JIS B2220鋼製管フランジ規格選定ガイド

JIS B2220鋼製管フランジ規格選定ガイド

記事内に広告を含む場合があります。

JIS B2220鋼製管フランジ規格詳解

JIS B2220の基本構成
⚙️
フランジ種類

SW、WN、LJ、TR、IT、BLの6種類を規定

📏
呼び圧力・呼び径

10K~40Kの圧力等級、10A~600Aの径サイズ

🔧
ガスケット座

FF、RF、MF、TGの4種類で密封性を確保

JIS B2220フランジ種類と特徴

JIS B2220規格では、使用目的と接続方法に応じて6種類のフランジを規定しています。各フランジの特徴と適用場面を詳しく解説します。

 

ソケット溶接式フランジ(SW)

  • 小径配管(50A以下)に最適
  • 配管をフランジに差し込んで溶接する構造
  • 施工性に優れ、小さな漏れリスク
  • 高圧配管での使用頻度が高い

突合せ溶接式フランジ(WN)

  • 中・大径配管の主流タイプ
  • 配管とフランジを突き合わせて溶接
  • 最も信頼性が高く、高温高圧に対応
  • 石油化学プラントで多用される

遊合形フランジ(LJ)

  • 配管端部に鍔を作成して使用
  • 材料コストを抑制可能
  • 比較的低圧の用途に限定
  • メンテナンス性に優れる

ねじ込み式フランジ(TR)

  • 小径配管でねじ接続
  • 溶接作業が不要
  • 現場での取付が容易
  • 温度変化に注意が必要

JIS B2220では呼び圧力20K・30K専用のスリップオン溶接式フランジ(SOH)も規定され、A形・B形・C形の3形式が設定されています。

 

JIS B2220規格の詳細仕様について
https://kikakurui.com/b2/B2220-2012-01.html

JIS B2220呼び圧力と呼び径規格

JIS B2220の呼び圧力は、配管システムの最高使用圧力を示す重要な指標です。10K、20K、30K、40Kの4段階で規定され、実際の使用圧力とは異なる点に注意が必要です。

 

呼び圧力の実用的意味

  • 10K:約1.0MPa(約10気圧)まで対応
  • 20K:約2.0MPa(約20気圧)まで対応
  • 30K:約3.0MPa(約30気圧)まで対応
  • 40K:約4.0MPa(約40気圧)まで対応

呼び径の範囲と特徴
JIS B2220では10A(約3/8インチ)から600A(約24インチ)まで幅広い径をカバーしています。「A」は外径を表し、実際の内径とは異なります。

 

  • 小径(10A~50A):一般建築設備、小規模プラント
  • 中径(65A~200A):工場配管、中規模設備
  • 大径(250A~600A):大型プラント、上下水道

国際規格との比較点
JIS B2220はANSI(アメリカ)やEN(ヨーロッパ)規格と類似していますが、ボルトパターンや厚さに微妙な違いがあります。国際プロジェクトでは事前の寸法確認が重要です。

 

JIS B2220ガスケット座種類と選定

ガスケット座の形状は、フランジ接続部の密封性能を左右する重要な要素です。JIS B2220では4つの基本形状を規定しています。

 

全面座(FF)
🔹 フランジ全面でガスケットを挟む構造
🔹 低圧用途に適用(主に10K)
🔹 ガスケット交換が容易
🔹 軟質ガスケットとの組み合わせが基本
平面座(RF)
🔹 フランジ面に浅い凹みを設けた形状
🔹 中・高圧用途で最も一般的
🔹 金属系ガスケットとの相性が良好
🔹 表面仕上げが密封性に影響
はめ込み形(MF)
🔹 メール座(MF-M)とフィメール座(MF-F)の組み合わせ
🔹 高圧・高温用途に適用
🔹 ガスケットの位置決めが確実
🔹 専用工具での施工が必要
溝形(TG)
🔹 タング座(TG-T)とグルーブ座(TG-G)の組み合わせ
🔹 最高圧力での使用が可能
🔹 金属製Oリングガスケットを使用
🔹 精密な加工技術が要求される
ガスケット選定では、使用温度・圧力・流体の種類を総合的に判断し、適切な座形状とガスケット材質の組み合わせを決定します。

 

JIS B2220材質選定と用途別適用

JIS B2220では、用途に応じて様々な材質のフランジが規定されています。主要な配管種別と推奨材質を解説します。

 

一般配管用途

  • 材質:炭素鋼(SS400、STPG370)
  • 適用:空気、水、低圧蒸気配管
  • 特徴:コストパフォーマンスに優れる
  • 注意点:腐食環境では不適

圧力配管・高圧配管用途

  • 材質:炭素鋼(STPG410、STS370)
  • 適用:高圧蒸気、工業ガス配管
  • 特徴:機械的強度が高い
  • 設計:応力解析が重要

高温配管用途

  • 材質:合金鋼(STPA12、STPA22)
  • 適用:高温蒸気、熱媒油配管
  • 特徴:クリープ強度に優れる
  • 保守:定期的な材質劣化検査が必須

ステンレス配管用途

  • 材質:SUS304、SUS316、SUS316L
  • 適用:食品、医薬品、化学工業
  • 特徴:耐食性・耐熱性に優れる
  • 選定:塩化物イオン濃度が判断基準

実際の現場では、SUS304製ねじ込み式フランジが造船・電力プラント・石油化学・製紙パルプ・上下水道・薬品配管で広く使用されています。

 

アルミニウム合金(A5052)製フランジも存在し、軽量性が要求される用途で採用されています。ただし、使用温度・圧力に制限があるため、適用範囲を慎重に検討する必要があります。

 

JIS B2220設計時の注意点と実務ポイント

JIS B2220を実務で活用する際には、規格書に明記されていない重要なポイントがあります。長年の現場経験から得られた知見を紹介します。

 

温度補償と熱応力対策
配管の熱膨張によりフランジ接続部に過大な応力が発生する場合があります。特に。

  • 温度差が大きい配管システム
  • 長距離の直管配管
  • 固定点が多い配管ルート

これらの条件では、エキスパンションジョイントや配管ルートの工夫により、フランジ部への応力集中を回避する設計が重要です。

 

ボルト締付管理の実務
JIS B2220では締付トルクの詳細な規定がありません。実務では。
🔧 段階的締付(25%→50%→75%→100%)を実施
🔧 対角線順序での均等締付を徹底
🔧 温度変化後の増締めを考慮
🔧 締付工具の精度管理を実施
ガスケット選定の落とし穴
規格上適合するガスケットでも、実際の使用条件では問題が生じる場合があります。

  • 流体の化学的適合性
  • 温度サイクルによる劣化
  • 振動による緩み
  • 経年変化による性能低下

法規制との整合性確認
JIS B2220準拠品でも、高圧ガス保安法や労働安全衛生法の追加要求事項を満たす必要があります。特に。

  • 材料証明書の取得
  • 非破壊検査の実施
  • 定期検査の計画立案
  • 作業員の資格確認

海外規格との互換性対応
国際プロジェクトでは、JIS B2220とANSI B16.5、EN 1092の寸法差が問題となる場合があります。事前の詳細検討により、現地調達品との適合性を確認することが、プロジェクト成功の鍵となります。

 

フランジ選定における実践的な考慮事項
https://www.monotaro.com/s/q-%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B8%20jis%20b2220/
これらの実務ポイントを理解し適切に適用することで、JIS B2220に基づく配管システムの信頼性と安全性を大幅に向上させることができます。