
コフレルスリムは、LIXILが展開するトイレ用手洗キャビネットシリーズで、狭小空間に対応した3つの基本サイズを展開しています。
1500サイズの基本寸法
1200サイズの基本寸法
300サイズ(壁付のみ)
これらの寸法は、0.4坪からの狭いトイレ空間に対応できるよう設計されており、建築現場では設置場所の事前測定が必須となります。特に、埋込タイプでは壁内の懐寸法として53mmの埋込部が必要な点に注意が必要です。
価格帯は94,000円から212,000円と幅広く設定されており、仕様やオプションによって大きく変動します。建築プロジェクトの予算計画時には、工事費が別途必要な点も考慮する必要があります。
埋込タイプは壁面に一体化した設置が可能で、すっきりとした外観を実現できる設計となっています。
埋込タイプの詳細寸法(1500サイズ)
埋込タイプの詳細寸法(1200サイズ)
埋込タイプでは、手すりカウンタータイプの場合に高さが1,332mmとなり、標準的なカウンターキャビネットタイプでは970mmとなります。この高さの違いは、手すり機能の有無によるもので、バリアフリー対応が必要な現場では手すりカウンタータイプの選択が重要です。
給排水接続については、埋込タイプでは床給水・床排水仕様のみの対応となっており、壁給水や壁排水仕様は用意されていません。これは施工計画時に特に重要な制約事項です。
建築現場での施工時には、壁内構造の確認と補強が必要な場合があります。特に軽量鉄骨造や木造住宅では、キャビネットの重量(約30-40kg程度)を支える構造的配慮が求められます。
壁付タイプは、既存壁面に直接取り付けるタイプで、リフォーム工事での採用が多い仕様です。
壁付タイプの詳細寸法(1500サイズ)
壁付タイプの詳細寸法(1200サイズ)
壁付タイプの詳細寸法(300サイズ)
壁付タイプの大きな特徴は、給排水仕様の選択肢が豊富な点です。床給水・床排水(品番末尾B)、壁給水・床排水(品番末尾A)、壁給水・壁排水(品番末尾C)の3パターンが用意されており、既存配管の位置に合わせた選択が可能です。
施工上の注意点として、壁付タイプでは壁面の平滑度が重要です。凹凸のある壁面では取り付け金具の調整が困難になる場合があります。また、手すりカウンタータイプでは手すり部の寸法が632×φ30mmとなっており、取り付け高さの調整範囲も考慮する必要があります。
300サイズは壁付タイプのみの展開で、極小スペースへの設置に特化した仕様となっています。このサイズでは収納容量が限定的になるため、別途収納の確保が必要な場合が多くなります。
コフレルスリムには、基本的なキャビネットタイプに加えて、機能性を高めた複数のバリエーションが用意されています。
手すりカウンターキャビネットタイプ
カウンターキャビネットタイプ
カラクリキャビネットタイプ
水栓タイプによる寸法への影響も重要な要素です。温水自動水栓(ほのかライト付)では、センサー部分で約15mm程度の突出があり、狭小空間では動線への影響を考慮する必要があります。
カラーバリエーションは寸法に影響しませんが、扉の材質(ウレタン化粧紙、PETシート、オレフィンシート、メラミン板)により若干の厚みの違いがあります。これらの違いは実用上は無視できる範囲ですが、精密な施工を要求される現場では事前確認が推奨されます。
注文サイズ対応も可能で、カウンター長さについては50mm単位での調整が可能です。この機能により、既存スペースへの最適化した設置が実現できます。
コフレルスリムの施工において、寸法関連で特に注意すべきポイントを実務的な観点から解説します。
給排水位置の精密な寸法管理
給水位置は床面から220mm、排水位置は床面から180mmが標準設定となっています。しかし、現場の床仕上げ材の厚みや既存配管の位置により、この寸法は±20mm程度の調整が必要になる場合があります。特に、床暖房設備がある現場では、配管経路の制約により標準寸法での施工が困難な場合があります。
電気配線との寸法調整
自動水栓タイプでは、AC100V電源の確保が必要です。コンセント位置は、キャビネット背面から100mm以内の範囲に設置する必要があり、この寸法管理が不適切だと配線の露出や延長コードの使用が必要になります。
建築現場では、電気工事との連携が重要で、コンセント位置を事前に確定しておく必要があります。特に、埋込タイプでは壁内配線の経路確保も重要な寸法管理要素となります。
構造材との取り合い寸法
木造住宅では、間柱や筋交いとの取り合いに注意が必要です。標準的な間柱間隔は455mmまたは910mmですが、コフレルスリムの1200サイズ(1,200mm)は標準間柱スパンを超えるため、構造補強や間柱の移設が必要になる場合があります。
また、埋込タイプでは壁厚が最低150mm必要で、一般的な木造住宅の外壁(105mm)では設置不可能です。この点は設計段階での確認が必須となります。
メンテナンス時の寸法考慮
コフレルスリムのメンテナンスでは、前面からのアクセスが基本となります。そのため、設置時には前面に最低600mmの作業スペースを確保する必要があります。狭小トイレでは、この作業スペースの確保が困難な場合があり、設置位置の調整が必要になります。
排水トラップの清掃や水栓金具の交換時には、キャビネット下部へのアクセスも必要です。床面からキャビネット底面までの寸法は約100mmとなっており、この空間でのメンテナンス作業を考慮した設置が重要です。
温度変化による寸法変動
コフレルスリムの扉材は木質材料を使用しており、季節による温湿度変化で約2-3mm程度の寸法変動があります。この変動を考慮して、設置時には扉と周辺部材との間に適切なクリアランス(約5mm)を確保する必要があります。
特に、床暖房設備がある場合や、窓際設置では温度変化が大きくなるため、この寸法管理がより重要になります。設置後の調整機能(蝶番の3次元調整機能)により対応可能ですが、初期設置時の寸法管理が適切であることが前提となります。
これらの寸法管理要点を適切に把握することで、コフレルスリムの施工品質向上と後々のトラブル回避が実現できます。建築現場では、これらの要点を施工図面に反映し、関連工事業者との情報共有を徹底することが重要です。