
シリコン塗料における水性と油性の最大の違いは、塗料を希釈するための溶剤にあります。水性シリコン塗料は水で希釈し、油性シリコン塗料はシンナーなどの有機溶剤で希釈します。
水性シリコン塗料は、水が蒸発して乾燥し塗膜を形成します。一方、油性シリコン塗料はシンナーなどの有機溶剤が揮発することで塗膜を形成します。この違いにより、臭いや乾燥時間、環境への影響などに差が生じます。
重要なポイントとして、水性塗料は一度乾燥すると再び水に溶けることはありません。この点はよく誤解されがちですが、マーカーペンなどとは異なり、外壁塗装用の水性塗料は乾燥後は耐水性を持ちます。
近年では水性塗料の性能が大幅に向上しており、以前のように「油性の方が優れている」という考え方は古くなっています。現在の外壁塗装市場では、水性シリコン塗料の使用が主流となりつつあります。
水性シリコン塗料は、環境にやさしく作業性に優れた塗料として注目されています。その特徴とメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
【メリット】
【デメリット】
水性シリコン塗料の代表的な製品としては、エスケー化研の「水性セラミシリコン」や日本ペイントの「水性シリコンセラUV」などがあります。これらの製品は高い耐候性と低汚染性を備えており、一般住宅の外壁塗装に広く使用されています。
油性シリコン塗料は、高い耐久性と密着性を持つ塗料として長年使用されてきました。その特徴とメリット・デメリットを詳しく解説します。
【メリット】
【デメリット】
油性シリコン塗料は、さらに1液型と2液型に分類されます。1液型は開封してすぐに使用できる手軽さがありますが、2液型は主剤と硬化剤を混ぜて使用する必要があり、より高い耐久性を発揮します。
代表的な油性シリコン塗料には、関西ペイントの「セラMシリコン3」やエスケー化研の「クリーンマイルドシリコン」などがあります。これらは高い耐候性と美しい仕上がりで評価されています。
シリコン塗料を選ぶ際には、建物の状況や環境条件、予算などを考慮して最適なタイプを選ぶことが重要です。以下に選び方のポイントをまとめます。
【水性シリコン塗料が適している状況】
【油性シリコン塗料が適している状況】
実際の選択においては、建物の素材や環境条件だけでなく、シリコン含有率も重要な判断材料となります。シリコン含有率が高いほど、シリコン樹脂の特性である耐候性や耐久性が高くなる傾向があります。
また、近年では「弱溶剤」と呼ばれる油性タイプも登場しており、従来の油性塗料の臭いの強さを抑えつつ、密着性や耐久性を維持した製品も選択肢として増えています。
シリコン塗料の市場は常に進化しており、水性・油性それぞれに新しい技術や製品が登場しています。最新の動向と今後のおすすめについて解説します。
【最新技術の動向】
現在の市場動向としては、環境への配慮や作業環境の改善から水性シリコン塗料のシェアが拡大しています。特に住宅密集地での外壁塗装では、臭いの少ない水性タイプが選ばれる傾向が強まっています。
一方で、特に耐久性や密着性が求められる場合には、油性2液型シリコン塗料が依然として高い評価を受けています。ただし、従来の強い臭いを抑えた「弱溶剤」タイプの製品が増えており、油性塗料のデメリットを軽減する動きが進んでいます。
今後のおすすめとしては、建物の状況や環境条件に応じた選択が基本となりますが、一般的な住宅の外壁塗装では、性能が向上した水性シリコン塗料が良いバランスを提供しています。特に臭いや環境への配慮が必要な場合は、最新の高性能水性シリコン塗料がおすすめです。
金属部分が多い建物や特に厳しい環境条件下では、弱溶剤タイプの油性シリコン塗料が適しているでしょう。また、長期的な耐久性を最優先する場合は、2液型の油性シリコン塗料が依然として優位性を持っています。
シリコン塗料を選ぶ際に重要な要素となるのが、耐用年数と費用対効果です。水性と油性のシリコン塗料について、この観点から比較してみましょう。
【耐用年数の比較】
耐用年数は塗料の品質や施工環境、メンテナンス状況によって変動します。以前は油性タイプの方が明らかに耐用年数が長いとされていましたが、現在の高品質な水性シリコン塗料では、その差は縮まっています。
【費用の比較】
具体的な例として、建坪30坪の住宅の外壁塗装を想定すると、水性シリコン塗料では約75万円、油性シリコン塗料(2液型)では約85万円程度の初期費用がかかる場合があります。
【費用対効果の分析】
費用対効果を「1年あたりのコスト」で計算すると、以下のようになります。
この計算からは、初期費用は高いものの耐用年数が長い油性2液型の方が、長期的には費用対効果が良いケースもあることがわかります。ただし、これはあくまで一例であり、実際の費用や耐用年数は製品や施工条件によって変わります。
また、費用対効果を考える際には、メンテナンスのしやすさや塗り替え時の下地処理の手間なども考慮する必要があります。水性シリコン塗料は一般的に塗り替え時の作業がしやすいという利点もあります。
さらに、環境コストや健康への影響といった観点も、現代では重要な判断材料となっています。臭いの少ない水性タイプは、施工中の生活環境や近隣への影響が少ないという価値も考慮すべきでしょう。
シリコン塗料を使用する際には、水性と油性それぞれに適した施工方法と注意点があります。ここでは、それぞれのタイプの施工における重要なポイントを解説します。
【水性シリコン塗料の施工方法と注意点】
【油性シリコン塗料の施工方法と注意点】
【共通の注意点】
特に注意すべき点として、油性塗料の上に水性塗料を塗る場合は、油性塗料が十分に乾燥していることが重要です。一般的には半年程度経過していれば問題ないとされていますが