ピアノ線の強度と引張強さと規格

ピアノ線の強度と引張強さと規格

記事内に広告を含む場合があります。

ピアノ線の強度と引張強さ

ピアノ線の強度と引張強さ
🧪
強度は「引張強さ」だけではない

数値の見方・規格の条件・現場のばらつきまで押さえると、設計判断が速くなります。

📏
線径で引張強さが変わる

同じ種類でも線径で規定範囲が変動し、太いほど引張強さが下がる傾向があります。

🧰
施工では「表面」と「脱炭」が効く

小さなきず・脱炭・腐食が疲労や破断の引き金になるため、取り扱いルールが重要です。

ピアノ線の強度とJISと引張強さ


ピアノ線の強度を語るとき、最初に基準にしやすいのがJISの「引張強さ(N/mm2)」です。
JIS G 3522は、主として動的荷重を受けるばねに適用されるピアノ線を対象にし、種類(SWP-A/SWP-B/SWP-V)と適用線径、機械的性質(引張強さ)などを規定しています。
たとえば線径1.00mmの引張強さは、SWP-Aが2060〜2260N/mm2、SWP-Bが2260〜2450N/mm2、SWP-Vが2010〜2210N/mm2と表で定義されています。
現場・設計で誤解が多いのは、「引張強さ=そのまま使用時の許容」という扱いです。

JISの引張強さは材料試験としての基準値であり、実際の使用では応力集中、曲げ、ねじり、繰返し荷重、腐食などが重なって“破断のしやすさ”が変わります。

つまり「強度」という言葉を、引張強さ(静的な破断の目安)だけで固定してしまうと、施工トラブルや早期破断の説明が難しくなります。

参考リンク:ピアノ線(JIS G 3522)の引張強さ表(線径別・SWP-A/B/V)
JISG3522:2014 ピアノ線

ピアノ線の強度とSWP-AとSWP-BとSWP-V

JISではピアノ線は3種類で、SWP-A(0.08〜10.0mm)、SWP-B(0.08〜8.00mm)、SWP-V(1.00〜6.00mm)と、適用線径の範囲まで決まっています。
この「適用線径が違う」点は、建築現場の部材選定で意外と効いてきます(太径側で“そもそも選べない”が起きます)。
また、SWP-Vは弁ばね又はこれに準じるばね用とされ、材料の条件として銅含有量0.15%以下が規定されています。
引張強さの傾向としては、同一線径ではSWP-BがSWP-Aより高い側に寄りやすい構成です。

ただし強度を上げるほど、成形や加工の難しさ(曲げ・ねじりでの割れリスク)や表面欠陥の影響が目立つ設計になりがちで、材料選定は「最大強度」だけで決めにくいのが実務です。

ピアノ線は動的荷重向けの規格体系で、引張強さだけでなく巻付け性・ねじり特性・曲げ性などの試験も規定されているため、用途に応じて参照ポイントを変えるのが安全です。

ピアノ線の強度と線径と表2

ピアノ線の引張強さは線径で大きく変わり、JISでは表2として線径ごとの範囲が細かく定義されています。
たとえば細い領域(例:0.08mm)ではSWP-Aが2890〜3190N/mm2、SWP-Bが3190〜3480N/mm2と非常に高い一方、太い領域(例:7.00mm)ではSWP-Aが1470〜1620N/mm2、SWP-Bが1620〜1770N/mm2まで下がります。
「太いほど強いはず」という直感と逆に見えるのは、ここで言う強度が“引張強さ(応力)”であり、加工・製造条件や断面積の影響と分けて考える必要があるためです。
設計上は、必要な荷重に対して「断面積(線径)で稼ぐ」のか「高い引張強さの材で稼ぐ」のかを分けて判断すると整理しやすいです。

またJISには「標準線径以外は、超えて最も近い標準線径の規定値による」という注記があり、微妙な線径変更がそのまま強度評価の変更につながらない場合があります。

調達・図面・検査で線径の指定が中途半端だと、強度の見積りと受入基準がズレるので、標準線径に寄せる運用が無難です。

ピアノ線の強度と脱炭層ときず深さ(独自視点)

検索上位の「引張強さ一覧」だけを見ていると抜け落ちがちですが、現場で“折れやすさ”に直結しやすいのは、脱炭層と表面きずの管理です。
JISでは脱炭層について、SWP-A/SWP-Bは「有害な脱炭層を認めてはならない」、SWP-Vはフェライト脱炭層を認めず、全脱炭層深さは線径の1.5%以下かつ0.05mmを超えない、といった要求があります。
さらに表面状態として、外観の欠点だけでなく「きず深さ」も線径レンジごとに上限が規定され、たとえば線径1.00〜2.00mmではSWP-A/SWP-Bは0.02mm以下、SWP-Vは0.01mm以下といったように扱いが異なります。
建築の吊り・張り・固定に近い使い方を想定すると、切断・曲げ・結束・接触(擦れ)で“人工的なきず”を作りやすい点が盲点になります。

同じ引張強さのロットでも、表面の微小欠陥が起点になれば、荷重のかかり方(特に繰返しや振動)次第で寿命が変わり得るため、施工手順として「素手での引きずり」「荒い治具での曲げ」「保管中の錆び」を減らすほど安全側になります。

強度の話を“材料表の数値”から“現場で作る欠陥”にまで拡張できると、設計・施工・品質の会話が噛み合いやすくなります。




ダイドーハント (DAIDOHANT) ( ばね材 ) ピアノ線 硬鋼線 [ SWC ] [太さ] #18 1.2 mm x [長さ] 6m 10155810