塩ビ管寸法規格一覧|不動産施工で必要な基本知識

塩ビ管寸法規格一覧|不動産施工で必要な基本知識

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塩ビ管寸法規格の基本知識

塩ビ管規格の基本構成
🔧
VP管(厚肉管)

水道用硬質ポリ塩化ビニル管で給水配管に使用

💧
VU管(薄肉管)

排水・通気配管に使用される肉薄タイプ

📏
JIS規格準拠

JIS K6741:2007に基づく標準寸法規格

塩ビ管VP・VU規格の違いとサイズ表

塩ビ管の規格は大きく分けてVP管(塩ビ厚肉管)とVU管(塩ビ薄肉管)に分類されます。VP管は水道用硬質ポリ塩化ビニル管として給水配管に使用され、VU管は排水・通気配管などの衛生設備配管に利用されています。

 

VP管の主要寸法(JIS K6741:2007準拠)

  • VP-13:外径18mm、厚さ2.2mm、内径13mm
  • VP-20:外径26mm、厚さ2.7mm、内径20mm
  • VP-25:外径32mm、厚さ3.1mm、内径25mm
  • VP-40:外径48mm、厚さ3.6mm、内径40mm
  • VP-50:外径60mm、厚さ4.1mm、内径51mm
  • VP-65:外径76mm、厚さ4.1mm、内径67mm
  • VP-75:外径89mm、厚さ5.5mm、内径77mm
  • VP-100:外径114mm、厚さ6.6mm、内径100mm

VU管の主要寸法

  • VU-40:外径48mm、厚さ1.8mm、内径44mm
  • VU-50:外径60mm、厚さ1.8mm、内径56mm
  • VU-65:外径76mm、厚さ2.2mm、内径71mm
  • VU-75:外径89mm、厚さ2.7mm、内径83mm
  • VU-100:外径114mm、厚さ3.1mm、内径107mm

VP管とVU管の最大の違いは肉厚にあります。同じ呼び径でも、VP管はVU管より厚く作られており、耐圧性能が高くなっています。

 

塩ビ管外径・内径の正確な寸法一覧

塩ビ管の寸法表示で重要なのは、呼び径と実際の外径・内径が一致しないことです。例えば、VP-50の場合、呼び径は50mmですが、実際の外径は60mm、内径は51mmとなっています。

 

呼び径と実寸の関係性

呼び径 VP管外径 VP管内径 VU管外径 VU管内径
40 48mm 40mm 48mm 44mm
50 60mm 51mm 60mm 56mm
65 76mm 67mm 76mm 71mm
75 89mm 77mm 89mm 83mm
100 114mm 100mm 114mm 107mm

この寸法の違いは、管の強度を確保するための肉厚設定によるものです。特に給水配管で使用されるVP管は、水圧に耐えるため厚い肉厚が必要となります。

 

大口径管の寸法規格
150mm以上の大口径管になると、より詳細な寸法管理が必要です。

  • VP-150:外径165mm、厚さ8.9mm、内径146mm
  • VP-200:外径216mm、厚さ10.3mm、内径194mm
  • VP-250:外径267mm、厚さ12.7mm、内径240mm
  • VP-300:外径318mm、厚さ15.1mm、内径286mm

大口径管では許容差の管理も重要で、外径の許容差が±1.0mm以上に設定されています。

 

塩ビ管施工時の許容差と注意点

塩ビ管の施工において、許容差の理解は極めて重要です。JIS規格では、各サイズごとに厳密な許容差が設定されており、これを超えると品質不良となります。

 

外径の許容差規格

  • 呼び径13~30:±0.2~±0.3mm
  • 呼び径40~50:±0.3~±0.4mm
  • 呼び径65~100:±0.5~±0.6mm
  • 呼び径125以上:±0.8mm以上

厚さの許容差と品質管理
塩ビ管の厚さには最小寸法と許容差が設定されています。

  • VP-13~20:厚さ許容差+0.6mm
  • VP-25~50:厚さ許容差+0.8mm
  • VP-65以上:厚さ許容差+0.8~+2.2mm

実務では、この許容差を考慮した接続部品の選定が必要です。特に継手との接続部分では、外径の許容差により接続の緩みや過度の締め付けが発生する可能性があります。

 

施工時の注意点
🔧 継手選定時は外径の最大・最小値を考慮する
💡 肉厚の最小値を下回らないよう品質確認を行う
⚠️ 温度変化による寸法変化を計算に入れる
📐 現場計測時は許容差内での寸法ばらつきを想定する

塩ビ管HI・HT管の特殊規格と用途

一般的なVP・VU管以外にも、特殊用途向けのHI管(耐衝撃性)とHT管(耐熱性)があります。これらの管は基本寸法はVP管と同等ですが、材質特性が大きく異なります。

 

HI管(耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管)
HI管は低温時でも耐衝撃性能を維持できる特殊な塩ビ管です。寒冷地での施工や、振動が多い環境での配管に適用されます。

 

  • 基本寸法:VP管と同等
  • 最高使用圧力:0.75MPa
  • 適用温度範囲:低温域での耐衝撃性確保
  • 主な用途:寒冷地配管、振動環境下配管

HT管(耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管)
HT管は90℃まで使用可能な耐熱性塩ビ管です。一般的な塩ビ管が60℃程度までの使用に限定されるのに対し、給湯配管にも対応できます。

 

  • 使用温度:最大90℃
  • 熱膨張係数:温度差による収縮に注意
  • 主な用途:給湯配管、温水配管
  • 施工注意点:温度変化による伸縮を考慮した配管設計

継手の適合性
特殊管用の継手は以下の規格で製造されています。

管種 継手外径 継手厚さ 適用圧力
TS(標準) 24.0~186.0mm 3.0~13.0mm 0.75MPa
HITS(耐衝撃) 24.0~186.0mm 3.0~13.0mm 0.75MPa

塩ビ管選定で失敗しない実務ポイント

実際の現場で塩ビ管を選定する際には、寸法規格以外にも重要な判断要素があります1112。

 

用途別選定基準
🏠 住宅給水配管

  • VP管(厚肉管)を選択
  • 耐圧性能0.75MPa以上確保
  • 接続部品との適合性確認

🚿 排水・通気配管

  • VU管(薄肉管)で充分
  • コスト効率重視の選定
  • 勾配計算での内径重要

🔥 給湯配管

  • HT管(耐熱性)必須
  • 熱膨張を考慮した配管設計
  • 保温材との組み合わせ検討

現場でよくある失敗例と対策
呼び径と実径の混同
VP-50を50mm径と誤認し、接続不良が発生
✅ 対策:実際の外径60mmで継手を選定
70mm径の管を探す
存在しない規格サイズを指定
✅ 対策:50→65→75の規格を理解
許容差を考慮しない施工
継手の緩みや過締めによる破損
✅ 対策:±許容差範囲での施工計画
品質確認のポイント
📋 外径測定による規格適合確認
📋 肉厚測定による強度確認
📋 材質表示による用途適合確認
📋 製造年月日による品質期限確認
不動産施工における塩ビ管選定では、これらの実務ポイントを押さえることで、施工不良やコスト増加を防ぐことができます。特に呼び径と実径の違いは、経験の浅い作業者がよく間違える部分なので、現場教育でも重点的に指導する必要があります1112。