
塩ビ管の規格は大きく分けてVP管(塩ビ厚肉管)とVU管(塩ビ薄肉管)に分類されます。VP管は水道用硬質ポリ塩化ビニル管として給水配管に使用され、VU管は排水・通気配管などの衛生設備配管に利用されています。
VP管の主要寸法(JIS K6741:2007準拠)
VU管の主要寸法
VP管とVU管の最大の違いは肉厚にあります。同じ呼び径でも、VP管はVU管より厚く作られており、耐圧性能が高くなっています。
塩ビ管の寸法表示で重要なのは、呼び径と実際の外径・内径が一致しないことです。例えば、VP-50の場合、呼び径は50mmですが、実際の外径は60mm、内径は51mmとなっています。
呼び径と実寸の関係性
呼び径 | VP管外径 | VP管内径 | VU管外径 | VU管内径 |
---|---|---|---|---|
40 | 48mm | 40mm | 48mm | 44mm |
50 | 60mm | 51mm | 60mm | 56mm |
65 | 76mm | 67mm | 76mm | 71mm |
75 | 89mm | 77mm | 89mm | 83mm |
100 | 114mm | 100mm | 114mm | 107mm |
この寸法の違いは、管の強度を確保するための肉厚設定によるものです。特に給水配管で使用されるVP管は、水圧に耐えるため厚い肉厚が必要となります。
大口径管の寸法規格
150mm以上の大口径管になると、より詳細な寸法管理が必要です。
大口径管では許容差の管理も重要で、外径の許容差が±1.0mm以上に設定されています。
塩ビ管の施工において、許容差の理解は極めて重要です。JIS規格では、各サイズごとに厳密な許容差が設定されており、これを超えると品質不良となります。
外径の許容差規格
厚さの許容差と品質管理
塩ビ管の厚さには最小寸法と許容差が設定されています。
実務では、この許容差を考慮した接続部品の選定が必要です。特に継手との接続部分では、外径の許容差により接続の緩みや過度の締め付けが発生する可能性があります。
施工時の注意点
🔧 継手選定時は外径の最大・最小値を考慮する
💡 肉厚の最小値を下回らないよう品質確認を行う
⚠️ 温度変化による寸法変化を計算に入れる
📐 現場計測時は許容差内での寸法ばらつきを想定する
一般的なVP・VU管以外にも、特殊用途向けのHI管(耐衝撃性)とHT管(耐熱性)があります。これらの管は基本寸法はVP管と同等ですが、材質特性が大きく異なります。
HI管(耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管)
HI管は低温時でも耐衝撃性能を維持できる特殊な塩ビ管です。寒冷地での施工や、振動が多い環境での配管に適用されます。
HT管(耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管)
HT管は90℃まで使用可能な耐熱性塩ビ管です。一般的な塩ビ管が60℃程度までの使用に限定されるのに対し、給湯配管にも対応できます。
継手の適合性
特殊管用の継手は以下の規格で製造されています。
管種 | 継手外径 | 継手厚さ | 適用圧力 |
---|---|---|---|
TS(標準) | 24.0~186.0mm | 3.0~13.0mm | 0.75MPa |
HITS(耐衝撃) | 24.0~186.0mm | 3.0~13.0mm | 0.75MPa |
実際の現場で塩ビ管を選定する際には、寸法規格以外にも重要な判断要素があります1112。
用途別選定基準
🏠 住宅給水配管
🚿 排水・通気配管
🔥 給湯配管
現場でよくある失敗例と対策
❌ 呼び径と実径の混同
VP-50を50mm径と誤認し、接続不良が発生
✅ 対策:実際の外径60mmで継手を選定
❌ 70mm径の管を探す
存在しない規格サイズを指定
✅ 対策:50→65→75の規格を理解
❌ 許容差を考慮しない施工
継手の緩みや過締めによる破損
✅ 対策:±許容差範囲での施工計画
品質確認のポイント
📋 外径測定による規格適合確認
📋 肉厚測定による強度確認
📋 材質表示による用途適合確認
📋 製造年月日による品質期限確認
不動産施工における塩ビ管選定では、これらの実務ポイントを押さえることで、施工不良やコスト増加を防ぐことができます。特に呼び径と実径の違いは、経験の浅い作業者がよく間違える部分なので、現場教育でも重点的に指導する必要があります1112。