
再建築不可物件での住宅ローン審査は困難とされていますが、実際に融資を受けた成功事例が存在します。
京都の路地奥にある再建築不可の町家物件で、購入者が住宅ローンを組むことに成功した事例があります。この物件は接道義務を満たしていない典型的な再建築不可物件でしたが、以下の要因により融資が実現しました。
また、企業勤めで勤続年数が長く、安定した収入のある購入者の場合、個人の属性が高く評価され、再建築不可物件でも融資が下りるケースが報告されています。
金融機関の担当者への熱心な説得により、一度断られた後でも融資を受けることができた事例も複数存在します。重要なのは諦めずに複数の金融機関にアプローチすることです。
再建築不可物件の住宅ローン審査において、担保価値の評価が最大の障壁となります。
銀行が住宅ローンを提供する際、購入物件を担保として設定するのが一般的です。しかし、再建築不可物件は以下の理由で担保価値が低く評価されます。
金融機関にとって、万が一の返済不能時に担保物件を売却しても債権回収が困難になるリスクが高いのです。
ただし、立地条件が良好な都心部の再建築不可物件の場合、土地の希少性により一定の担保価値が認められることがあります。特に23区内の駅近物件では、再建築不可であっても土地価値が評価される傾向にあります。
担保価値を向上させる方法として、以下のアプローチが有効です。
再建築不可物件を再建築可能な状態に変更することで、通常の住宅ローンが利用できるようになります。
隣地買収による間口拡張
現在の敷地が道路に2m未満しか接していない場合、隣地の一部を購入して間口を2m以上に拡張する方法があります。この方法により接道義務を満たすことができれば、建築基準法上の制約が解除されます。
セットバックによる道路幅員確保
前面道路の幅が4m未満の場合、建て替え時にセットバックを行い、道路中心線から2mの位置まで敷地を後退させることで再建築が可能になります。
43条2項許可の取得
建築基準法第43条2項2号許可(通称:但し書き道路)を取得することで、道路に直接接していない敷地でも建築許可を得られる場合があります。
これらの方法を実現するための具体的な手順。
ただし、これらの対策には相応の費用と時間がかかるため、費用対効果を慎重に検討する必要があります。
住宅ローンが利用できない場合でも、再建築不可物件の購入には複数の代替融資手段が存在します。
ノンバンクローンの活用
消費者金融系や信販系のノンバンクでは、再建築不可物件でも融資を行う場合があります。金利は住宅ローンより高くなりますが、審査基準が比較的緩やかです。
不動産担保ローン
既存の不動産を担保に入れることで、再建築不可物件の購入資金を調達する方法です。この場合、購入物件ではなく別の不動産が担保となるため、再建築不可の制約を回避できます。
リフォームローンの併用
物件購入後のリフォーム資金として、リフォームローンを活用する方法があります。借入限度額は500~1,000万円程度ですが、住宅ローンより審査が通りやすい特徴があります。
フリーローンの利用
使途自由なフリーローンを活用する方法もあります。金利は高めですが、物件の制約を受けずに融資を受けることができます。
これらの代替手段を組み合わせることで、再建築不可物件の購入資金を調達することが可能です。ただし、金利負担が大きくなるため、返済計画を慎重に立てる必要があります。
再建築不可物件の融資において、金融機関の選択は成功の鍵を握る重要な要素です。
メガバンクの審査基準
三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行などのメガバンクでは、重要事項説明書に「再建築できません」の記載があると即座に融資を断られるケースがほとんどです。メガバンクは厳格な審査基準を設けており、再建築不可物件への融資には極めて消極的です。
地方銀行・信用金庫の柔軟性
地方銀行や信用金庫では、メガバンクより柔軟な審査を行う傾向があります。特に以下の条件が揃えば融資の可能性が高まります。
交渉時のポイント
金融機関との交渉では、以下の点を重視して説明することが重要です。
複数行への同時アプローチ
一つの金融機関で断られても諦めず、複数の金融機関に同時にアプローチすることが成功の秘訣です。各行の審査基準や方針が異なるため、粘り強く交渉を続けることで融資を獲得できる可能性があります。
金融機関の担当者も人間であり、熱意と具体的な説明により心を動かされることがあります。一度断られた後でも、追加資料の提出や条件変更により融資が実現した事例も報告されています。