
ローリング足場の寸法は、作業効率と安全性に直結する重要な要素です。主要な寸法項目として、作業床寸法、設置寸法、作業床高の3つが挙げられます。
作業床寸法は実際の作業スペースを示し、代表的なサイズとして以下があります。
設置寸法はアウトリガーを含む全体の占有面積で、A-2枠の場合2490×2790mmとなります。この寸法は現場の設置可能スペースを検討する際の重要な指標です。
作業床高は段数によって決まり、1段あたり約1500~1600mmの高さが標準的です。例えば、3段構成では作業床高が4830~4980mmに達し、高所作業に適した仕様となります。
移動式足場タワーは段数に応じて必要部材が増加する構造となっています。基本的な部材構成を理解することで、現場に適した仕様を選定できます。
主要部材と段数別必要数量:
部材の重量も段数に比例して増加し、A-2枠の場合1段で211.6kg、3段では374.2kgに達します。この重量は運搬や設置計画に影響するため、事前の確認が必要です。
アルミ製のローリングタワーでは、3段仕様で重量211kgとなり、鋼製と比較して軽量化が図られています。材質の違いによる重量差も選定時の重要な考慮事項となります。
段数の増加に伴い、設置寸法と安全荷重の関係を正確に把握することが安全な作業のために不可欠です。
段数別作業床高と安全荷重:
A-600枠の場合、安全荷重が140kgに制限されるため、使用用途に応じた適切な規格選択が重要です。
設置寸法は段数が増加しても底面積は変わりませんが、高さ寸法は大幅に変化します。4段以上では7484~7594mmの高さとなり、建物の天井高や周辺構造物との干渉を十分に検討する必要があります。
風荷重の影響も段数に比例して増大するため、4段以上ではアウトリガーの設置が必須となります。アウトリガーロングジャッキベースと自在クランプを使用し、構造の安定性を確保します。
主要メーカーのローリング足場には、それぞれ異なる寸法体系と特徴があります。適切な選定のためには、各メーカーの仕様を比較検討することが重要です。
日建リースの特徴:
床面積1219×1829mmの独自サイズを採用し、6段まで対応可能です。鋼製布板SKN-6を使用し、段数に応じて3枚から12枚まで増加する構成となっています。
大同機械の製品ラインナップ:
A-2、A-405L、A-600の3つの幅規格を展開し、それぞれ異なる安全荷重を設定しています。特にA-600枠は140kgの荷重制限により、軽作業用途に特化した仕様です。
アルミ製ローリングタワーの特徴:
けんせつパークのワイドタイプでは、作業床寸法1650×1410mmの広い作業スペースを提供し、最大使用質量200kgの仕様となっています。アルミパイプ製により軽量化を実現し、移動性を向上させています。
各メーカーの寸法差は、現場の作業内容や設置条件に適した選択を可能にします。狭小地での作業ではA-600枠、広いスペースでの作業では日建リースの大型サイズが適しています。
実際の現場でローリング足場を選定する際は、単純な寸法だけでなく、作業内容と現場条件を総合的に評価することが重要です16。
設置場所の寸法確認項目:
作業床の広さは作業者数と資材配置で決定します。一般的に作業者1名あたり2㎡以上の作業スペースが推奨されており、複数名での作業では広幅タイプの選択が効果的です。
移動頻度が高い現場では、キャスターの品質と移動時の安定性が重要な選定要素となります。φ150mmのゴム製キャスターが標準的ですが、移動性を重視する場合はアルミ製の軽量タイプが有効です。
段数選定では、作業高さに加えて手摺高さを含めた総高の確認が必要です。手摺高さは通常1000mm程度となり、これを含めた空間の確保が安全作業のために不可欠です。
風の影響を受けやすい屋外作業では、アウトリガーの設置可能性と地盤条件の確認も重要な検討事項となります。アウトリガーベースの設置には、足場本体以外に追加スペースが必要となるため、事前の現地調査が欠かせません。
近年では、デジタル化に対応した寸法管理システムを導入するメーカーも増えており、現場での寸法確認作業の効率化が進んでいます。QRコードによる部材管理や、専用アプリでの寸法確認機能により、現場でのミス防止と作業効率向上が実現されています。