
パネルサイズには大きく分けて国際標準のA判規格と日本独自のB判規格があります。A判規格はISO国際規格に基づいており、世界共通の寸法体系を採用しています。例えば、A4サイズ(297×210mm)から始まり、A3(420×297mm)、A2(594×420mm)、A1(841×594mm)、A0(1189×841mm)まで、各サイズは前のサイズの倍の面積を持つ比例関係にあります。
一方、B判規格は日本のJIS規格で定められており、B5(257×182mm)、B4(364×257mm)、B3(515×364mm)、B2(728×515mm)、B1(1030×728mm)、B0(1456×1030mm)という展開になっています。建築業界では図面作成や展示パネルの用途に応じて、これらの規格サイズを使い分けることが一般的です。
また、業界特有の規格として等身大サイズ(1800×900mm)や特大サイズ(2370×1170mm)などの大型パネルも標準化されており、建築現場での案内板や展示用途に活用されています。
建築業界では用途に応じて様々な材質のパネルが使用されており、それぞれに固有の規格サイズが設定されています。
スチレンボードパネル 🏗️
スチレンボードは最も汎用性の高いパネル材で、900mm×1800mmのサブロクサイズを基本とし、A判・B判規格に加えてL判規格まで豊富なラインナップが用意されています。厚さは3mm、5mm、7mm、10mmが標準で、建築模型や展示パネルに広く使用されています。
ALCパネル(軽量気泡コンクリート) 🧱
ALCパネルは構造用建材として厳格な規格が定められており、厚さ35mm、37mm、50mmが標準です。厚さ50mmのパネルは建物高さ31m以下の中・低層鉄骨造建築物に、厚さ37・35mmのパネルは高さ13m以下または軒の高さ9m以下の木造建築物に主に使用されています。
太陽光パネル ☀️
太陽光パネルは発電効率と設置面積の関係から独自の規格が発達しており、住宅用では一般的に1640×992mmや1559×1046mmなどのサイズが標準となっています。産業用では2000×1000mmを超える大型パネルも使用され、設置場所の制約に応じてサイズ選定が行われます。
旭化成建材のALCパネル規格詳細 - ヘーベルパネルの標準寸法と仕様
建築現場でのパネル選定は、用途と設置場所の特性を考慮した最適化が重要です。
展示・案内用パネル 📋
・近距離閲覧用:A4~A3サイズ(297×210mm~420×297mm)
・中距離閲覧用:A2~A1サイズ(594×420mm~841×594mm)
・遠距離閲覧用:A0以上(1189×841mm以上)
視認距離と文字サイズの関係から、1m離れた位置で読むには最小6ptの文字が必要で、3m離れた位置では18pt以上が推奨されます。建築現場の安全掲示板では、作業員が5m程度離れた位置からでも確認できるよう、A1サイズ以上で24pt以上の文字サイズが一般的です。
構造用パネル 🏢
構造用パネルでは荷重条件と施工性のバランスが重要で、標準的な建築モジュール(910mm、1820mm)に合わせた寸法が採用されています。特にプレハブ工法では工場生産効率を考慮し、輸送制限内での最大サイズが選定されます。
特殊用途パネル ⚡
太陽光パネルでは屋根面積の有効活用と設置効率から、建物の軒寸法に適合するサイズ選定が行われます。一般的な住宅の屋根勾配4寸(約22度)を考慮すると、縦置き設置で効率的な配列が可能な縦長規格が選ばれることが多くなっています。
標準規格外のパネル製作では、材料の原板サイズと加工設備の制約を理解することが重要です。
原材料制約による限界 📦
スチレンボードの原板は通常1820×910mmまたは1800×900mmが最大で、これを超えるサイズは継ぎ合わせ加工が必要になります。継ぎ目は強度の低下要因となるため、構造用途では避けるべき仕様です。金属パネルでは圧延機の幅制限により、1500mm程度が実用的な最大幅となります。
輸送制約の考慮 🚚
特注サイズ製作時は輸送方法も重要な検討項目です。一般的な宅配便では長辺1200mm以下、特別便でも2000mm程度が上限となります。それを超える場合は分割製作や現場組立てが必要で、コスト増加の要因となります。
加工精度の限界 ⚙️
レーザーカットやNCルーターによる精密加工では、材質により加工可能な最大サイズが制限されます。アクリルパネルでは2000×3000mm程度まで対応可能ですが、厚みが増すほど加工精度が低下する傾向があります。
建築業界では標準規格の活用により、コスト効率と品質の両立を図ることが重要です。特注対応は必要最小限に留め、既存規格の組み合わせによる解決策を優先的に検討することが推奨されます。
ラクスル印刷のパネルサイズガイド - 規格比較と用途別選び方の詳細解説
パネルの厚さ規格は用途に応じた強度要件と密接に関係しており、建築用途では構造計算に基づいた選定が必要です。
薄型パネル(3~5mm)の特性 📄
薄型パネルは軽量性と経済性に優れており、展示用や仮設用途に適しています。ただし、風圧荷重に対する耐力が低いため、屋外使用では適切な支持間隔の設定が重要です。スチレンボード3mm厚では支持間隔300mm以下、5mm厚では500mm以下が目安となります。
中厚パネル(7~15mm)の用途 📐
中厚パネルは展示パネルや軽量な間仕切り用途に使用され、適度な強度と加工性を両立しています。7mm厚のスチレンボードでは支持間隔800mm程度まで対応可能で、建築模型の構造部材としても使用されます。
厚型パネル(20mm以上)の構造特性 🏗️
厚型パネルは構造的な強度が要求される用途に使用され、特に建築用ALCパネルでは厚さと耐力の関係が規格化されています。厚さ50mmのALCパネルでは圧縮強度3.0N/mm²以上、曲げ強度0.5N/mm²以上の性能が規定されており、中高層建築物の外壁材として使用可能です。
厚さ規格の選定では、使用期間も重要な要素です。仮設用途では最小限の厚さで経済性を重視し、恒久的な使用では十分な安全率を見込んだ厚さ選定が必要です。また、防火性能についても厚さにより大きく変わるため、建築基準法の要求性能に適合する厚さの選定が不可欠です。
ALC協会発行の薄形パネル設計施工指針 - 厚さ別性能基準と構造計算方法