
pd管は主にポリエチレン被覆鋼管を指し、JIS G 3469に規定されるP1H規格が標準となっています。この規格では外面ポリエチレン被覆の厚さや密着性について厳格な基準が設けられており、用途に応じて以下の種類に分類されます。
外面被覆厚さは1.5mm~1.7mm以上と規定されており、特にPFP-PD型では耐候性と耐食性の両方を兼ね備えています。内面ライニング厚さも呼び径によって0.30mm~0.40mm以上と細かく規定され、ピンホール発生防止と耐水衝撃性を確保しています。
また、電線管分野では可とう電線管としてPF管が存在し、これもpd管と略称されることがあります。PF管はグレー系の色で柔軟性があり、天井裏や屋内壁内の配線に多用されています。
pd管の標準サイズは呼び径15A(21.7×2.8mm)から100A(114.3×4.5mm)まで規格化されています。各サイズの詳細寸法と用途は以下の通りです。
小口径(15A~25A)
これらは主に住宅の給水配管や小規模設備の配管に使用されます。
中口径(32A~50A)
中口径は商業施設や中規模工場の主要配管として採用されることが多く、流量確保と施工性のバランスが取れています。
大口径(65A~100A)
大口径は大型設備や幹線配管に使用され、高い耐圧性能と長期耐久性が要求されます。
標準長さは4.0mとなっており、管1本ごとに製造者略号、種類記号、寸法、製造年月が表示されます。
pd管の選定は使用環境と目的に応じて慎重に行う必要があります。給水配管用途では、ポリエチレン粉体ライニング鋼管のみが適用可能で、塩ビライニング鋼管は使用できません。
給水・上水道配管
内面のポリエチレンライニングが水質に悪影響を与えず、JWWA K 132の浸出試験基準をクリアしています。密度、引張破壊応力、硬さなどの物性値も厳格に管理されており、長期間の安全性が確保されています。
ガス配管用途
外面被覆鋼管として使用する場合、ライニングブレードで予め外面被覆を剥離してから施工します。STPGの熱間仕上継目無鋼管や電気抵抗溶接鋼管を使用し、高い安全性を確保します。
電気配管分野
PF管として使用する場合は、天井裏や壁内配線に適用されます。柔軟性があり曲げ加工が容易で、CD管と比較して耐衝撃性に優れています。呼びサイズは16mm~54mmまで豊富に用意されており、配線容量に応じた選定が可能です。
特殊用途
選定時は使用圧力、温度範囲、化学的適合性、施工条件を総合的に検討し、必要に応じて専門技術者との協議を行うことが重要です。
pd管の施工では、管端部の処理と継手の選定が特に重要になります。PFP-PD型の管端はプレーンエンドとし、管端未被覆部の長さは20A以下で15mm以下、25A以上で20mm以下と規定されています。
転造ねじ加工対応
15A~65Aサイズでは転造ねじ加工に対応しており、加工後も密着力の低下がほとんどありません。転造ねじ加工を行う際は、ライニングブレードで外面被覆を予め剥がしてから作業を行います。管体表示の「T」マークで転造ねじ対応品であることを確認できます。
継手の選定
管端防食継手は、PF管(転造ねじ、切削ねじ)と塩ビライニング鋼管とで共通使用が可能です。ただし、塩ビライニング鋼管は転造ねじ加工により若干縮径するため、管端防食継手と嵌合しない場合があります。
品質管理
施工前には必ず試験証明書による品質確認を行い、JWWA規格のすべての項目について合格していることを確認します。特にピール強度試験では、転造ねじ加工部と非加工部で同等の密着力を維持していることが重要です。
荷姿と保管
PFP-PA、PB型は亜鉛めっきスチールフープで結束され、PFP-PD型はプラスチック製フープで結束されます。保管時は直射日光を避け、適切な温度環境を維持することで品質劣化を防げます。
施工中の曲げ加工は最小曲げ半径を守り、過度な変形によるライニング剥離を防止する必要があります。また、溶接作業時はライニング部への熱影響を最小限に抑える施工手順を確立することが重要です。
pd管の技術革新は、環境負荷軽減と性能向上の両立を目指して進んでいます。特に医療分野では、従来の過氧化物固化シリコン管から白金固化シリコン管への移行が進んでおり、PCBAs(多塩素化ビフェニル酸)やPCBs(多塩素化ビフェニル)の潜在的リスクを排除する取り組みが行われています。
材料技術の進化
新しいポリエチレン配合技術により、従来品を上回る耐久性と加工性を両立した製品の開発が進んでいます。特に高密度ポリエチレンの改良により、耐ストレスクラッキング性と耐薬品性が大幅に向上しています。
規格の国際標準化
日本の優れたpd管技術は海外でも注目されており、ISO規格との整合性を図りながら国際標準化への取り組みが加速しています。これにより、輸出製品の品質保証と海外展開が促進されることが期待されます。
IoT技術との融合
配管システムにセンサー技術を組み込み、リアルタイムでの状態監視や予防保全を可能にする次世代pd管の開発が進んでいます。これにより、設備の長寿命化とメンテナンスコストの削減が実現できます。
環境適応性の向上
気候変動に対応した耐候性向上や、リサイクル性を考慮した材料設計により、持続可能な社会インフラの構築に貢献する製品開発が重要視されています。
施工効率化技術
AIを活用した最適配管設計システムや、3Dプリンティング技術を応用した特殊継手の開発により、施工期間の短縮と品質向上の両立が図られています。
これらの技術革新により、pd管は単なる配管材料から、スマートインフラの重要な構成要素へと進化を続けています。金属加工業界においても、これらの動向を注視し、新技術への対応準備を進めることが競争力維持の鍵となるでしょう。
JFEスチールの製品カタログでは最新の技術仕様が確認できます。
PFP水道用ポリエチレン粉体ライニング鋼管の詳細仕様