

2025年4月1日施行分で、いわゆる「子の看護休暇」は名称が「子の看護等休暇」に変わり、対象となる子の範囲が「小学校3年生修了まで」に拡大されます。
取得事由も広がり、病気・けがや予防接種・健康診断に加えて、感染症に伴う学級閉鎖等や、入園(入学)式・卒園式でも取得できるようになります。
取得可能日数(年5日、子が2人以上は年10日)は据え置きなので、建築現場では「取りやすさ」よりも「突発的に発生しうる日数を前提に工程をどう守るか」が論点になります。
建築業の実務では、子の看護等休暇が増えるほど「朝イチのKY(危険予知)・朝礼の成立」「有資格者の配置要件」「元請・一次の立会い」などが欠けるリスクが上がります。
そこで、次のように“休暇制度”を“工程管理”に翻訳しておくと運用が破綻しにくくなります。
参考:改正ポイント(子の看護等休暇の対象拡大・取得事由の追加・名称変更の根拠)
厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」(リーフレット)
2025年4月1日施行分で、所定外労働の制限(いわゆる残業免除)の対象が「3歳未満の子」から「小学校就学前の子」へ拡大されます。
建築業は天候や搬入遅れ、是正工事などで残業が発生しやすく、しかも「今日延ばせない作業」が多いのが特徴です。
そのため、残業免除の申出が増えたときに“現場の善意”だけで回すと、特定の人に負担が偏り、離職やメンタル不調の引き金になります。
対応の現実解は、法の趣旨に沿いながら「残業が必要な業務の設計」自体を変えることです。
参考:残業免除の対象拡大(施行前後の比較が明確)
厚生労働省リーフレット(所定外労働の制限の対象拡大)
2025年4月1日施行分で、3歳未満の子を養育する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主の努力義務になります。
同じく4月施行分として、短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置メニューに「テレワーク」が追加されます。
さらに介護についても、要介護状態の対象家族を介護する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが努力義務化されます。
ただし建築業は「現場に行かないと成立しない仕事」が多く、テレワークを“できる・できない”の二択で考えると制度が形骸化しがちです。
意外に効くのは、現場業務を分解して「現場100%」から「現場70%+在宅30%」に落とす設計です。たとえば、次の業務は現場常駐でなくても回せることがあります。
テレワークを導入する場合は、労務だけでなく“情報と責任”も設計対象です。
参考:テレワーク努力義務・代替措置の追加(条文解釈より実務に落としやすい一覧)
厚生労働省リーフレット(育児・介護のテレワーク、代替措置)
2025年4月1日施行分で、介護離職防止のために、事業主は介護休業や介護両立支援制度等の申出が円滑に行われるよう、研修・相談窓口・事例の提供・方針周知のいずれかの措置を講じることが義務化されます。
また、介護に直面した旨の申出をした労働者に対して、制度内容・申出先・介護休業給付金などを個別に周知し、意向確認を個別に行うことが義務となります。
さらに、介護に直面する前の早い段階として40歳等のタイミングで、同様の情報提供を行うことも義務化されています。
建築業で介護が難しいのは、「急に親の状況が変わる」「現場を離れられない」「遠方対応が必要」などが重なる点です。だからこそ、40歳情報提供は“人事の儀式”ではなく、離職を防ぐ実務ツールとして設計する価値があります。
あまり知られていない落とし穴として、介護の局面では本人が「制度を使うほどではない」と思い込んで抱え込み、結果として欠勤・遅刻・ミスが増え、評価が落ちて退職に向かうケースがあります。
このパターンを防ぐには、制度説明を「休業しますか?」ではなく「どの程度、働き方を調整しますか?」に変えるのが有効です(意向確認の設計がそのまま離職率に効きます)。
参考:介護離職防止の義務(雇用環境整備・個別周知・40歳情報提供の要件がまとまっている)
厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」
2025年4月1日施行分で、育児休業取得状況の公表義務の対象企業が「従業員数1,000人超」から「従業員数300人超」へ拡大されます。
公表内容は男性の「育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」で、年1回、事業年度終了後おおむね3か月以内に、一般が閲覧できる方法(インターネット等)で公表することが求められます。
厚生労働省の「両立支援のひろば」での公表も推奨されており、企業事例検索や取組状況の診断機能があるとされています。
ここが建築業の独自の難所です。取得率を上げる施策を急ぐほど、現場の工程・竣工責任との衝突が表面化し、「制度はあるが現場は回らない」という反発が出やすいからです。
したがって、公表義務対応は“広報”ではなく“現場設計”として扱うのが安全です。
さらに、2025年10月1日施行分では、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に関して、事業主が「選択して講ずべき措置」5つの中から2つ以上を選択して講じる義務が発生し、労働者はその中から1つを選択して利用できる形になります。
この“2つ以上用意”は、建築業では「テレワーク等(月10日以上)」を選んでも現場職が使えない可能性があるため、もう1つ(例:始業時刻等の変更、短時間勤務制度、養育両立支援休暇の付与等)をどう現場向けに実装するかが勝負になります。
参考:公表義務の対象拡大・公表方法、10月施行の柔軟な働き方の選択義務(一次情報で要件確認できる)
厚生労働省リーフレット(公表義務、柔軟な働き方の措置)