

建築の現場では、写真・図面の確認・職人さんとの連絡・測定アプリなど、携帯機器が「実務の道具」そのものになっています。端末を買ったときに最初に決めるのは、費用(消耗品費)で落とすのか、資産(工具器具備品等)として計上して減価償却するのかです。
一般的な整理として、取得価額が10万円未満の携帯機器は「消耗品費」で処理するのが分かりやすい運用です。10万円以上の場合は「工具器具備品」などで資産計上し、耐用年数に応じた減価償却が必要になる考え方が広く採用されています。
ただし、10万円以上でも例外的に処理が軽くなるルートがあります。たとえば10万円以上20万円未満なら「一括償却資産」として3年均等で処理できる選択肢が紹介されています。さらに(中小企業や青色申告の個人事業主など)要件を満たす場合、30万円未満の資産を一定枠内で当期費用にできる「少額減価償却資産の特例」も論点になります。
建築従事者向けの実務ポイントは、購入の“単位”を明確にすることです。携帯機器を複数台まとめ買いすることもありますが、判断は「合計」ではなく「1台あたり」で整理される解説が多く、摘要に「○円×○台」と残すのが安全です。ここを曖昧にすると、後から「本当は資産計上では?」と社内で突っ込まれやすく、上司チェックでも引っかかりがちです。
さらに、建設業の現場は“端末本体だけがコストではない”点が重要です。端末と同時に購入しがちなものとして、保護フィルム・ケース・充電器・ケーブル・モバイルバッテリーなどがあります。これらの周辺機器は「消耗品費」で処理する整理がよく示されており、端末本体と分けて証憑を束ねるだけで仕訳が安定します。
現場あるあるとして、端末購入時に一緒に買った周辺機器がレシート上で同一明細になっているケースがあります。このとき、社内の運用ルールとして「端末=工具器具備品、周辺機器=消耗品費」と科目を分けたいなら、レシートの内訳が読める状態で保存し、会計ソフト側の摘要にも「内訳:端末○円/周辺○円」とメモを残すと揉めにくいです。
(参考:10万円未満は消耗品費、10万円以上は原則資産計上などの基本整理)
通信料や本体の勘定科目(10万円未満は消耗品費、10万円以上は工具器具備品):
https://biz.moneyforward.com/accounting/basic/58444/
10万円以上の端末は原則減価償却、20万円未満の一括償却資産など:
https://www.yayoi-kk.co.jp/shinkoku/oyakudachi/keitaidai/
携帯機器を10万円以上で購入した場合、会計処理は「工具器具備品(または備品等)」として資産計上し、決算で減価償却費を計上する流れが基本になります。ここで現場が混乱しやすいのが「耐用年数を何年にするか」です。スマホは耐用年数表にズバリ“スマホ”と書かれていないため、どれに当てはめるかで見解が割れやすいからです。
実務的には、スマホを「電子計算機(携帯用パソコン)」と捉えて4年で処理する考え方、または「電話設備その他の通信機器」に近い資産として扱う考え方が解説記事で示されています。重要なのは、社内で採用する整理を一度決めたら、同種の携帯機器でブレないことです(継続性が崩れると、税務以前に社内監査・上司レビューで止まりやすい)。
建築会社の運用で特に効くのは、「携帯機器台帳」を簡易でも作ることです。高額端末(10万円以上)を工具器具備品にするなら、少なくとも以下を記録しておくと、経理・現場どちらも後が楽になります。
・購入日(検収日)
・取得価額(税抜/税込の扱いを社内で統一)
・利用者(現場名や社員名)
・用途(例:現場写真、図面閲覧、連絡、測量アプリ)
・償却方法(定額法が基本になりやすい)
・廃棄/売却/下取りの扱い(入替時に重要)
「下取り」が絡むと、さらに実務が難しくなります。現場が機種変更するとき、キャリアや量販店で下取り値引きが入って、支払額だけを見ると安く見えるケースがあります。この場合、証憑(請求書・領収書)上で、値引きや下取りがどう表示されているかを見て、取得価額を適切に確定する必要があります。上司チェックの観点では、「なぜこの金額で工具器具備品に載せたのか」を説明できる材料(明細)が残っていれば、指摘が激減します。
また、現場で“意外に見落とされがち”なのが、携帯機器の修理費です。落下で画面が割れた、バッテリーが膨らんだ、などは普通に起きます。修理代は「修繕費」で処理することが多い一方、「通信費」や「消耗品費」で処理することもある、という幅をもった説明がされています。ここも社内で科目を固定しておくと、月次のブレが減って工程が安定します。
(参考:10万円以上は工具器具備品として減価償却、スマホの耐用年数の考え方例、修理代の勘定科目の幅)
10万円以上の端末の扱い(工具器具備品・減価償却、耐用年数の考え方):
https://biz.moneyforward.com/accounting/basic/58444/
10万円以上のスマホは原則減価償却、耐用年数の当てはめ例、修理代の科目例:
https://www.yayoi-kk.co.jp/shinkoku/oyakudachi/keitaidai/
携帯機器の「本体」と並んで毎月発生するのが通信費です。基本料金・通話料金・データ通信料は、会計上は「通信費」で処理するのが一般的な整理として示されています。建築の現場では、工程会議の連絡、緊急呼び出し、写真共有、クラウド図面、電子黒板、施工管理アプリなど、通信が止まると仕事が止まるので、通信費の計上漏れは地味に損失になります。
通信費の運用で効くのは、「摘要の書き方」をテンプレ化することです。たとえば「スマホ通信費 2025年12月分」「現場A 回線費 12月分」のように、月と対象が分かる形式に揃えると、あとから“どの現場の原価か/販管費か”の議論がしやすくなります。
次に重要なのが、プライベート兼用(個人事業主や小規模法人でありがち)での扱いです。仕事と私用が混ざる場合、家事按分(按分比率を決めて事業分だけ経費)という考え方が解説されています。建築従事者は勤務時間外でも現場から連絡が来ることがあり、按分比率を機械的に“勤務時間だけ”で決めると実態とズレやすいので、合理的な根拠を作るのがコツです。
根拠の作り方は、難しい統計を取る必要はありません。例えば以下のような「説明できる材料」を残すだけで、上司レビューと税務リスクの両方が下がります。
・稼働日数ベース(現場稼働日/月の日数)
・稼働時間ベース(業務時間/1日の使用時間)
・用途ベース(業務アプリ利用、業務通話の概算割合)
・仕事専用端末を別途用意(最も強い)
そして、建築業ならではの盲点が「現場のWi-Fiやルータ等」です。ポケットWi-Fiや現場用回線を契約している場合、月額は通信費に寄せやすい一方、機器代(ルータ本体など)が発生すると本体と同じ論点(消耗品費か工具器具備品か)が発生します。携帯機器だけを見ず、「通信費+機器取得」のセットで設計しておくと、月次の経理が崩れません。
(参考:通信料は通信費、個人事業主は家事按分、摘要に月分を残すなど)
通信料は通信費、家事按分、摘要の記載など:
https://biz.moneyforward.com/accounting/basic/58444/
家事按分の考え方、通信費の仕訳例、按分比率の例:
https://www.yayoi-kk.co.jp/shinkoku/oyakudachi/keitaidai/
携帯機器を資産計上した場合、減価償却は避けて通れません。減価償却の本質は「高額な道具のコストを使用期間に配分して、各期の費用にする」ことです。建築業は案件(現場)ごとの採算管理が命なので、携帯機器を一括で落とすか、数年で配分するかで、現場利益の見え方が変わる点も押さえておきたいポイントです。
減価償却の判断で現場が混乱しやすいのが、10万円以上30万円未満のゾーンです。この価格帯は、通常の減価償却に加えて、
・10万円以上20万円未満:一括償却資産(3年均等)
・30万円未満:少額減価償却資産の特例(要件を満たせば当期費用)
といった“選択肢が複数”あるため、会社の方針がないと毎回迷います。特に少額減価償却資産の特例は、年間合計300万円までという枠が紹介されており、年度の後半にまとめ買いすると上限に近づくことがあります。
建築会社でよくある実務の落とし穴は「端末購入が集中するタイミング」です。たとえば年度末に、現場の増員・新規受注・iPad(図面閲覧)配備で一気に台数が増えます。このとき、少額減価償却資産の特例を無計画に使うと、途中で枠(300万円)を超えてしまい、後半の端末だけ通常の減価償却に回る、という“処理の混在”が起きがちです。混在自体が悪いわけではありませんが、台帳で管理していないと、翌年の償却漏れが起きやすいので注意が必要です。
上司チェックに強い運用は、「当社は携帯機器を原則4年」「ただし10万円未満は消耗品費」「10万~20万は一括償却資産を優先」「30万円未満の特例は年度の残枠を見て判断」のように、意思決定の順番を文書化してしまうことです。税理士に確認して社内ルール化しておけば、担当者が変わってもブレません。
さらに“意外な論点”として、端末本体より先に入れ替わるのがバッテリーとOSサポートです。会計上は耐用年数で費用配分しますが、実態として2~3年で買い替えが発生する現場もあります。ここで重要なのは、会計の耐用年数と、現場の更新サイクル(情報セキュリティ・業務アプリ要件)を擦り合わせておくことです。更新が早い会社ほど、少額減価償却資産の特例や一括償却資産をどう使うかが、実務負荷と損益の両方に効きます。
(参考:10万円以上は減価償却、10万~20万は一括償却資産、30万円未満は少額減価償却資産の特例、年間300万円枠)
携帯機器の減価償却・特例の整理(10万円/20万円/30万円の分岐):
https://www.yayoi-kk.co.jp/shinkoku/oyakudachi/keitaidai/
10万円未満は消耗品費、10万円以上は工具器具備品・減価償却の基本:
https://biz.moneyforward.com/accounting/basic/58444/
(検索上位に多い一般論に加えて、建築従事者の運用に寄せた独自視点)
家事按分は「何割を事業、何割をプライベート」と分ける処理ですが、建築従事者にとっては“按分比率の数字”よりも“説明できる運用”が重要です。なぜなら、現場は日々状況が変わり、連絡も突発的で、固定の比率が実態とズレやすいからです。按分比率の根拠が弱いと、税務署対応以前に、上司のチェックで「その50%はどう決めた?」で止まります。
一般的な考え方として、個人事業主などでプライベート兼用の場合は家事按分を行い、稼働時間や稼働日数などを基準に比率を作る例が示されています。この枠組み自体はそのまま使えますが、建築の現場に合わせて“根拠の残し方”を工夫すると強くなります。
おすすめは、携帯機器を「連絡(通話)」「通信(データ)」「端末本体」の3つに分解して、根拠も分けることです。たとえば、
・通話:業務通話の発信履歴(取引先・協力会社の件数)
・データ:業務アプリの利用(施工管理、図面、チャット)を“使っている事実”として説明
・端末本体:仕事専用アプリを必須化し、私用アプリを極力入れない(社内ルール)
こうしておくと、「按分比率は目安だが、業務利用が中心」という説明がしやすくなります。
また、現場で“思わぬ盲点”になるのが家族共有です。家族が同じ端末を触れる状態だと、業務用と私用の境界が崩れて按分根拠が弱くなるため、できれば業務専用端末を分けるのが最強です。記事でも、仕事専用スマホを別にすれば全額を経費にしやすい、という整理が示されています。
家事按分での仕訳ミスを減らすための実務テクニックとして、摘要に“比率”を必ず書く運用を推します。例。
・「スマホ通信費 12月分(事業用途:60%)」
・「スマホ本体(事業用途:50%)」
摘要に比率を残すだけで、翌月以降に同じ処理を再現でき、引継ぎも楽になります。さらに、領収書を失くした場合の代替(カード明細や通帳コピー等)をどう扱うかも解説されているため、現場には「紛失時は明細+メモを残す」ルールを置くと事故が減ります。
最後に、建築従事者向けの“意外に効く”ルールを一つ。端末の購入や通信契約を、現場単位ではなく「会社(または部門)で一括管理」すると、按分の悩み自体が小さくなります。携帯機器が原価か販管費かという議論は残りますが、少なくとも「私用が混ざる」問題から距離が取れ、監査的にも強い運用になります。
(参考:家事按分の考え方、按分比率例、仕事専用なら全額経費、領収書紛失時の代替書類)
家事按分(稼働時間・日数の例、摘要への記載、専用端末なら全額):
https://www.yayoi-kk.co.jp/shinkoku/oyakudachi/keitaidai/
家事按分で一部を経費化、通信費の扱いなど:
https://biz.moneyforward.com/accounting/basic/58444/