架橋ポリエチレン管配管の特徴とヘッダー工法施工方法

架橋ポリエチレン管配管の特徴とヘッダー工法施工方法

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架橋ポリエチレン管配管の基礎知識

架橋ポリエチレン管配管の概要
🔧
高い耐熱性・耐寒性

0℃~95℃まで対応可能で給水・給湯両方に使用できる

💪
優れた可とう性

柔軟性があり施工が容易、地震にも強い

🛡️
高い耐食性

錆びることがなく赤水・青水が発生しない

架橋ポリエチレン管配管の特徴とメリット

架橋ポリエチレン管は、水道用合成樹脂管の一種として、給水・給湯配管に広く使用されている配管材料です。この管材の最大の特徴は、優れた温度特性にあります。

 

温度特性と使用範囲

  • 使用可能温度範囲:0℃~95℃
  • 給水・給湯の両方に対応可能
  • 追い焚き配管にも使用可能
  • 金属管のような材質別の使い分けが不要

架橋ポリエチレン管の物理的特性として、優れた可とう性が挙げられます。この柔軟性により、施工時の配管敷設が容易になり、地震などの災害時にも破損リスクが大幅に軽減されます。実際に、災害時の調査でもポリエチレン管の破損が極めて少なく、耐震性に優れていることが実証されています。

 

衛生面でのメリット
架橋ポリエチレンは錆びることがないため、赤水や青水の発生がありません。また、湯あかなどの付着も少なく、内部が滑らかで清潔に保たれるため、衛生的な配管システムを実現できます。

 

快適性の向上
金属管と比べて熱伝導率が小さいため、給湯時の湯待ち時間が金属管より最大50%短縮されます。また、流水音が小さく、ウォーターハンマー(水爆音)も従来管に比べ30%~40%低減されるため、居住環境の快適性が向上します。

 

環境への配慮
架橋ポリエチレン管は、環境省が挙げている57項目の環境ホルモン物質を使用しておらず、ダイオキシンの発生もない環境に優しい配管材料です。

 

架橋ポリエチレン管のヘッダー工法と先分岐工法

架橋ポリエチレン管の配管には、主に「ヘッダー工法」と「先分岐工法」の2つの施工方法があります。それぞれの工法には明確な違いとメリット・デメリットが存在します。

 

ヘッダー工法の特徴

  • コスト:★★★★☆(やや高い)
  • 作業性:★★★☆☆(普通)
  • メンテナンス:★★★★☆(良い)
  • 水圧:★★★★★(非常に良い)
  • 総合評価:★★★★★(最高)

ヘッダー工法は、メインのヘッダーから各水栓に直接配管を行う方法です。この工法では、各水栓への配管経路は最短距離を取ることが原則となり、配管図の作成が必須となります。

 

先分岐工法の特徴

  • コスト:★★★☆☆(普通)
  • 作業性:★☆☆☆☆(悪い)
  • メンテナンス:★★☆☆☆(やや悪い)
  • 水圧:★★★☆☆(普通)
  • 総合評価:★☆☆☆☆(低い)

工法選択のポイント
ヘッダー工法は初期コストがやや高くなりますが、長期的なメンテナンス性や水圧の安定性を考慮すると、総合的な評価が高くなります。特に、各水栓で同時使用した際の水圧低下が少ないため、快適な使用環境を提供できます。

 

ヘッダーの設置スペース
ヘッダー設置時には適切なスペースの確保が重要です。

  • 分岐5か所の場合:500mm×400mm×150mm程度
  • 分岐3か所の場合:300mm×400mm×150mm程度

架橋ポリエチレン管配管の施工方法と注意点

架橋ポリエチレン管の施工には専用工具が必要なく、比較的簡単な作業で配管が可能です。しかし、適切な施工手順を守ることで、長期的な性能を確保できます。

 

通管作業の基本手順

  1. さや管内の清掃
    • ウエスによる管内清掃を実施
    • 水分や汚れを十分に除去
    • 浸水防止のための養生が重要
  2. 通管方向の決定
    • 原則としてヘッダー側から通管
    • 作業スペースを考慮して最適な方向を選択
  3. 先端部の加工
    • 架橋ポリエチレン管の先端を斜めにカット
    • 通管しやすいように先端を軽く曲げる
  4. 押し込み作業
    • 1回の押し込み長さは200mm~300mm程度
    • 握り手の位置はさや管端部より押し込み分だけ離す
    • 無理な押し込みによる座屈を避ける

施工時の重要な注意点

  • 座屈の防止:無理な押し込みで座屈した管は必ず引き抜いて新しい管で通管し直す
  • ねじれ防止:架橋ポリエチレン管がねじれないよう注意深く繰り出す
  • 釘打ち後の通管:原則として釘打ち作業終了後に通管を行う

勾配と支持の設定
天井配管時には勾配1/100以上を設け、支持間隔は0.5m以下とすることが推奨されています。これにより、配管系統全体の安定性を確保できます。

 

養生と保温対策
さや管の端末部は浸水防止および保温対策として、シールキャップなどで適切に養生します。露出部については必要に応じて再保温加工を行い、ただし水栓ボックス側については保温の必要はありません。

 

架橋ポリエチレン管の継手と接続技術

架橋ポリエチレン管の継手システムは、従来の配管工法と大きく異なる特徴を持っています。金属管のようなネジ接続や、塩ビ管のような接着剤を使用せず、簡単な接続が可能です。

 

継手の種類と特徴
ワンタッチ型継手

  • 管を継手に差し込むだけで接続完了
  • 専用工具が不要で作業効率が高い
  • 施工ミスのリスクが低い

拡径・圧入型継手

  • 専用工具を使用して管を拡径
  • より確実な接続が可能
  • 高圧用途に適している

継手の材質バリエーション
継手の材質は製造メーカーによって多様で、以下のような種類があります。

  • 金属製継手
  • 樹脂製継手
  • 金属と樹脂の複合型継手

これらはすべてJIS規格に適合しており、適切な施工と異物混入防止により、水漏れなどのトラブルはほぼ発生しません。

 

融着接続技術
ヘッダーとの接続には融着技術が使用されます。融着ソケットまたは融着レジューサーをヘッダーに取り付け後、架橋ポリエチレン管を差し込んで融着することで、強固で信頼性の高い接続が実現されます。

 

接続時の注意点

  • 一度接続した継手は取り外しができない
  • これは金銭的な負担増加の要因となる
  • 施工前の十分な計画と確認が重要

製造メーカーの信頼性
架橋ポリエチレン管工業会に属する主要8社(イノアック住環境、オンダ製作所、積水化学工業、タブチ、古河電気工業、前澤給装工業、三菱樹脂、未来工業)がすべて給水・給湯設備の一流メーカーであり、品質と信頼性が保証されています。

 

架橋ポリエチレン管工業会による詳細な技術情報と施工ガイドライン
http://www.jxpa.gr.jp/

架橋ポリエチレン管配管のメンテナンスと長期性能

架橋ポリエチレン管配管の最も注目すべき特徴の一つは、その優れた長期性能とメンテナンス性にあります。これは他の配管材料と比較して明確なアドバンテージとなっています。

 

クリープ特性と耐久性
架橋ポリエチレン管は、20℃~95℃で約10年におよぶ長期のクリープ試験結果により、建築物の寿命にも匹敵する安定した耐久強度が推定されています。実使用温度範囲で数10万時間にわたり脆性破壊が生じる屈曲点の発生が見られないことが確認されており、これは管材の寿命を示す重要な指標となります。

 

化学的安定性とメンテナンス頻度の削減
架橋ポリエチレン管は水道や給湯の使用条件では腐食や潰食を生じることがなく、長期間安全に使用できます。また、コンクリート、通常の土壌、迷走電流に対してもほぼ完璧な耐食性があり、埋設環境に関しては広い適応性を持っています。

 

メンテナンス時の特別な考慮点
定期点検項目

  • ヘッダー部分の目視確認
  • 継手部分からの漏水チェック
  • 水栓での水質・水圧確認
  • 露出配管部の保温材状態確認

長期性能維持のポイント

  • 極端な温度変化の回避
  • 機械的損傷からの保護
  • 適切な支持間隔の維持
  • 定期的な水質管理

他材料との比較優位性
金属管では避けられない錆による配管更新が不要で、塩ビ管のような経年劣化による強度低下も少ないため、ライフサイクルコスト全体では非常に経済的です。特に、赤水や青水の発生がないため、水質維持の観点からもメンテナンス負荷が大幅に軽減されます。

 

環境変化への対応力
架橋ポリエチレン管の分子構造により、温度変化や圧力変動に対する追従性が高く、建物の微細な変形にも柔軟に対応します。これにより、従来材料で問題となっていた接合部での応力集中による破損リスクが大幅に削減されています。

 

リニューアル時の利点
既存建物のリニューアル時には、軽量で可とう性に優れる特性により、既存配管ルートの活用や最小限の躯体工事での配管更新が可能です。この特性は、特に大規模修繕工事において工期短縮とコスト削減に大きく貢献します。

 

MESCO三井金属エンジニアリングによる工業用架橋ポリエチレン管の詳細仕様
https://www.mesco.co.jp/pipes/pipes_lineup/pxe/
モノタロウでの架橋ポリエチレン管製品ラインナップと価格情報
https://www.monotaro.com/k/store/%E6%9E%B6%E6%A9%8B%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%83%81%E3%83%AC%E3%83%B3%E7%AE%A1/