設計公差 考え方 許容差 寸法公差 はめあい 基準

設計公差 考え方 許容差 寸法公差 はめあい 基準

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設計公差 考え方

設計公差の「迷いどころ」を先に整理
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まずは機能を言語化

「回る」「止まる」「位置が出る」など、成立条件を言葉にしてから公差を決めるとブレにくいです。

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寸法公差と基準のセット

重要寸法は“どこを基準に測るか”まで決めると、累積や解釈違いを減らせます。

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コストは公差幅に反応

むやみに厳しい許容差は加工難度を上げ、供給先が狭まり、検査工数も増えがちです。

設計公差 考え方の基本:許容差と寸法公差の違い


設計で最初に押さえたいのは、「公差」は“狙い値から外れても合格にしてよい範囲”ではなく、規定した最大値と最小値の差(幅)として扱われる、という点です。寸法に関しては、図示サイズ(いわゆる基準寸法)に対して上の許容差・下の許容差を与え、その差分がサイズ公差(寸法公差の中心概念)になります。
例えば「50±0.2」は分かりやすいですが、現場で本当に困るのは「±に見えて実は片側だけ守りたい」ケースです。機能的に“これ以上大きいと干渉する”“これ以上小さいとガタが出る”など、上下で意味が違うなら、片側に寄せた許容差(片振り)で設計意図を明確にできます。
ここで注意したいのは、図面に「公差が書いていない寸法」でも、普通公差(一般公差)が前提になっていることです。つまり「書いてない=自由」ではなく、「会社・図面表題欄・規格の取り決めに従う」が実務の原則になります。公差の概念整理や用語(図示サイズ、上の許容差、下の許容差、サイズ公差、普通公差など)を一度“定義に戻って”揃えると、設計レビューでの指摘が減ります。
寸法・用語の定義や、普通公差の考え方、サイズ公差の位置づけ。
https://jp.meviy.misumi-ec.com/info/ja/blog/yamada/33896/

設計公差 考え方:はめあいと基準方式(穴基準・軸基準)

「はめあい」は、穴と軸を組み合わせる前の寸法差によって、組み立て後に“すきま”“しめしろ”がどう出るかを設計する考え方です。一般に、すきまばめ・しまりばめ・中間ばめに大別され、用途(回転・摺動・位置決め・圧入固定など)で選びます。
実務で効くのは、基準方式の選択です。穴基準方式は、穴をH(例:H7)のように基準穴として揃え、軸側で目的のすきま/しめしろを作るやり方で、量産・治具・検査の共通化に強いとされています。軸基準方式はその逆で、軸をh(例:h7)に固定し、穴側を選ぶやり方です。
「なぜ穴基準が多いのか」を公差表の暗記で終わらせず、加工・検査の現実(リーマ穴やゲージ運用、工程統一)に接続すると、設計公差の説明力が上がります。設計者が“図面で楽をする”のではなく、“製造が再現しやすい基準”を置く、という姿勢が設計品質につながります。
穴基準方式・軸基準方式、Hやhの意味、はめあいと公差クラスの整理。
https://marketing.ipros.jp/contents/basics/basic-mechanical-drawing-design-accuracy-guarantee2/
はめあい公差表(JIS B 0401 抜粋)を確認でき、具体値の当たりを付けるのに便利。
https://www.mikipulley.co.jp/JP/Services/Tech_data/tech08.html

設計公差 考え方:累積を抑える寸法記入と基準の置き方

設計公差で頻発するトラブルは、「個々の寸法は普通公差内なのに、組み上がると合わない」です。原因の多くは、寸法が直列につながったことで公差が累積し、重要部位のばらつきが想定より膨らんだケースです。
対策の基本は、機能上重要な寸法を“直接”記入し、足し算・引き算で導かれる寸法をなるべく減らすことです。例えば、全長よりも端面位置が重要なら端面位置を基準から直接与え、溝幅が重要なら溝幅を直接与える、といった発想です。
さらに一段進めるなら、寸法の置き方を変える前に「どこを基準面(基準)として加工・測定するか」をセットで考えます。基準が曖昧だと、現場は測りやすい面を勝手に基準にし、設計意図と違う誤差の積み上がり方をします。図面レビューでは、寸法数値だけでなく「その寸法、どこ基準で測る?」まで言えると強いです。
公差の累積、直列寸法と並列寸法でばらつきが変わる点の具体例。
https://jp.meviy.misumi-ec.com/info/ja/blog/yamada/33896/

設計公差 考え方:幾何公差と寸法公差の使い分け

寸法公差だけで図面を成立させようとすると、「長さは合っているのに、組付けで傾く」「穴径は合っているのに、位置がズレてピンが入らない」といった“図面の曖昧さ”が残りやすくなります。ここで効くのが幾何公差で、形状・姿勢・位置・振れといった幾何特性を、ルールに沿って明示することで認識ズレを減らします。
ポイントは、幾何公差が万能という話ではなく、「機能を寸法だけで縛ると過剰に厳しい寸法公差を入れがち」という設計の罠を避けられることです。例えば位置が大事なのに穴径の公差を厳しくしてしまうと、コストを上げても位置の安定には直結しない場合があります(加工法や段取り次第で位置が支配的になるため)。
3D図面や3DA(Model Based Definition)的な運用では、幾何公差は“設計情報を誤解なく渡す道具”としての価値がさらに上がります。設計と製造の会話を「どの寸法をどれだけ」から、「どの機能をどの特性で保証するか」に引き上げるイメージです。
幾何公差の分類(形状・姿勢・位置・振れ)や、寸法公差との違い(曖昧さ排除)を解説。
https://www.cybernet.co.jp/sigmetrix/learning/kikakousa/geometric_tolerance/

設計公差 考え方(独自視点):検査・測定の不確かさを設計公差に織り込む

検索上位では「規格」「記入方法」「はめあい」が中心になりがちですが、現場で地味に効くのが“検査で確かめられる公差か?”という視点です。公差を厳しくするほど、加工だけでなく測定も難しくなり、測定器・治具・測定方法の差で合否が揺れやすくなります。つまり、設計公差は「作れる」だけでなく「測れる」ことが前提です。
例えば、量産ラインでノギス・マイクロ・三次元測定機のどれで見るのか、測定姿勢や当て方でブレないのか、ゲージ化できるのか、などを一度想像すると、図面の“実務耐性”が上がります。ここで意外と見落とされるのが、測定の都合で基準が変わる問題です。設計が想定する基準面と、検査が取りたくなる基準面がズレると、同じ部品でも評価結果が割れることがあります。
対策としては、次のような「設計公差の決め方チェック」を設計レビューに組み込むのが有効です(小さな工夫で揉め事が減ります)。

  • 🎯 機能に直結する特性は何か(サイズ?位置?姿勢?)を先に決めたか。
  • 📏 その特性を保証する基準が図面で一意に読めるか。
  • 🔧 製造工程で再現しやすい(基準が取りやすい・治具化しやすい)公差指示か。
  • 🧪 検査方法が想像できるか(ゲージ化、三次元測定、現場測定のどれか)。
  • 💰 公差を厳しくする理由が説明できるか(“前例”ではなく機能根拠があるか)。

設計公差は「図面に数値を書けば終わり」ではなく、製造・検査の現実とセットで初めて運用できます。特に建築設備や現場取り合いの多い部位では、単品精度より“組み合わせたときの成立性”が重要になり、基準と検査まで見通した公差設計が効いてきます。




実用設計製図 幾何公差の使い方・表し方(第2版)