
ガスケットは配管フランジや容器の蓋など、静止部分の接合部に用いられる固定用シール材です。主な役割は隙間を埋めて流体の漏れや外部からの異物混入を防ぐことにあります[1][3][8]。一方、パッキンは運動部のシールに使われる動的シール材であり、用途によって呼称が変わります。Oリングも固定用途ならガスケット、運動用途ならパッキンと呼ばれます[4]。
ガスケットは耐熱性・耐薬品性・耐圧力・施工性など多様な性能が求められ、材質や形状の選定が重要です。従来はアスベストが多用されていましたが、現在は非石綿材質への切り替えが進んでいます[1][8]。
ガスケットの材質は大きく分けて「非金属」「セミメタリック」「メタル」「液状」の4種があります[5]。
・非金属ガスケット:ゴムや樹脂、コルク、膨張黒鉛などで作られ、柔軟性や加工性に優れます。
・セミメタリックガスケット:金属と非金属を組み合わせ、耐熱・耐圧性と柔軟性を両立。
・メタルガスケット:金属のみで構成され、耐熱・耐圧性に優れ高温高圧の現場で活躍します。
・液状ガスケット:塗布して硬化させることで弾性皮膜を形成し、複雑な形状や自動化工程で強みを発揮します[2][4][5]。
それぞれの材質は用途や流体、温度・圧力条件によって最適なものを選定する必要があります[6]。
ガスケットの選定は、シール対象流体(例:水、油、酸、ガスなど)、使用温度、圧力、フランジの形状や表面粗さなど多角的な条件を考慮して行います[6]。
・水や空気にはゴムやジョイントシート
・薬品や溶剤にはPTFE(フッ素樹脂)や黒鉛系
・高温高圧にはメタルガスケットや膨張黒鉛
・可燃性・毒性ガスにはPTFE系や金属製
など、流体の性質や現場条件によって推奨材質が異なります。
また、ガスケットの締付面圧や寸法、施工時の管理精度も性能に直結するため、選定時には総合的な判断が不可欠です[6]。
液状ガスケットは、ディスペンサーによる自動塗布や複雑形状への対応力があり、近年の自動車部品や電子機器、バッテリーケースなどで採用例が増えています[2][4]。
・FIPG(Formed In Place Gasket):両面に接着し、分解・再組立を想定しない部位に使用。
・CIPG(Cured In Place Gasket):片面にのみ接着し、分解・再組立が可能な部位に最適[2]。
液状ガスケットは面粗度や幾何公差への要求が低く、加工コスト削減に寄与しますが、塗布量や硬化管理が不十分だとシール性能が低下するため、精密な塗布制御が求められます[4]。
また、UV硬化型や2液混合型など、硬化速度や作業効率を高める新技術も登場しています[2]。
ガスケットは施工の均一性やメンテナンスの容易さが特長ですが、複雑な形状や他メーカー部材との互換性には注意が必要です[7]。
外壁や配管の塗装時には、ガスケット専用の下塗り材を使用しないと可塑剤の析出によるべたつきや美観悪化が起こることもあります[7]。
さらに、液状ガスケットは自動化ラインでの高精度塗布が求められるため、ロボットとサーボ駆動塗布ガンの組み合わせや最適なプログラミングが生産性向上のカギとなります[4]。
独自視点として、現場でのトラブル事例や、施工不良による再発防止策、ガスケット専用の塗装下地処理の最新技術なども今後注目されています。
Aタグ参考リンク例。
ガスケットの材質や選定基準の詳細な一覧表が掲載されているページ(選定時の参考に)
流体・温度・圧力に対するガスケット選定例|SealQuickSearcher
液状ガスケットの自動化塗布や塗布ガンの技術解説(自動化工程の参考に)
液状ガスケットの特徴と自動化塗布|モーノディスペンサー