ガルバリウム種類で失敗しない選び方と特徴比較

ガルバリウム種類で失敗しない選び方と特徴比較

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ガルバリウム種類の特徴と選び方

ガルバリウム鋼板の主要種類
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横葺きタイプ

最も一般的で施工性に優れ、断熱材の有無で性能が変わる

縦葺きタイプ

緩勾配でも施工可能で、雨仕舞い性能に優れる

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瓦調タイプ

伝統的な外観を維持しながら軽量化を実現

ガルバリウム横葺きの断熱材有無による違い

ガルバリウム鋼板の横葺きタイプは、断熱材の有無によって大きく性能が変わります。断熱材付きタイプは屋根材と断熱材が一体化しており、断熱性・遮音性に優れています。一方、断熱材なしタイプは価格が安価で、カバー工法に向いています。

 

横葺きタイプの主な特徴は以下の通りです。

  • 断熱材付きタイプ: 圧倒的に多く使用され、断熱性・遮音性に優れる
  • 断熱材なしタイプ: 断熱効果は薄いが、バックアップ材で補強可能
  • 石付きタイプ: 表面に天然石チップがコーティングされ、断熱効果と遮音性を両立

横葺きの注意点として、2.5寸以上の屋根勾配が必要です。これは雨水の排水性能を確保するためで、緩勾配だと雨漏りのリスクが高まります。

 

代表的な製品としては、ニチハの横暖ルーフやIG工業のスーパーガルテクトがあり、これらは断熱材付きタイプで高い人気を誇っています。

 

ガルバリウム縦葺きの立平と瓦棒の違い

ガルバリウム鋼板の縦葺きタイプには、立平葺きと瓦棒葺きの2つの主要な工法があります。瓦棒葺きは昔からよく使用されている工法で、心木あり・心木なしの2種類に分かれます。

 

縦葺きタイプの特徴。

  • 立平葺き: 最近人気で多くの新築に採用、心木が不要で耐久性が高い
  • 瓦棒葺き(心木あり): 従来の一般的な工法だが、心木の木材腐朽が課題
  • 瓦棒葺き(心木なし): 心木ありの問題を解決した改良版

縦葺きの最大の利点は、緩い勾配でも施工可能な点です。横葺きが2.5寸以上の勾配が必要なのに対し、縦葺きは1寸程度の緩勾配でも対応できます。

 

特に立平葺きは、心木として使用していた木材を排除することで、20年程度での心木腐朽による劣化を防ぎ、より長期間の耐用年数を実現しています。

 

ガルバリウム瓦調タイプの意外な特徴

ガルバリウム鋼板の瓦調タイプは、従来の瓦屋根の外観を保ちながら軽量化を実現した画期的な屋根材です。このタイプの最も意外な特徴は、重量が従来の瓦の約1/10と非常に軽量でありながら、見た目は本物の瓦とほとんど区別がつかないことです。

 

瓦調タイプの隠れた特徴。

  • 軽量性: 瓦の重量約60kg/㎡に対し、ガルバリウム瓦調は約5kg/㎡
  • 耐震性: 軽量化により建物への負荷が大幅に軽減
  • 施工性: 瓦に比べて施工時間が短縮される
  • メンテナンス性: 瓦のズレや割れがなく、メンテナンスが簡単

瓦調タイプは特に、和風建築や伝統的な外観を維持したい建物で威力を発揮します。また、既存の瓦屋根のカバー工法としても使用され、耐震補強の効果も期待できます。

 

表面処理技術の進歩により、瓦の質感や色合いを精密に再現できるようになり、遠目からは本物の瓦との区別が困難なレベルまで達しています。

 

ガルバリウム折板タイプの工業用途での特性

ガルバリウム鋼板の折板タイプは、断面の構造設計に重点を置いて開発された特殊な屋根材です。このタイプは一般住宅よりも工場や倉庫、ショッピングモールなどの大型建築物で主に使用されています。

 

折板タイプの特殊な特性。

  • 高強度: 折り曲げ構造により、平板の数倍の強度を実現
  • 大スパン対応: 支持間隔を広く取れるため、柱の本数を削減可能
  • 排水性: 特殊な断面形状により、雨水の排水性能が非常に高い
  • 施工効率: 大判サイズで施工でき、工期短縮に貢献

折板の断面形状は台形状が一般的で、この形状により構造強度を大幅に向上させています。また、接合部の構造も特殊で、重ね代部分での雨水浸入を防ぐ独自の仕組みを持っています。

 

工業用途での使用が多いため、一般的にはあまり知られていませんが、最近では住宅用途でも採用が増えており、モダンな外観を求める建築物で注目されています。

 

ガルバリウム種類選択での施工業者の視点

塗装業者として知っておくべきガルバリウム鋼板の種類選択は、単に材料の特性だけでなく、施工性や将来のメンテナンス性も考慮する必要があります。特に各種類の塗装適性は大きく異なります。

 

施工業者が重視すべき選択基準。

  • 塗装適性: 表面処理の違いにより、プライマーの選択が変わる
  • 施工難易度: 縦葺きは技術力が必要、横葺きは比較的容易
  • メンテナンス頻度: 断熱材付きは塗装サイクルが長い
  • コストパフォーマンス: 初期費用と維持費用のバランス

実際の現場では、建物の用途や立地条件に応じて最適な種類を提案することが重要です。たとえば、海岸部では耐塩害性能に優れた表面処理を施したタイプを選択し、積雪地域では雪荷重に対応できる高強度タイプを推奨します。

 

また、既存建物の改修工事では、既存屋根材との相性や下地処理の必要性も考慮し、カバー工法に適した種類を選定することが施工品質の向上につながります。

 

ガルバリウム鋼板の種類選択は、建物の長期的な性能維持と美観保持に直結するため、専門知識に基づいた適切な提案が求められます。各種類の特性を理解し、顧客のニーズに最適な選択肢を提供することが、信頼される塗装業者としての重要な役割といえるでしょう。