パンチングメタル規格材質サイズ基準完全ガイド

パンチングメタル規格材質サイズ基準完全ガイド

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パンチングメタル規格基準

パンチングメタル規格の基本要素
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材質別定尺サイズ

鉄製は914×1829mm、ステンレス・アルミは1000×2000mmが標準

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穴径・ピッチ配列

60°千鳥配列が一般的、開孔率は22.6〜57.9%

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規格統一の現状

JIS規格なし、各メーカー独自規格による製造

パンチングメタル規格の材質分類と特徴

パンチングメタルの材質は主に鉄(スチール)、ステンレス、アルミの3種類が建築業界で広く使用されています。
鉄系材質の規格特徴

  • SPCC(冷間圧延鋼板:最も一般的で経済的
  • SPHC-P(酸洗熱間圧延鋼板):錆除去処理済み
  • SPHC(熱間圧延鋼板):厚肉対応可能

鉄系パンチングメタルの定尺サイズは914mm×1829mm(サブロク板)が標準で、一部1219mm×2438mm(シハチ板)も製造されています。板厚は0.5mm〜6.0mmまでの幅広いラインナップがあり、特に建築用途では1.6mm〜3.2mmが多用されています。
ステンレス系材質(SUS304)の特性
ステンレス製パンチングメタルは1000mm×2000mmが定尺サイズとなり、BA肌仕上げが標準です。耐食性に優れ、衛生管理が重要な食品工場や医療施設での使用に適しています。板厚は0.3mm〜3.0mmまで対応可能で、特に0.5mm〜1.5mmの薄板が外装装飾用として人気です。
アルミ系材質(A5052等)の用途
軽量性と加工性を重視する用途に選択されるアルミ製は、ステンレスと同様1000mm×2000mmの定尺サイズです。自動車部品や建築外装材として使用され、アルマイト処理による表面処理オプションも豊富です。

パンチングメタル規格における穴径・ピッチ配列基準

パンチングメタルの規格において最も重要な要素が穴径とピッチの関係性です。各材質で標準化された組み合わせが存在します。
鉄系材質の標準規格一覧

穴径(mm) ピッチ(mm) 開口率(%) 主要板厚(mm)
2.0 3.5 29.6 0.5〜2.3
3.0 5.0 32.6 0.5〜6.0
5.0 8.0 35.4 0.5〜6.0
8.0 12.0 40.2 0.5〜4.5

ステンレス系材質の精密規格
ステンレス製では、より精密な穴径設定が可能で、最小0.5mm径から対応しています。特に建築外装用途では以下の組み合わせが多用されます:

  • φ3.0×5.0Pピッチ(開口率32.6%):外壁ルーバー用
  • φ5.0×8.0Pピッチ(開口率35.4%):防音パネル用
  • φ8.0×12.0Pピッチ(開口率40.2%):日除けスクリーン用

配列パターンの標準化
最も一般的な配列は「60°千鳥配列」で、正三角形の頂点に沿って穴を配置する方式です。この配列により強度と開口率のバランスを最適化できます。他にも「45°千鳥配列」(直角二等辺三角形ベース)や「並列配列」(格子状)があります。
開口率による用途分類

  • 22.6〜29.6%:構造用途(強度重視)
  • 32.6〜40.2%:一般建築用途(バランス型)
  • 46.2〜57.9%:装飾・採光用途(開放性重視)

パンチングメタル規格のサイズ基準と定尺システム

パンチングメタルのサイズ基準は、各素材のJIS定尺規格に準拠したシステムで運用されています。
材質別定尺サイズの詳細
鉄系材質では914mm×1829mmが最も流通量の多い定尺サイズで、これは米国規格(36インチ×72インチ)に由来します。一方、ステンレスとアルミは1000mm×2000mmのメートル法ベースの定尺が標準となっており、これは欧州規格との整合性を図ったものです。
板厚規格の標準化状況
各材質において、以下の板厚が標準ラインナップとして確立されています。

  • 鉄系:0.5、0.6、0.8、1.0、1.2、1.6、2.3、3.2、4.5、6.0mm
  • ステンレス:0.3、0.4、0.5、0.6、0.8、1.0、1.2、1.5、2.0、3.0mm
  • アルミ:0.5、0.8、1.0、1.2、1.5、2.0、3.0mm

カスタムサイズ対応の現実
定尺品からの寸法カットは可能ですが、切断面に穴部分がかかる場合はエッジの残留により安全性が損なわれるリスクがあります。そのため、切断予定部分に余白を設ける設計配慮が重要です。特注サイズの製造も可能ですが、最小ロット数(通常10枚以上)や製造リードタイム(2〜4週間)を考慮した計画が必要です。

パンチングメタル規格選定における設計基準

建築用途におけるパンチングメタル規格選定では、構造強度、意匠性、施工性の3要素を総合的に評価する必要があります。

 

構造計算による強度確保
穴径とピッチの関係は材料の残存断面積を左右し、建築構造用途では開口率30%以下の規格選択が安全設計の基準となります。特に外装パネルとして使用する場合は、風圧荷重計算において有効断面積を正確に算定する必要があります。
意匠性と機能性のバランス
視覚的な軽やかさを演出する場合は開口率40%以上の規格が適していますが、プライバシー保護や防犯性を重視する場合は開口率25%前後の密配列が推奨されます。また、音響特性を考慮する場合は、穴径3mm以下で千鳥配列の規格が吸音効果を最大化できます。
経済性を考慮した規格選択
標準規格品(定尺サイズ・標準穴径)の使用により、材料コストを30〜40%削減可能です。カスタム規格は初期コストが高くなりますが、大量使用の場合は専用金型製作による単価削減効果があります。
施工における実用的配慮
取り付け金具との接合部設計では、穴位置と固定点の干渉を避けるため、端部から最低30mm以上の余白確保が建築施工の基本ルールです。また、熱膨張を考慮した伸縮代として、長手方向に10mm程度の余裕を設ける設計が推奨されます。

パンチングメタル規格の品質管理と検査基準

パンチングメタル製品の品質管理は、JIS統一規格が存在しないため、各メーカー独自の品質基準に依存しているのが現状です。
寸法精度の管理基準
穴径の公差は通常±0.1mm以内、ピッチ精度は±0.2mm以内が業界標準となっています。ただし、板厚0.5mm以下の薄板では加工時の変形により、これらの精度を確保することが困難な場合があります。高精度が要求される用途では、レーザー加工による特注製造を検討する必要があります。

 

表面処理と耐久性評価
鉄系材質では錆対策として、亜鉛めっき処理(溶融亜鉛めっき、電気亜鉛めっき)や塗装処理が標準オプションです。ステンレス製は基本的に無処理で使用可能ですが、海岸地域では316L材質の選択や追加の表面処理が推奨されます。
安全性検査の重要項目
エッジ部の仕上がり状態、バリの有無、穴周辺のクラック発生などは、使用者の安全に直結する重要な検査項目です。特に手の触れる可能性がある部位では、エッジ処理(面取り、バフ研磨)の実施が必須となります。
納期管理と在庫システム
標準規格品は通常1〜3営業日での出荷が可能ですが、特注品は設計確認、金型製作、試作確認を経て2〜6週間の製造期間を要します。大型プロジェクトでは事前発注による工程管理が重要で、特に意匠性を重視する建築用途では、事前サンプル確認による品質承認プロセスを組み込むことが推奨されます。

 

定期的な品質監査により、寸法精度、表面品質、安全性の3要素を継続的にチェックし、建築基準法に適合した高品質な製品供給を維持することが、パンチングメタル規格における品質管理の核心となります。