
角波トタンの寸法表記は建築業界の慣習により尺貫法が主流となっています。基本的な寸法体系を以下の表で整理しました。
尺表記 | 長さ(mm) | 標準幅(mm) | 一般的な用途 |
---|---|---|---|
6尺 | 1,820-1,829 | 620-655 | 小規模物件・補修工事 |
7尺 | 2,120 | 655 | 住宅外壁・倉庫 |
8尺 | 2,420-2,430 | 650-655 | 中規模建築物 |
9尺 | 2,730 | 655 | 大型倉庫・工場 |
10尺 | 3,030 | 655 | 長スパン建築物 |
モノタロウで販売されている6尺タイプは板厚0.19mm×巾620mm×長さ1829mmの10枚セットが標準仕様です。価格.comの調査では、8尺サイズ(2430mm)の幅650mm、肉厚0.19-0.25mmの製品が多く流通していることが確認できます。
意外な事実として、同じ尺表記でもメーカーによって数ミリの寸法差があります。例えば6尺では1,820mmと1,829mmの両方が存在し、現場での継ぎ手処理に影響を与える可能性があります。発注前の寸法確認は必須です。
角波トタンの板厚は構造強度と経済性のバランスを決定する重要な要素です。月星商事の角波A型シリーズでは0.27、0.35、0.4、0.5、0.6mmの5段階の板厚を展開しています。
薄板仕様(0.19-0.27mm) 🟡
中厚仕様(0.35-0.4mm) 🟠
厚板仕様(0.5-0.6mm) 🔴
楽天市場の建材ステーションでは、0.35mm厚のガルバリウム鋼板製角波が最も人気で、錆びにくさと施工性のバランスが評価されています。
角波トタンの働き幅は施工効率と意匠性を左右する重要な寸法です。セキノ興産では用途別に3つのカテゴリーで展開しています。
長尺角波914(働き幅750-800mm) 🏢
長尺角波455(働き幅365-408mm) 🏠
SK角波サイディング914(働き幅750-800mm) 🎨
月星商事の角波A型では原板幅914mm、働き幅760mmが標準で、㎡当たり1.32mの施工効率を実現しています。楽天の建材ステーションでは、3山タイプ(働き幅370mm)と4山タイプ(働き幅380mm)の2種類を展開し、山数による意匠の違いも選択できます。
標準規格品では対応できない特殊な施工条件に対して、多くのメーカーがオーダー寸法サービスを提供しています。楽天の建材ステーションでは以下の詳細なオーダー仕様を確認できます。
オーダー可能寸法範囲 📐
配送制約事項 🚛
製作時の技術的制約 ⚙️
意外な盲点として、オーダー品は標準品と比較して納期が2-3週間延びることが多く、工程計画への影響を考慮する必要があります。また、端材活用を前提とした寸法設定により、材料費を大幅に削減できる場合があります。
角波トタンの寸法選定では、カタログスペックだけでは見えない実務上の重要ポイントがいくつか存在します21。現場での施工経験から得られた知見を共有します。
熱膨張による寸法変化 🌡️
夏場の炎天下では、長尺の角波トタンは最大10-15mmの伸びが発生します。特に濃色系の塗装品では熱吸収率が高く、継ぎ手部分での圧縮応力が問題となることがあります。9尺以上の長尺品を使用する場合は、熱膨張ジョイントの設置を検討する必要があります。
風荷重と板厚の関係性 💨
建築基準法の風荷重計算では、角波の山高と板厚の組み合わせが耐風圧性能を決定します。一般的に山高9mmの角波では、板厚0.35mm以上が推奨されますが、海岸部や高層部では0.5mm以上が安全です。
運搬効率と現場作業性 🚛
10枚セットでの重量は板厚により大きく変化し、0.19mm厚で約23kg、0.35mm厚では約40kgとなります。人力での搬入を前提とする現場では、重量制限を考慮した寸法選定が作業効率を左右します。
継ぎ手処理と防水性能 💧
角波トタンの長手方向継ぎ手は、山部での重ね代が150mm以上必要です。計画寸法から継ぎ手ピッチを逆算し、最適な製品長さを選定することで、継ぎ手数を最小化できます。これにより防水性能向上と施工コスト削減の両方を実現できます。
建設業界での技術仕様検討において、これらの実務的な観点は設計段階での十分な検討が必要な重要項目です。特に大型プロジェクトでは、わずかな寸法選定ミスが大きなコスト増につながる可能性があるため、慎重な検討が求められます。