
竹の末口(すえくち)と元口(もとくち)は、節の外観を観察することで簡単に見分けられます。節の下部分が白っぽい線のように見える方が元口、つまり根元に近い部分です。一方、節の上部には薄い筋が見られ、この筋がある方が末口(先端側)となります。孟宗竹の場合は特に節の特徴が分かりやすく、節の出っ張り部分と幹部分の接続形状に明確な違いがあります。節の上部は凸と出っ張っているのに対し、下部は出っ張りがなくスムーズなカーブで幹部に擦りついています。
参考)竹の元口末口の見分け方ってなんですか? - 竹の節の外観で、…
節から上に凹んでいる部分は、ササの葉(枝)が生えていた跡になるため、凹んでいる方が先の方(末口)で節から下の方が根元の方(元口)です。造園業界ではこの知識は当たり前とされており、元口が根元の方、末口が先の方を指す専門用語として使われています。真竹は節が2本筋になっているのに対し、孟宗竹は節が1筋という違いもあります。
参考)日本庭園の魅力 - Tesshanの日記
指で節に触れて滑らせることで、末口と元口を確実に判別できます。指を節に当てて滑らせた時、スーッと進めば根元の方(元口)から先の方(末口)へ指を滑らせたことになります。逆に先の方(末口)から根元の方(元口)に指を滑らせると引っかかりを感じます。この方法は視覚での判断が難しい場合でも有効で、まさに一触瞭然の判別方法です。
参考)木元竹末(きもとたけうら) href="https://motosanhomepage.com/2019/01/15/%E6%9C%A8%E5%85%83%E7%AB%B9%E6%9C%AB%EF%BC%88%E3%81%8D%E3%82%82%E3%81%A8%E3%81%9F%E3%81%91%E3%81%86%E3%82%89%EF%BC%89/" target="_blank">https://motosanhomepage.com/2019/01/15/%E6%9C%A8%E5%85%83%E7%AB%B9%E6%9C%AB%EF%BC%88%E3%81%8D%E3%82%82%E3%81%A8%E3%81%9F%E3%81%91%E3%81%86%E3%82%89%EF%BC%89/amp;#8211; 流域環境防災研究…
節の出っ張り部分を指で上下に触ってみると、引っかかりがある方が上(末口側)になります。枝払いをした後の竹でも、この触感による判別方法は非常に実用的です。造園の現場や建築の現場では、大量の竹を扱う際にこの触感による識別テクニックが作業効率を大きく向上させます。
竹垣の施工では、末口と元口の配置が仕上がりの美しさに直接影響します。四つ目垣を作る際、胴縁と呼ばれる横に設置する3本の竹は、正面から見て左端の上から切り口が末口、元口、末口の順番で交互に設置するのが基本です。この配置により、竹の太さの違いによる不均一さを視覚的に調整し、バランスの取れた美観を実現できます。
参考)http://tamamoku.com/knowledge-02c.html
元口と末口では樹の太さが異なり、元口の方が太くなっています。そのため、建築材料として竹を使用する際は、この太さの違いを考慮した設計と施工が必要です。茶室や庭園資材などの伝統的な日本建築では、竹の元口と末口の特性を活かした繊細な施工技術が受け継がれています。
参考)竹とタケ何が違うか知っていますか!?実は、、、
「木元竹末(きもとたけうら)」という古くからの言い伝えは、竹を割る際の重要な知識です。木材は元口側から割ると簡単に割れますが、竹は末口側から割った方が割れやすいという特性があります。竹をナタで割る際、先端から割れば割れ目がきれいで、ささくれが出にくくなります。
参考)【薪割りの呪文? 木元竹末(きもとたけうら)】薪ストーブのあ…
この知識は建築事業者にとって作業効率に直結する実用的なテクニックです。竹を割る際の方向を間違えると、余計な力が必要になるだけでなく、材料を損傷させるリスクも高まります。薪割りや竹細工の現場では、この「木元竹末」の原則が長年の経験として受け継がれてきました。
竹稈の木部には糖類やデンプンが多く含まれているため、そのままではカビや害虫によるダメージを受けやすい特性があります。建築材料として竹を使用する場合、適切な防虫防腐処理が耐久性向上の鍵となります。伝統的な方法として、伐採した竹を速やかに水に漬け(流水または水を時々かえながら)、カビが付かないように注意して1ヶ月程度漬けた後、十分乾燥させる処理があります。
参考)竹材の防虫技術ー竹の耐久性をあげる− href="https://jifpro.or.jp/chiepro/%E7%AB%B9%E6%9D%90%E3%81%AE%E9%98%B2%E8%99%AB%E6%8A%80%E8%A1%93%E3%83%BC%E7%AB%B9%E3%81%AE%E8%80%90%E4%B9%85%E6%80%A7%E3%82%92%E3%81%82%E3%81%92%E3%82%8B%EF%BC%8D/" target="_blank">https://jifpro.or.jp/chiepro/%E7%AB%B9%E6%9D%90%E3%81%AE%E9%98%B2%E8%99%AB%E6%8A%80%E8%A1%93%E3%83%BC%E7%AB%B9%E3%81%AE%E8%80%90%E4%B9%85%E6%80%A7%E3%82%92%E3%81%82%E3%81%92%E3%82%8B%EF%BC%8D/amp;#8211; Chi…
この水浸漬処理により糖質を洗い出し、虫が付かないようにすることができます。安全性の高い無機薬剤としてホウ酸塩溶液に漬ける方法もよく使われており、建築現場での実用性が高い処理法です。化学的処理法としては木材の防腐防虫用薬剤も竹に利用されますが、環境に配慮した処理方法の選択が重要です。竹は成長が非常に速く、3年で建築材料として使用可能になるため、適切な処理を施すことで持続可能な建築素材として高い価値を持ちます。
参考)隈研吾の建築から見る、自然素材「竹」の魅力|jimosumu…
竹材の防虫技術と耐久性向上に関する詳細情報 - ChiePro
竹の節の構造は、建築材料としての強度にも重要な役割を果たしています。節があることで竹は曲げに対する断面偏平化や局部座屈を合理的に補っており、中空円筒としての欠点を克服しています。地面に近い元の部分ほど節が多く節間は短くなり、先に行くにしたがって節間は長くなっているのは、構造力学的に優れた自然の設計です。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscejam/72/2/72_I_25/_pdf
竹は表皮付近に繊維が集中しており、表皮に近い繊維が密集した部分では鉄の引張り強度に匹敵する性能を持ちます。重量は鉄の約10分の1、アルミの約3分の1であるため、単位重量あたりの強度を比較すると鉄の約5倍から10倍にもなる優れた建築材料です。この軽量で高強度という特性は、現代建築においても注目されています。
参考)世界で注目される竹建築特集、竹のもつ特性とそれを活かしたサス…
竹の空洞構造と節の存在により、軽くしなりを保ちながら強度と粘りが備わります。建築家の隈研吾氏は、竹を装飾ではなく建築を支える構造材として使用する取り組みを行っており、直径15センチ前後の竹の節を取り除き、中にL字断面の鉄骨を2本入れてコンクリートを流し込んだCFB(concrete filled bamboo)を柱に使った建築を実現しています。竹は成長が速いため空気中の二酸化炭素を体内に固定する力が強く、建築材料として使えば炭素を固定化できるため、地球温暖化の抑制に寄与できる環境配慮型の素材としても評価されています。
参考)【竹の性質と加工について】創業明治27年老舗竹屋が解説
隈研吾の竹建築事例と自然素材の魅力 - note
竹建築では、柱と梁の技法、双曲放物面、双曲塔、空間グリッドシェルという4つの構造システムが一般的に用いられています。太くて大きな竹は耐荷重性に優れているため建築によく使われ、直径の小さい竹を束ねて弾力性のある建築部材を作ることもできます。東アジアや東南アジアでは住宅やコミュニティーの建物の建築材料として広く利用されており、その多用途性と持続可能性が評価されています。
参考)竹の建築能力を示す10の建造物