枕棚寸法一覧 クローゼット収納完全ガイド

枕棚寸法一覧

枕棚標準寸法規格と種類

枕棚の寸法規格は、住宅業界において長年培われた標準化により、効率的な収納空間の実現を可能にしています。基本となる寸法体系は奥行と間口の組み合わせで構成され、用途や設置場所に応じて最適な選択が可能です。

 

基本寸法体系

• 奥行寸法：400mm・600mmの2タイプ
• 間口寸法：0.5間（約910mm）～4.5間（約4050mm）
• 高さ：65mm（標準的な枕棚厚み）

奥行400mmタイプは一般的なクローゼットや押し入れの上部収納に適しており、軽量な季節用品や寝具類の収納に最適です。一方、奥行600mmタイプは大型のスーツケースや布団などのかさばる物品の収納に対応できる深い設計となっています。

 

間口寸法については、尺モジュール（910mm基準）とメーターモジュール（1000mm基準）の両方に対応した製品展開がなされており、既存の建物構造に合わせた柔軟な選択が可能です。特に0.5間タイプは対応寸法～780mmで設計されており、狭小住宅でも効率的な収納空間を確保できます。

 

材質と仕上げ

• シナ材ベース（南海プライウッド製）
• シェルホワイト仕上げ
• プレシャスホワイト・クリエペール（LIXIL製）

これらの仕上げバリエーションにより、室内インテリアとの調和を図りながら、機能性を重視した設計が実現されています。

 

枕棚耐荷重別寸法選択ガイド

枕棚の選択において、耐荷重は寸法と同じく重要な検討要素です。用途に応じた適切な耐荷重仕様の選択により、安全性と機能性を両立した収納空間の構築が可能となります。

 

耐荷重別仕様一覧

用途分類	耐荷重	推奨収納物	寸法制約
一般収納用	70kg	衣類・小物・軽量品	全サイズ対応
重量物対応	200kg	布団・書類・重量品	中段専用
ハンガー併用	40kg	吊り下げ衣類	パイプ設置時
L字納まり	70kg（合計）	コーナー設置時	複数枚使用時

一般的な枕棚単体での耐荷重は70kgに設定されており、これは均等荷重を前提とした数値です。この仕様により、一般家庭で使用される衣類や季節用品、軽量な収納ボックスなどを安全に保管できます。

 

中段セットとして使用する場合、耐荷重は200kgまで対応可能となり、重量のある布団や書類、工具類などの収納にも対応できます。この高耐荷重仕様は、特に業務用途や大容量収納が必要な場面で威力を発揮します。

 

ハンガーパイプ併用時の注意点
ハンガーパイプを設置する場合、枕棚の耐荷重は40kgに制限されます。これは、ハンガーパイプからの荷重が枕棚に伝達されるためで、設計時には十分な配慮が必要です。また、ハンガーパイプ自体の耐荷重は30kgとなっており、収納する衣類の重量管理が重要となります。

 

L字型に複数の枕棚を設置する場合、全体の耐荷重は70kgまでとなる制約があります。これは構造的な安全性を確保するための設計指針であり、施工時には荷重分散に配慮した設置が求められます。

 

枕棚モジュール別設置寸法

日本の住宅建築では、尺モジュールとメーターモジュールという2つの基本寸法体系が併存しており、枕棚の選択においてもこの違いを理解することが重要です。各モジュールに対応した製品展開により、現場での無駄なカット作業を削減し、施工効率の向上が図られています。

 

尺モジュール対応寸法

• 3尺：450×897mm
• 4.5尺：450×1350mm
• 6尺：450×1800mm
• 9尺：450×2700mm

尺モジュールは日本の伝統的な建築寸法体系で、1尺＝303mmを基準としています。この体系に基づく枕棚は、多くの既存住宅に適合する汎用性の高い仕様となっています。特に築年数の古い住宅や和風建築において、尺モジュール対応の枕棚が重宝されています。

 

メーターモジュール対応寸法

• 1M：450×945mm
• 1.5M：450×1445mm
• 2M：450×1945mm
• 3M：450×2945mm

メーターモジュールは1000mmを基準とした寸法体系で、現代の住宅建築で主流となりつつあります。このモジュールによる枕棚は、より広い収納空間を確保でき、大型化する現代の生活用品に対応しやすい特徴があります。

 

正寸仕様の利点
永大産業から提供される正寸仕様の枕棚は、尺モジュールの開口部にカットなしできれいに納まるよう設計されています。この仕様により以下のメリットが実現されます。

• 現場でのカット作業が不要
• 端材の発生を最小限に抑制
• 施工時間の大幅短縮
• 仕上がり精度の向上

施工現場での作業効率向上は、コスト削減に直結するため、建設業界では特に注目されている技術革新の一つです。

 

枕棚メーカー別寸法比較表

枕棚市場における主要メーカーの製品仕様を比較することで、用途や予算に応じた最適な選択が可能となります。各メーカーの特色と寸法体系を理解することは、不動産業界においても重要な知識です。

 

LIXIL製品の特徴
LIXILの枕棚シリーズは豊富なサイズバリエーションと選べるカラーが特徴です。幅の設定はW09からW27まで対応し、尺モジュール・メーターモジュール両方に対応した製品展開を行っています。

 

幅規格	尺モジュール	メーターモジュール	用途
W09	○	○	小型クローゼット
W10	-	○	標準クローゼット
W13	○	-	中型収納
W15	○	○	大型収納
W18	○	-	業務用途
W20	○	○	大容量収納
W27	○	○	超大型収納

南海プライウッド製品の特徴
南海プライウッドの枕棚セットは、CシリーズとVシリーズの2ラインで展開されています。両シリーズとも寸法精度の高さと施工性の良さで定評があり、プロの施工業者から高い評価を得ています。

 

Vシリーズではシナ/シェルホワイト仕上げを採用し、高級感のある仕上がりを実現しています。また、框キャップの左右セットが標準で付属するなど、細部への配慮が施されています。

 

永大産業（EIDAI）製品の特徴
永大産業の枕棚は正寸仕様による高い施工性が最大の特徴です。間口0.5間タイプで対応寸法～780mmという設計により、狭小住宅でも効率的な収納空間を実現できます。

 

ハンガー収納17枚対応という具体的な収納能力の表示により、設計段階での収納計画が立てやすい配慮がなされています。また、エンドキャップセットが標準付属するなど、美観にも配慮した製品設計となっています。

 

各メーカーの製品は基本的な寸法規格は共通していますが、細部の仕様や付属品、カラーバリエーション等に違いがあるため、プロジェクトの要求仕様に応じた選択が重要です。

 

枕棚設置時の施工上の注意点

枕棚の設置において、寸法通りの性能を発揮するためには、適切な施工手順と注意事項の遵守が不可欠です。特に耐荷重性能は施工品質に大きく左右されるため、専門的な知識に基づいた施工が求められます。

 

施工前の寸法確認
設置前の現場計測は、枕棚の性能を最大限に活用するための重要なプロセスです。計測時には以下の点に注意が必要です。

• 内間口寸法の正確な測定（推奨：マイナス5mm）
• 奥行寸法の制約確認（仕上がり奥行-27mm）
• 水平度の確認（レベル器使用推奨）
• 構造体の強度確認

南海プライウッドの施工マニュアルによると、棚板のカット目安寸法は押入内間口寸法よりマイナス5mmとされています。この寸法調整により、設置時のスムーズな納まりと、温度変化による膨張・収縮への対応が可能となります。

 

パイプカット時の制約
ハンガーパイプを併用する場合、パイプ長さは間口-90mm以下にする必要があります。この制約は、パイプの両端に必要な固定金具の取り付けスペースを確保するためです。適切な長さに調整されていない場合、パイプの安定性に問題が生じる可能性があります。

 

均等荷重の原則
枕棚の耐荷重70kgは均等荷重を前提とした数値です。実際の使用においては、以下の配慮が必要です。

• 重量物の集中配置を避ける
• 収納物の重心位置に注意する
• 定期的な荷重バランスの確認
• 長期使用時の変形チェック

特に業務用途で書類や工具類を収納する場合、局所的な荷重集中により構造的な問題が発生する可能性があるため、収納計画の段階から荷重分散を考慮した設計が重要です。

 

メンテナンス性の確保
設置後のメンテナンス性を考慮した施工も重要な要素です。ビスキャップセットの適切な取り付けにより、美観の維持と同時に、将来的な調整作業の容易性を確保できます。

 

また、可動式の収納ワゴンとの組み合わせ使用時には、キャスターの動線確保と床面の保護にも配慮が必要です。天馬製の伸縮ラックなど、後付け可能な収納アイテムとの相性も設計段階で検討すべき事項です。

 

これらの施工上の注意点を遵守することで、枕棚本来の性能を長期間にわたって維持し、ユーザーの満足度向上につなげることができます。不動産業界においては、こうした技術的な配慮が物件の付加価値向上に直結するため、専門知識の習得と実践が重要な競争力となります。