮すべき要素が多数存在します。経験豊富な設計者や現場監督が重視する実務的なポイントを解説します。

 

尺貫法とメートル法の使い分け
建築業界では現在でも尺貫法が根強く使用されており、以下の換算知識が必要です。

  • 1寸 = 約30.3mm:基本単位
  • 1尺 = 約303mm:10寸
  • 1間 = 2m:関東間の場合
  • 1坪 = 約3.31㎡:面積計算

実務でよく使われる略称。

  • 三五角(さんごかく):105×105mm柱
  • 四五角(よんごかく):135×135mm柱
  • 尺角(しゃっかく):300×300mm柱

含水率と寸法変化への配慮
木材は含水率により寸法が変化するため、以下の点に注意が必要です。

  • グリーン材:未乾燥材(含水率30%以上)
  • KD材:人工乾燥材(含水率19%以下)
  • 収縮率:樹種により異なるが、一般的に幅方向で3-8%

地域特性と流通事情

  • 関東寸法:一般的な規格寸法
  • 関西寸法:一部で異なる寸法体系
  • 地域材の活用:地産地消による輸送コスト削減

品質管理における注意点

  • JAS認定外材:無等級扱いとなり構造計算に制約
  • 集成材との使い分け:均質性と強度の違い
  • CLT材:大判積層材として新たな選択肢

これらの実務知識を活用することで、設計段階から施工まで効率的な材料選定と品質管理が可能となります。特に木造住宅や中大規模木造建築では、適切な寸法規格の選択が工期短縮とコスト削減に直結するため、これらの基礎知識の習得は建築業従事者にとって必須といえるでしょう。

 

農林水産省による製材の日本農林規格では、寸法許容差についても詳細に規定されており、仕上げ材と未仕上げ材で異なる基準が設けられています。設計者はこれらの許容差も考慮した詳細図作成が求められます。