
外壁塗装を検討する際、まず知っておきたいのが「水性塗料」と「油性塗料(溶剤系塗料)」の違いです。両者の最大の違いは、塗料を希釈するための溶剤にあります。
水性塗料は、その名の通り水で希釈する塗料です。塗装後は水分が蒸発して塗膜を形成します。一方、油性塗料はシンナーなどの有機溶剤で希釈し、溶剤が揮発することで塗膜を形成します。
水性塗料の主な特徴:
油性塗料の主な特徴:
現在の外壁塗装市場では、環境への配慮や施工性の良さから水性塗料が主流となっています。特に住宅密集地域での塗装工事では、臭いの少なさが近隣への配慮にもつながるため、水性塗料が選ばれることが多いです。
水性塗料には様々な種類があり、使用される樹脂によってグレードや耐久性が異なります。主な種類とその特徴を見ていきましょう。
1. アクリル系水性塗料
2. ウレタン系水性塗料
3. シリコン系水性塗料
4. ラジカル制御型水性塗料
5. フッ素系水性塗料
6. 無機系水性塗料
これらの期待耐用年数は、塗料メーカーが実験室での耐候性試験に基づいて算出した目安であり、実際の環境条件(日照、降雨量、気温変化など)や施工状態によって変動することを理解しておく必要があります。
近年の水性塗料は単なる保護や美観だけでなく、様々な機能性を持つものが開発されています。ここでは、特殊な機能を持つ水性塗料をご紹介します。
1. 低汚染型水性塗料
低汚染型水性塗料は、塗膜表面に特殊な加工を施すことで、汚れが付着しにくく、雨で汚れが洗い流されやすい特性を持っています。例えば、スズカファインの「ビーズコート」は超撥水タイプの水性塗料で、ハスの葉と同様のロータス効果により汚れを寄せ付けません。
2. 遮熱・断熱型水性塗料
太陽光の熱を反射したり、熱の伝導を抑制する機能を持つ塗料です。
例:エスケー化研の「水性クールテクトSi」
例:日進産業の「ガイナ」(遮熱・断熱・防音・結露抑制効果あり)
3. 防かび・防藻型水性塗料
湿気の多い日本の気候では、外壁にカビや藻が発生しやすい環境です。防かび・防藻機能を持つ水性塗料は、これらの発生を抑制し、外壁の美観を長期間維持します。多くのメーカーの水性塗料にこの機能が標準装備されています。
4. 透湿性水性塗料
壁内部の湿気を外部に逃がす機能を持つ塗料です。雨水は通さずに水蒸気だけを通すことで、壁内部の結露を防ぎ、建物の耐久性向上に貢献します。例えば、関西ペイントの「アレスダイナミックシリーズ」などがこの機能を持っています。
5. クリヤータイプの水性塗料
透明なコーティングを形成するタイプの水性塗料で、タイル調のサイディングなど、既存の外壁デザインを生かしたい場合に使用されます。エスケー化研の「SKシリコンクリヤーW」や「SKフッソクリヤーW」などがあります。
これらの機能性塗料は、一般的な水性塗料よりも価格が高くなる傾向がありますが、省エネ効果や長期的なメンテナンスコスト削減につながる場合もあります。自宅の環境や予算、重視する機能に合わせて選択することが大切です。
水性塗料を選ぶ際に知っておきたい重要な区分として、「一液型」と「二液型」があります。この違いは塗料の性能や施工方法に大きく影響します。
一液型水性塗料
一液型水性塗料は、缶を開けてそのまま使用できる塗料です。硬化剤があらかじめ塗料に含まれているか、空気中の二酸化炭素や水分と反応して硬化する仕組みになっています。
特徴:
代表的な製品例:
二液型水性塗料
二液型水性塗料は、主剤と硬化剤を使用直前に混合して使う塗料です。二つの成分が化学反応を起こすことで、強固な塗膜を形成します。
特徴:
代表的な製品例:
一般的に、二液型の方が耐久性に優れていますが、施工の手間やコストも高くなります。一般住宅の外壁塗装では、近年の一液型水性塗料の性能向上により、一液型でも十分な耐久性を確保できるケースが増えています。ただし、特に厳しい環境条件下や長期間のメンテナンスフリーを求める場合は、二液型を検討する価値があります。
外壁塗装に使用する水性塗料を選ぶ際は、いくつかの重要なポイントを押さえておくことで、後悔のない選択ができます。ここでは、水性塗料選びのポイントと注意点をご紹介します。
1. 住宅の立地環境と条件を考慮する
2. 予算とライフサイクルコストのバランス
初期コストだけでなく、塗り替えサイクルを含めた長期的なコストを考慮することが重要です。
例えば。
3. 外壁材との相性を確認
外壁材によって適した塗料が異なります。
4. 艶の選択
水性塗料には「艶あり」「7分艶」「5分艶」「3分艶」「艶消し」などの選択肢があります。
5. 塗料メーカーの信頼性
大手メーカーの製品は品質が安定しており、長期的なサポートも期待できます。
主要メーカー。
注意点:
メーカーが公表している耐用年数は、理想的な条件下での数値です。実際の環境では変動することを理解しておきましょう。
どんなに良い塗料でも、施工が不適切だと期待通りの性能を発揮できません。信頼できる施工業者を選ぶことも重要です。
水性塗料の性能を最大限に発揮するためには、適切な下塗り塗料との組み合わせが重要です。場合によっては、下塗りに溶剤系(油性)塗料を使用することもあります。
水性塗料は気温が5℃以下になると硬化不良を起こす可能性があります。冬季の施工では、気温に注意が必要です。
最終的には、専門家のアドバイスを参考にしながら、自宅の条件や予算、重視するポイントに合わせて最適な水性塗料を選ぶことをおすすめします。
外壁塗装用の水性塗料は多くのメーカーから様々な製品が販売されています。ここでは、特に評価の高い人気メーカーと製品をランキング形式でご紹介します。
【人気水性塗料ランキング】
1位:日本ペイント「パーフェクトシリーズ」
日本ペイントの看板製品であるパーフェクトシリーズは、ラジカル制御型の水性塗料です。特に「パーフェクトトップ」は、臭気が少なく作業性に優れながらも高い耐久性能を持ち、多くの施工業者から支持されています。
特徴:
2位:関西ペイント「アレスダイナミックシリーズ」
関西ペイントのアレスダイナミックシリーズは、シリコン塗料でありながらフッ素塗料並みの耐久性を持つ高性能塗料です。コンクリートからALCまで幅広い外壁材に対応している点も魅力です。
特徴:
**3位:エスケー化研「水性セラミシリコンシリー